2025年4月26日(蛍光灯が割れた 学校給食で)
 今週気になった記事は、22日、新潟県上越市の小学校の教室で蛍光灯
が割れ児童の給食にガラス片が混入したものの、担任等がガラス片を取
り除き、そのまま児童に食べさせていたことです。
 給食に異物が入っただけで、その給食は廃棄するべきなのですが、驚
いたことにはそのガラス片を取り除いただけで給食を継続したことです
さらに、割れたガラス片は蛍光灯です。蛍光灯の中には、担任の教師は
有害な水銀が含まれていることを知らなかったのでしょうか。
 蛍光灯が割れた原因は、取り外した蛍光灯を立てかけていたという不
安全がありました。
 学校で蛍光灯を生徒が交換することはないでしょうから、教師が交換
したのでしょう。蛍光灯は割れると危険なものですから、そのまま教室
内に置いていたこと自体が問題だと感じます。

 
2025年4月26日(爆発事故で社長が引責辞任)
 3月にトヨタ自動車系バネメーカーの中央発条で爆発事故が発生して、
従業員1人が死亡し、2人が軽傷を負いました。小出社長は「経営トップ
として責任を取らなければならない」と発言し、社長退任を発表しまし
た。
 爆発事故の原因は不明ですが集塵機の事故は多く発生しています。さ
らに、粉じん爆発になると大きな事故になります。
 集塵機は微細な粉末状の物が空気中に広がったところに微弱な火花や
静電気でも爆発することがあります。
 集塵機で気を付けなければならないことは、火気厳禁は当然ですが、
静電気対策が重要です。一般的な安全靴は底がゴムの絶縁靴なので、人
体に蓄積した静電気で粉じん爆発につながることがあります。そのため
集塵機周辺の床面が金属板を敷き、アースにつなげ、帯電防止の安全靴
を使用する必要があります。また、台車を使う場合には、台車にもアー
スを接続し、スコップなどの道具にもアースを接続することなどが必要
となります。
 また、集塵機のダクトにへばりついた粉じんを叩き落とすときは、金
属ハンマーで叩くと火花が出るので、木製の物を使用するなど配慮が必
要です。
 さらに、集塵機が燃えた場合の消火方法も決めておかなければなりま
せん。消火方法については、集塵機メーカーの取扱説明書に詳細がある
と思いますので是非確認しておいてください。

                         
ご安全に!

2025年4月19日(熱中症対策 労働安全衛生規則改正予定)
 先週の安全週記でお伝えした通り、熱中症対策の労働安全衛生規則が
改正されました(施行は6月1日)。
第六百十二条の二 
事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずる
おそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する者が
熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する者に熱中症が生
じた疑いがあることを当該作業に従事する他の者が発見した場合にその
旨の報告をさせる体制を整備し、当該作業に従事する者に対し、当該体
制を周知させなければならない。
2項
事業者は、暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずる
おそれのある作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、当該作業
からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせ
ることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及
びその実施に関する手順を定め、当該作業に従事する者に対し、当該措
置の内容及びその実施に関する手順を周知させなければならない

令和7年4月15日厚生労働省令第57号
 https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H250415K0010.pdf

 なお、条文中の「熱中症による健康障害を生ずるおそれのある作業」
とは、「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は
1日4時間超の実施が見込まれる作業」であることを通達で示すことを
予定しているということです。また、「報告体制の整備」、「実施手順
の作成」「関係労働者への周知」の具体的な内容は、追って通達等で示
される予定です。(パブリックコメントより)


2025年4月19日(石綿含有建築物の解体作業で有機溶剤中毒?)
 報道によると、4月17日、大阪市北区天満のマンションの解体工事現
場で、アスベストの除去作業で使った有機溶剤を吸ったとみられる作業
員3人が病院に搬送され、このうち30代の女性作業員が死亡した事故で
は、解体工事現場の男性作業員から「有機溶剤を吸った。意識がない」
と消防に通報がありました。
 石綿除去作業で有機溶剤を使用して中毒になることは聞いたことがな
いので非常に驚きました。
 石綿の除去作業で有機溶剤を使用するのは非常に危険です。それは、
石綿解体作業用の防じんマスクまたは防じん機能を有する電動ファン付
き呼吸用保護具では有機溶剤を除毒できないからです。有機溶剤を使用
する石綿解体作業では、防じん機能を有する有機ガス用吸収缶を使わな
ければなりません。
 溶剤を使用する石綿含有建築物の解体作業としては、石綿含有仕上げ
塗材を除去する際に塗材を柔らかくして除去しやすいように、建築外装
塗膜剥離剤などを使うことがあります。これを使用する場合には、有機
ガスを除毒できる呼吸用保護具か、送気マスクを使用しなければなりま
せん。特に、石綿除去作業では作業場所を隔離するため、気中濃度が高
くなる可能性がありますので、破過時間に注意しなければなりません。
なお、塗膜剥離剤には成分が判らない・判りにくいものもありますので
破過時間の算出は難しく、有効時間が判断できないため、送気マスクを
使用するべきです。

                         ご安全に!

2025年4月12日(熱中症対策 労働安全衛生規則改正予定)
 2024年の熱中症による死亡災害は30人に達します。厚生労働省は熱中
症の重篤化を防ぐために労働安全衛生規則が改正する予定です。
 (令和7年4月公布、令和7年6月施行予定)
 まだ、公布されていませんが、施行日までの期間が短いため、労働政
策審議会の資料から紹介します。
以下1、2の事項を事業者に義務付けること。
1 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
 ①「熱中症の自覚症状がある作業者」
 ②「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその旨を報告するた めの体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあ
らかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
2 熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、
 ①作業からの離脱
 ②身体の冷却
 ③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
 ④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や
実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知する
こと
詳細については、労働政策審議会安全衛生分科会の資料をご覧ください
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/newpage_00043.html


2025年4月12日(雷被害)
 
4月10日、奈良市の学校のグランドに雷が落ちて、中学生と高校生が
病院に搬送される事故がありました。うち中学生一人が心肺停止になっ
ています。
 落雷による災害は以前からもありましたが、近年では雷ナウキャスト
もあります。
 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder2-1.html
 屋外作業では天気予報などを注目していただき、気象庁の雷ナウキャ
ストや民間の雷予測情報などを活用して、充分に警戒していただきたい
と思います。


2025年4月12日(大阪万博)
 4月13日から大阪万博が開催されます。
 大阪万博開催が決まったときには、開催までに南海トラフ地震が発生
しないことを願ったことを思い出します。改めて万博閉幕まで地震が発
生しないことを祈りたいと思います。
 万博会場は海に面しており、津波が発生した場合の対応に不安を感じ
ます。大屋根リングの高さがあれば津波の高さから守られるかもしれま
せんが大きな船が激突した場合には崩壊するかもしれません。また、津
波到達までは1時間半ほどありますが、その時間では避難は難しいでし
ょう。
 ちなみに万博では人間洗濯機を是非見たいと思います。三洋電機で勤
めていた私にとっては、50年前の三洋館で展示された人間洗濯機がどの
ように進化しているかとても興味があります。

                         ご安全に!

2025年4月5日(南海トラフ巨大地震 政府想定)
 3月31日、政府の中央防災会議は13年ぶりに南海トラフ巨大地震の被
害想定を発表しました。
  13年前の前回の想定では
   死亡者数 32万3000人 全壊焼失棟数 238万6000棟
  今回の想定では
   死亡者数 29万8000人 全壊焼失棟数 235万棟
 前回の想定からは死亡者は2万5000人しか減っていません。今回の想
定では、被害想定の範囲を拡大したこともありますが、10数年前からの
人口の減少を考えると、死亡者数の想定は全く改善できていないと感じ
ます。
 昨年の能登半島地震や先日のミャンマー地震などにより、防災意識は
高まっているので、防災意識を高めても、死亡者は減らないということ
だと感じます。
 昨年8月には南海トラフ地震臨時情報が発令されましたが、何もなく
地震の予測が難しいことがわかりました。
 大阪市に津波が到達する時間は発生から1時間49分後の想定です。皆
様の地域の津波想定時間をネット等で調べてください。その時間を元に
避難を考えてください。ただし、時間に余裕があると考えても自動車を
使う避難は、渋滞の可能性が非常に高いので危険です。
 私の家では10年ほど前に重たい瓦屋根を軽い屋根材に変えたので、崩
壊の可能性は下がっていると思いますが家が古いので心配です。
 震源域に近い場所では緊急地震速報の間に合わない地域もありますが
緊急地震速報の間に合う地域では、緊急地震速報後の初動についても教
育が必要です。

                        
 ご安全に!

2025年3月29日(石綿除去作業で一酸化炭素中毒?)
 3月27日、東京都千代田区のビル解体作業中に一酸化炭素中毒により
16名が救急搬送される事故がありました。解体業者は石綿除去作業中と
いうことでした。石綿解体作業では使用している部位によって工法が変
わりますが、隔離を行っての石綿解体作業だったようです。その隔離し
て換気が不十分な中、発電機を使用したことから一酸化炭素が発生した
と考えられます。しかし、隔離した解体作業場の中に発電機を2台も入
れたことに疑問を感じます。屋外に発電機を設置すれば何の問題もない
はずです。
 たとえ、作業場の中で発電機を使った場合でも、隔離室の石綿粉じん
を減らすために集塵機を使用しますので、相当の換気量が必要になるの
で一酸化炭素が発生しても危険な濃度までは上昇しないのではないかと
考えるので、換気量が不足していたことが疑われます。
 密閉空間の中で発電機を使用しないことが原則です。
 ほかに原因と考えられるのは、発電機の吸気部に石綿粉じんが詰まっ
て酸素不足から一酸化炭素が発生したのかもしれません。発電機を使用
していながら一酸化炭素の濃度を確認しなかったこと。さらには、作業
者は防じんマスクを使用し、防護服を着ていることから、作業自体の負
荷が大きいことから異常に気付くのが遅れたのでしょう。

2025年3月29日(コロナ感染死で飲食店に7000万円賠償命令)
 東京・歌舞伎町の中華料理店で働いていた男性が新型コロナウイルス
に感染して死亡したのは、店の感染対策が不十分だったためだとして、
男性の遺族が店側に約8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京
地裁は3月27日、店側に約7000万円の賠償を命じました。(感染したの
は、まん延防止重点措置期間中の2021年7月)
 理由として
 ・客にマスク着用を求めていない
 ・客同士の間にアクリル板を設置しなかった
 ・人数制限はなく、20人ほどの客が宴会を開いていた
 判決の骨子は
 「従業員が新型コロナに感染しないための措置を十分講じていなかっ
たことは明らか。男性の生命、身体に危険が生じさせないようにする義
務を怠った」ということです。
 この判決によって、このような裁判が増えるのかもしれませんが、疑
問に感じるのは、業務外で感染の可能性はゼロではないと考えるので、
請求金額に近い額の損害賠償を命ずるのは驚きました。


2025年3月29日(ミャンマー地震M7.7)
 3月28日、ミャンマーでM7.7の大きな地震がありました。ニュース映
像を見ると、オフィス街らしいところで、建物の外の歩道に多くの人が
避難していましたが、とても危険です。地震でガラスが割れると、頭上
からガラス破片が落ちてきます。
 歩道に避難するのは非常に危険です。看板やガラスが落下してくる可
能性があり、さらには、電線が垂れてきて、触れると感電します。

                        
 ご安全に!

2025年3月22日(作業指揮者の選任)
 今週の書類送検事例に、「作業指揮者の選任措置及び保護帽の着用措
置を講じていなかった疑い」があります。
 
https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/content/contents/202503141500-1.pdf
 荷役作業においては、作業指揮者が2種類あります。
①車両系荷役運搬機械等作業指揮者
 労働安全衛生規則第151条の4において、事業者は、車両系荷役運搬機
械等を用いて作業を行うときは、当該作業の作業指揮者を定め、その者
に作業計画に基づき作業の指揮を行わせなければならないと規定されて
います。労働安全衛生規則第151条の3には、車両系荷役運搬機械等(フ
ォークリフト等を用いて作業を行う時は、あらかじめ当該作業にかかる
場所の広さ及び地形、当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力、荷の
種類及び形状等に適応する作業計画を定めなければならないとされてい
②積卸し作業指揮者
 労働安全衛生規則第151条の62、第151条の70及び第420条において、
構内運搬車、貨物自動車、貨車に、一の荷でその重量が100キログラム
以上のものを積む又は卸す作業を行う時は、積卸し作業指揮者を定め、
その者に作業を直接、具体的に指揮させなければならないと定められて
います。一の荷とは、貨物取扱い作業において取扱いの対象となる一単
位の重量物をいうとされています。人力、フォークリフト、クレーン等
で一度に取扱う荷が100キログラム以上となる場合に、積卸し作業、ロ
ープ掛け・外し作業、シート掛け・外し作業を複数の作業者で行う時
に、作業指揮者の選任が必要になります。ただし、フォークリフト等車
両系荷役運搬機械等を用いて、積卸し荷役を行う時は、車両系荷役運搬
機械等の作業指揮者が、積卸し作業指揮者を兼ねて差し支えないものと
されています。
 これらの作業指揮者は免許や技能講習の資格要件がないため、認知度
が低いように感じます。
 今回の書類送検事例は貨物自動車を使用する荷役作業ですが、貨物自
動車等の荷役運搬作業以外にも作業指揮者の選任が必要な業務が多数あ
りますので、該当の作業があれば作業指揮者の選任状況を確認してくだ
さい。
 ・コンクリートポンプ車の輸送管の組み立て、解体作業(則171条の3
 ・くい打機、くい抜機等の組み立て、解体、移動の作業(則190条)
 ・高所作業車を用いる作業(則194条の10)
 ・危険物を製造し、または取り扱う作業(則257条、則389条の3)
 ・化学設備等の改造、修理、清掃等(則275条
 ・ロープ高所作業(則539条の6)
 ・停電作業、高圧活線作業等(則350条)
 ・建築物、橋梁、足場の組み立て、解体又は変更の作業(則529条)
  (ただし、作業主任者の選任が必要な作業を除く)
 ・天井クレーンの点検等の作業(クレーン則30条の2)
 ・建設用リフトの組み立て又は解体の作業
 など多数の作業について作業指揮者の選任が必要です。
 (上記以外にも、発破、廃棄物焼却、除染などもあります)

                        
 ご安全に!

2025年3月15日(玉掛け無資格)
(ニュース記事引用)
 クレーンに荷物を吊る「玉掛け」を社員に無資格で行わせたとして、
京都南労働基準監督署は3月7日、京都府京田辺市の建築資材製造会社
「アナン通商」と社長を労働安全衛生法違反容疑で書類送検しました。
 昨年2月19日、玉掛けの資格がない60歳代の男性社員に、重さ数百キ
ロの材料が入ったコンテナバッグをクレーンでつり上げる作業をさせた
疑い。バッグは作業中、クレーンに取り付けたベルトが切れて落下。男
性はバッグと別の機械との間に頭などを挟まれ、数日後に死亡した。
                        (引用終わり)
 クレーンで荷物を吊り上げる作業では、クレーンの資格と玉掛けの資
格が必要です。なお、クレーンと移動式クレーンではクレーン運転の資
格が異なるので注意が必要です。
 クレーンの免許・技能講習・特別教育を受講したことがある方はわか
ると思いますが、それらの講習の中にも玉掛け作業についての知識が必
要なため、クレーンの資格を得ると、玉掛けも可能になると間違って理
解しているのかもしれません。クレーンは機械を扱うので、資格が必要
だが、玉掛け作業はワイヤロープなどの吊り具を使うものだから資格は
関係ないと思うのかもしれません。ワイヤロープをクレーンのフックに
引っかけるだけと思うのかもしれませんが、必ず確認してください。
 協力業者などで新しい方が現場に来たときに、口頭で確認するとか、
調査票などで、取得している資格を書かせる場合もあると思いますが、
修了証と照合するなど確認してください。
 ある会社では、修了証の確認と引き換えに資格別のステッカーをヘル
メットに貼っている会社もあります。
 なお、小型のホイストでは0.5トン未満のものがあります。この場合
は、特別教育の実施義務はありませんが、労働安全衛生法第59条により
安全衛生教育は必要です。お間違いのないようにお願いします。

                      
   ご安全に!

2025年3月8日(下水道工事で3人死亡)
 
3月7日、秋田県男鹿市の下水道工事現場で、3人が死亡する災害が発
生しました。原因は酸欠または有毒ガス(硫化水素)によるものだと考
えられます。
 一人目がマンホールに入った直後に体調不調を訴えて倒れ込み、救助
に向かった2人も倒れました。消防が救助したのは1時間後のことです。
 人が倒れた場合、遅くても5分以内に心肺蘇生を開始しなければ、蘇
生率は大きく低下します。
 この災害では、救助に向かった2人とも空気呼吸器等の呼吸用保護具
を装着していなかったということです。
 酸欠則(酸素欠乏症等防止規則)では作業の前に酸素および硫化水素
濃度を測定しなければなりませんが、正しくできていなかったのではな
いかと考えます。報道によると酸素濃度は測定したということですが、
酸欠則では酸素濃度18%以上あることを確認し、連続換気をしなければ
なりません。正しく測定して換気を行えば、リスクは小さくなります。
 測定については、直径1メートルのマンホールではマンホールの真下
の底付近と呼吸域付近を測定して、マンホールから、前後1メートルの
地点、さらに3メートルづつ進んだ地点を測定しなければなりません。
また、下水道の場合には、酸素濃度だけでなく、硫化水素濃度も測定し
なければなりません。
 酸欠および硫化水素中毒は、濃度の測定を正しく行い、換気が十分に
できていればリスクは小さくなります。その基本が守られていたら死亡
災害はほぼ防げるはずです。
 酸欠則では酸素欠乏危険作業主任者の選任が必要です。作業主任者は
緊急時(従業員が倒れるなど)の手順を定め、必要な機材(空気呼吸器
など)をそろえておかなければなりません。万が一、酸欠等で倒れたら
直ちに空気呼吸器等を装着して被災者に近づき、被災者の体にロープを
巻き付け、上から引っぱりあげ、速やかに心肺蘇生をしなければなりま
せん。そのためには、緊急時の救出作業を素早く、安全に行うためには
日頃からの訓練が必要です。
 なお、従業員が倒れてから空気呼吸器やロープを探していると時間が
掛かりますので、作業の前には、緊急時に必要な装備を準備しておきま

しょう。
                       
  ご安全に!

2025年3月1日(塗装業界に革命起こす「レーザー光線」)
 今週、気になった記事は、塗装業界に革命起こす「レーザー光線」と
いうものです。永久に劣化しないという塗装はないので、古い塗装を剥
がして新たに塗りなおしが必要になります。塗りなおしをするためには
元の塗装面を剥がし、錆を除去しなければなりません。その古い塗装を
剥がす作業が問題となっています。
 昔の塗装には、鉛やクロムが使われているため、剥がす際に発生する
粉じんには、化学物質や錆など有害物が含まれており、作業者の健康問
題もあります。また、空気中に飛散する粉じんが周囲に広がります。さ
らに、剥がすための電動工具の振動があるため、振動障害の可能性もあ
り、作業時間も長時間になるので、作業者の負担は相当なものです。
 そこで、今回紹介するものは、古い塗装も錆もレーザー光線で焼いて
しまうものです。焼くので蒸気は発生するので、まったく無害というわ
けにはなりませんが、粉じんの発生は非常に少なく、労働者の負担も少
なく、作業時間も非常に早くなります。
 発注する側にとっても、工期が短くなるということは費用も抑えられ
ます。まさに塗装業界の革命でしょう。ただ、レーザー光線を発生させ
る機械が高額なため、すぐに普及するのは難しいとは思います。
 なお、安全上の課題はあります。目に見えないレーザー光線なので、
人の皮膚に当たると、深刻な火傷になります。特に、誤って目に照射す
ると、失明の危険もあるので、安全対策が重要となります。
 (参考URL)
 https://www.fnn.jp/articles/-/834992
 
https://news.yahoo.co.jp/articles/06d6e0c9260a8464921f484bdc97079003e07271?page=1

2025年3月1日(富士急ハイランド点検中の事故2/28)
 
(ニュース記事引用:途中省略あり)
 山梨県富士吉田市のテーマパーク、富士急ハイランドのローラーコー
スター「ええじゃないか」の点検作業中に起きた死亡事故で、松村武明
社長が28日夕、記者会見を開き、コースターの運転を当面休止すると発
表した。富士急ハイランドの説明によると、男性従業員は、「ええじゃ
ないか」のホーム付近で車両の下に潜り込んで作業していたという。午
前11時ごろ、車両とレールの間に挟まれている男性を発見。救急車で搬
送する際、男性の意識はなかったという。ドクターヘリで甲府市内の病
院に搬送されたが、死亡が確認された。
 同コースターでは平成19年にも点検作業中に車両に挟まれ、整備担当
者が肋骨を骨折する重傷事故が起きてきた。(引用終わり)
 警察が事故の原因を調査するということですが、「車両の下に作業員
が入っていたことを知らなかった」というような単純なものではなく、
車両の下に入る場合、物理的に“動かない”“挟まれない”という対策
ができていなかったのではないかと考えます。平成19年にも挟まれる事
故があったということですが、単に「動かすときには確認すること」な
ど、人の信頼性に頼るような対策では効果がありません(人間のするこ
とだから、“つい”“うっかり”ということが発生します)。

 
2025年3月1日(エレベーターの籠がない)
 2月27日、神戸・三宮にある商業施設でビルの4階のエレベーターの
扉が開いたままになっており、男性が転落死した事故がありました。
 なぜ、籠がないのに扉が開いたのか原因は不明です。
 エレベーターに乗るときに、扉が開いて、中の状態を指差し呼称し
て乗る人はいないでしょう。扉が開いた瞬間に中に入る人が多い。な
かには、スマホを触りながら中に入る人もいるぐらいです。
 原因は不明です。籠(搬器)が4階の扉を閉めてから上の階に上昇
するのですが、なんらかの理由により、搬器が扉を閉めずに上昇した
と考えられます。

                       
  ご安全に!

2025年2月22日(温泉地での硫化水素中毒)
 (ニュース引用)
 福島市町庭坂にある高湯温泉「花月ハイランドホテル」の関係者3人
が17日午後、源泉管理作業のためホテル近くの山間部に入り、行方不明
になった。18日午前、県警や消防などが捜索したところ、雪上で倒れて
いた3人を発見し、その場で全員の死亡を確認した。市消防本部による
と、現場は硫化水素など有毒ガスの濃度が高かった。福島署は有毒ガス
を吸込んだ可能性があるとみて死因や当時の詳しい状況を調べている。
 福島署によると、亡くなったのはホテルを運営する星野商事常務(56)
ホテル支配人(63)、ホテル従業員(67)。
 3人は17日午後2時ごろに源泉のある山中に入り、夜になっても戻らな
かったため別の従業員が同日午後8時20分ごろに110番通報した。一夜明
けた18日午前9時頃に福島署員や消防隊員ら約20人が捜索を開始した。
同10時ごろから正午ごろまでに、ホテル北側の山道から源泉に向かって
約100メートルの地点で、雪の上に倒れていた3人を次々と発見した。
 (引用終わり)
 温泉地の源泉調査等の作業で硫化水素によって死亡災害が発生した例
は過去にもありました。
  2015年3月18日
   秋田県仙北市の乳頭温泉郷で源泉の近くで湯温や湯量を調整する
   作業で3人が硫化水素中毒で死亡。
 いずれも積雪が関係しています。周囲の積雪が高く、窪み部分に硫化
水素が滞留したことが関係しています。硫化水素の比重は1.19で空気よ
り重いため、低い場所に滞留しやすいものです。卵の腐ったような独特
の臭いはありますが、温泉地は独特の臭いがあることからあまり気にし
なかったのかもしれません。
 また、3人が重なるように死亡していたことから、最初に倒れた人を
助けようとしたと考えられます。硫化水素の比重が大きいことから、足
元にいくほど、高濃度になります。雪で滑って転倒したとたんに足元の
高濃度の硫化水素を吸引して意識を失い、その人を助けようとして、し
ゃがみこんだ二人も高濃度の硫化水素を吸ったのではないかと想像しま
す。
 報道では防毒マスクをしていなかったことが要因とありました。硫化
水素用の防毒マスクはありますが、それを装着していても、高濃度の硫
化水素の場合は危険です(マスクと顔の僅かな隙間から入ってくる程度
でも致命傷となる可能性があります)。
 このような場合には、硫化水素用の防毒マスクを使うのではなく、硫
化水素濃度の測定器を携帯し、常時濃度を監視しながら作業し、基準値
の10ppm(注:ppmは100万分の1の単位)以上になればすぐにその場所か
ら離れることが重要です。硫化水素は非常に危険なので、防毒マスクで
対応するべきものではありません。硫化水素に対応できる呼吸用保護具
としては空気呼吸器がありますが、作業時間が短く、重量もあるので、
源泉の調査等に使えるものではありません。


2025年2月22日(悪質な労災かくし)
 非常に悪質な労災隠しがありましたので、紹介します。
 
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/002147484.pdf
 建設機械と壁に挟まれ、1か月の重傷でした。事故の状況を考えると、
死亡災害につながるような重大な事故です。このような事故が発生すれ
ば労働基準監督署が調査に行き、作業計画や責任体制など細かく調べら
れます。それを避けるために、どこの会社でも起こるような荷台からの
転落事故に見せかけたのでしょう。
 不正が明らかになった経緯はわかりませんが、昨今は、SNSなどで情
報が広がりやすく、隠し事が難しい時代です。労災隠しは必ず書類送検
になると思ってください。


2025年2月22日(エイジフレンドリー補助)
 令和7年度もエイジフレンドリー補助金が行われるようです。(厚労
省から事業者の公募が始まりました)
 エイジフレンドリー補助金制度の内容は下記サイト(令和6年度)
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09940.html
 令和7年の内容については不明ですが、昨年から大きく変わらないと
思います。

                         
ご安全に!

2025年2月15日(布製タイヤチェーン)
 
今年は特に雪が多い。「豪雪」と呼ばれるものとして、「38豪雪」が
あります。昭和38年の豪雪です。私は生まれていましたがまったく記憶
にありません。当時の映像を見ると、自衛隊が火炎放射器で融雪してい
るものがありました。まったく効果がなかったようです。もっとも雪の
表面に炎を放射しても、雪は空気を含んだ断熱材のようなものですから
表面を焼いても意味がないでしょう。
 さて、雪による車の事故も多く発生していますが、今年は布製タイヤ
チェーンがよく売れているそうです。もっとも、チェーンではないので
“タイヤソックス”という名称でも売られています。この特徴はタイヤ
チェーンとおなじよう使えるだけでなく、装着が非常に簡単です。説明
書をちらっと見るだけで、ほんの数分で装着できます。布製なので、取
り扱いやすく、軽く、かさばりません。もちろん、布製ですから乾いた
アスファルトで使用すると破けるなど耐久性には問題あります。
 よく売れているようですが、気を付けなければならないのは、走行す
る前に装着して、走行が終われば取り外して乾燥させなければなりませ
ん。装着したままにしておくと、水分が凍結してしまい、氷のタイヤで
走行するようになるので、非常に危険です。
 また、雪道を走行する場合でも破れる可能性があり、破れてしまうと
役に立たず、ノーマルタイヤでの走行と同じになりますので、購入する
場合は予備も合わせて購入した方がよいでしょう。

2025年2月15日(つり足場落下により5人が死傷)
 
1月27日広島県廿日市市の中毒自動車道の橋梁で工事用のつり足場が
落下し、5人が死傷する事故がありました。
 西日本高速道路中国支社の報告によると、足場は長さ約10m、幅約
14mで、計20本のチェーンでコンクリートの橋桁から吊るされていた。
計画では、チェーンを固定するアンカーを橋桁の下端から130mm上に
打ち込む想定だったが、20本全てで65~91mmと浅い位置に取り付けら
れていた。さらに、つり足場の両端を支えるチェーンも計画より少ない
状態でした。
 130mm上に打ち込むというのは、作業者の人数と必要な資材の重量
を基に算出されたものだと想定されるので、作業者が安易に変更できる
ものではありません。20本全てで下回ったということは、力学の知識が
乏しかったのだろう。(力学の知識があれば、安易に変更ではしないと
思われる)
 また、足場を吊るチェーンは28本吊る計画でしたが8本不足していま
した。何らかの理由により掛けられない場合があるかもしれません。た
とえば、梁などに当たるとか、図面と異なる状態もあるでしょう。しか
し、掛けられないからといってしなくてもいい理由にはなりません。チ
ェーンを掛けられない場合には、計画書の見直しが必要になります。

                        
 ご安全に!

2025年2月8日(窓ふき掃除ロボット)
 
(ニュース引用)
 京都府精華町の山田荘小で昨年7月、校舎の窓ガラスを清掃していた
女性=当時(36)=が転落し、死亡した事故で、京都南労働基準監督署
は2月7日、労働安全衛生法違反の疑いで勤務先の清掃会社「LEE」と
現場責任者の男性(39)を書類送検した。
 書類送検容疑は、昨年7月29日、墜落防止の足場を設けずに、地上7.7
メートルの3階外壁から張り出したはりの上での作業を容認した疑い。
同署によると、女性は命綱をつけず、幅25センチのはりの上に立って窓
ガラスの外側を清掃していたという。
 同社の社長は京都新聞社の取材に「足場を設ける予算がなく、外で作
業しないよう女性に伝えていたが、他の社員が止められなかった。遺族
に誠意を持って対応する」と話した。(引用終わり)
 仕事熱心な社員だったのでしょう。小学生が汚い窓に囲まれた教室で
勉強させたくないと考えたのでしょうか。7月の猛暑の中だったので、
熱中症の可能性もありますが、バランスを崩したのかもしれません。
 窓ふき作業で足場を組む費用を賄うのは無理でしょう。校舎の窓です
から安全帯のフックをかけることも難しいと感じます。
 昨年、がっちりマンデーで紹介された窓ふきロボットがあれば外側も
安全に窓ふきできるでしょう。
 エコバックス WINBOT W2 OMNI
 https://www.ecovacs.com/jp/winbot-window-cleaning-robot/winbot-w2-omni
 強い吸引力で窓に張り付きながら、掃除します。
 

2025年2月8日(定期健康診断未実施で書類送検)
 定期健康診断未実施で書類送検される事案に驚きました。
 労働災害としては、建設現場で警備に就いている男性社員が熱中症で
意識不明となり、災害の要因を調査されたことによるものでしょう。
 
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/002120620.pdf
 

2025年2月8日(埼玉県 道路陥没)
 
道路陥没事故の被災者救助も復旧工事も遅れています。
 ドラックの運転席は、直径5m弱の下水道管に入り込み、少し下流に
流されたようです。
 下水道管にそのような大きなものが流れることは想定もできないし、
どのように引き上げるのでしょう。しかも、下水道管には大量の汚水が
流れており、相当な濃度の硫化水素が発生しているようです。硫化水素
は卵が腐ったような特異な臭いを放つだけでなく、生命にかかわるよう
な有害なガスです。下水道内を換気すると、周囲に悪臭を広げてしまう
ので、簡単にはいきません。
 陥没事故から10日以上経過していますが、復旧には相当かかりそうで
す。報道では完全復旧には数年かかるとも言われています。
 テレビで日本の下水道の長さは、地球を18周するぐらいの長さがある
と言っていました。ドローンを使う調査でも全数検査するだけでも相当
な日数がかかります。さらに寿命を迎える下水道管を交換したり補強す
るのも大変なことです。この事故を教訓として、速やかに対策する必要
があります。

                        
 ご安全に!

2025年2月1日(埼玉県 道路陥没)
 
今週は、フジテレビの記者会見が10時間も行われたことに驚きました
がそれ以上に、埼玉県の道路陥没に驚きました。
 ネット上では、交差点で信号待ちをしていた車のドライブレコーダー
の映像が公開されました。それを見ると、道路の穴が開いていたところ
に気が付かずに落ちたのではなく、通りかかる寸前に一気に崩落しまし
た。前をよく見ていても避けられなかったでしょう。
 周辺住民への影響も大きいようです。
 報道によると下水管の直径は4.75メートルでトラックから切り離され
たの運転席は、下水管に入り込んだ可能性があるということです。
 大量に水を含んだ土砂と流れ続ける下水などで救助も復旧も相当の日
数を要することでしょう。
 日本中に寿命を迎える下水管が無数にあることでしょう。下水管の補
強工事も行われていますが、すべての下水管を補強することは非常に困
難です。埼玉県では空洞探索車を走らせ、危険個所を探しているようで
す。下水道老朽化は依然から問題になっており、検査ロボットの活用も
進んでいます。
 下水道は上水道と異なり、バルブで簡単に閉じることができず、地中
の深い場所に敷設されているので破損時の復旧工事には時間がかかりま
す。

2025年2月1日(法改正の諮問及び答申) 
 
1月27日発表
 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00021.html
 内容は
①個人事業者等に対する安全衛生対策
 1 個人事業者による措置
 2 注文者等による措置
 3 労働基準監督署等への申告
 4 災害状況の報告
②小規模事業場に対する心理的な負担の程度を把握するための検査等の
 適用(50人未満の事業者について当分の間、努力義務の特例を廃止
③化学物質による健康障害防止対策
 1 危険性及び有害性情報の通知制度の履行確保
 2 危険性及び有害性情報の通知制度における営業秘密の保持
 3 作業環境測定の対象拡大
④機械等による労働災害防止対策
 1 特定機械等の製造許可及び製造時等検査制度の見直し
 2 特定自主検査及び技能講習の不正防止対策の強化
 3 型式検定対象機械等、技能講習対象業務等の見直し
⑤高年齢者の労働災害防止対策
 なお、施行期日は2026年4月1日ですが、②の小規模事業場のストレス
チェックは2026年4月1日の施行日から3年を超えない範囲で政令により
定められます。
 詳細については上記のURLで確認してください。

2025年2月1日(熱中症防止)
 パブリックコメント(意見募集)で熱中症防止に関する規則改正があ
ります。

https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495240317&Mode=0

 内容としては、すでに多くの事業所で行われているチェック体制や緊
急時の措置について労働安全衛生規則に明記するようです。

                         ご安全に!

2025年1月25日(2月化学物質管理強調月間)
 
今年から毎年2月は“化学物質管理強調月間”となります。
 https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001342208.pdf
 スローガンは
  「正しく理解 正しく管理 化学物質と向き合おう」
 この機会に、化学物質に関する、責任者の表示、掲示物、リスクアセ
スメント結果の教育および、リスク低減対策の維持状況などを確認しま
しょう。
 現場に指導に行った際には、防じんマスク・防毒マスクや化学防護手
袋をしているから安全だと考えておられる事業所が多いと感じます。完
全な絶対安心できる保護具は残念ながらありません。選択が悪い場合も
あれば、吸収缶などの使用限度が決められていなかったり、変色してい
る化学防護手袋を何の疑いもなく使用しているのをよく目にします。
 たとえば、有機溶剤使用職場で、防毒マスクを使用しているのですが
よく見ると、防じん機能付きの防毒マスクを使用している。粉じんによ
る汚染がないにもかかわらず防じん機能をつけています。防じん機能は
無いよりも有る方が良いと思うかもしれませんが、防毒マスクに防じん
フィルターを付けると、吸気抵抗が大きく増加して呼吸が困難になりま
す。それを平気に使用している作業者は、接顔部の隙間からの空気を吸
っていると考えなければなりません(防毒マスクの吸収缶は吸気抵抗が
大きく、さらに防じんフィルターを付けると、吸気抵抗がさらに大きく
なります)。なお、防じんマスクや防毒マスクについては、着用時に密
着性の確認(シールチェック)が必要ですが、実施できているでしょう
か。
 防毒マスクの吸収缶の交換頻度を決めていない例が多い。吸収缶は何
カ月も使用できるものではありません。ある作業者に聞くと、「変な臭
いがしたら交換する」と答えました。吸収缶は、環境気中濃度から破過
時間を推定して交換頻度を決めなければなりませんし、その破過時間は
使用する物質によっても異なります。
 化学防護手袋は穴があいたら交換と考えている事業所もあります。穴
は空いていなくても、化学物質の成分が手袋の素材を透過(分子レベル
で透過)するので、透過時間を推定して交換しなければなりません。
 防毒マスクの吸収缶や化学防護手袋の交換時期の説明は長くなるので
省きますが、ご不明な点があればメールなどでお問い合わせください。

                         
ご安全に!

2025年1月18日(ピクトレ 電柱撮影)
 
今週はこれにおどろいた、感心した。
 ピクトレ(ぼくと私の電柱合戦)
 https://pictree.greenwaygrid.global/
 これはアプリのゲームなのですが、街中にある電柱を見つけて写真を
撮って送信するとポイントが得られるというだけのゲームです。ゲーム
参加者は空いた時間にポイント(賞金)を得られるので時間を有効に使
えます。
 このアプリゲームは東京電力グループが運営しています。
 東京電力管内には、約600万本もの電柱があります。これを全て点検
して回るのは膨大な労力とコストがかかります。その電柱を一般の方々
に写真を撮ってもらい、画像照合すれば異常の有無を把握できます。た
とえば、電柱にカラスの巣があれば、電力トラブルにつながります。電
柱の老朽化による傾きも把握できます。年々老朽化が進み、電柱の寿命
により異常の発生頻度は増えていくでしょう。
 つまり、東京電力は、ゲーム参加者にポイント(賞金)を払う方が社
員を使って全数点検するより効率的といえます。このようなゲームには
他にマンホールの写真撮影などもあるそうです。TBSの報道番組“あさ
ちゃん”で紹介されたのでますますユーザーも増え、企業側のメリット
もあるでしょう。
 たとえば、道路標識が見えなくなっていたり、停止線や横断歩道が消
えていた場合にも使えるでしょう。、
 公共の場所にある物の異常を把握することは難しく、何か事故があっ
てから気付くようでは事故は防げません。市民からの通報では不十分で
す。事故やトラブルを未然に防ぐために社員が点検するより、このよう
なゲームは企業側にも自治体にもメリットがあるので今後さまざまなゲ
ームが作られるように思います。


2025年1月18日(合成着色料「赤色3号」)
 アメリカで、合成着色料「赤色3号」の使用が禁止されるニュースは
ご存じだと思います。「動物実験により発がん性の懸念がある」と発表
されましたが、消費者庁は「問題なし」と発表したようです。
 ただ、「問題なし」と断定することには疑問を感じます。いままで健
康被害が無かったから安全とはいえません。
 企業などでの昼食など混乱が生じるかもしれません。
 健康被害が認められてから使用禁止にするのでは遅いので、脱「赤色
3号」は進めていくべきだと感じます。

                         
ご安全に!

2025年1月11日(千葉県 解体工事で天井崩落)
 1月9日、JR千葉駅近くで10階建てのビルの解体工事中に天井が崩れて
落下し、下の階でトラックで作業していた作業者が下敷きになり、2名
が死亡する事故がありました。
 当時、3階部分の解体作業をして、鉄骨を2階に置いたところ、重みで
床が抜けて、1階で作業している人の上に落ちたということです。
 解体工事では重機を使用するため、床面の耐荷重については把握して
いるはずです(耐荷重を把握していなければ重機の選定ができない)。
 解体するビルは複合ビルということなので、大きな荷重がかかること
はないと想定して設計されいると考えられます。そのため大きな重機を
使用すると床が抜ける可能性があるので、鉄骨はフロアーの床に降ろさ
ず地面に降ろすはずです。しかし、鉄骨は2階フロアーに置かれ、床が
抜けたようです。
 私の推測ですが、地面に降ろす予定がなんらかの理由により降ろせな
くなったのではないかと考えます。そのため、耐荷重について知識のな
い作業者が安易に鉄骨を降ろしたのではないでしょうか。
 定められた手順からなんらかの理由により、作業の継続ができなくな
った場合には、作業を全て中止し、現場責任者が関係者を集めて作業手
順の再検討を行い、作業者全員が集めて作業内容の変更を指示しなけれ
ばなりません。 

                         
ご安全に!

2025年1月5日(羽田空港衝突事故)
 
昨年1月2日に羽田空港において、日本航空機と海上保安庁機の衝突事
故がありました。運輸安全委員会は12月25日に調査の経過報告を公表し
ました。
 事故の原因として、下記3点が重なったとあります。
 ①海上保安庁機側が許可を得たと認識して滑走路に進入した
 ②管制官側が海上保安庁機の進入を認識しなかった
 ③日航機側が衝突直前まで海上保安庁機を認識しなかった
 また、公表では管制官と操縦士側の音声記録があります。
 日航機には機長と副操縦士2名でした。
(1)午後5時45分14秒
 滑走路担当管制官
  「こんばんは、ナンバーワン、滑走路手前の停止位置C5へ地上走
   行せよ」
(2)午後5時45分18秒
 副操縦士「滑走路手前の停止位置C5へ、ナンバーワン、ありがとう」
 機長「ナンバーワン、C5、問題なしね」
 副操縦士「問題なしでーす」
(3)午後5時45分25秒
 機長「はい、じゃあ離陸前チェック」
(4)午後5時46分13秒
 海上保安庁機は滑走路手前の停止位置C5を通過
 
 以上の通信記録より、復唱確認が一部抜けていたことから、「C5停
止位置」へ進入が、「C5進入」と誤ったように感じます。
 また、この報告では「滑走路占有監視支援機能」が両機を検知し、発
動したにもかかわらず、滑走路担当管制官は認識していなかったこと、
および、他のターミナル担当官が海上保安庁機が滑走路にいることを気
付いたが危険を察知したが、問い合わせたが、滑走路担当管制官には意
図が通じなかったとありました。
 意思疎通のミスが許されない際には、復唱確認が効果的なのですが、
その復唱確認の一部が脱落すると、理解の違いが生まれます。「停止位
置C5]と「C5」ではまったく意味が違います。復唱確認が不完全で
あれば、再復唱確認が必要です。
 衝突事故が発生したのは、1月2日でした。前日の能登半島地震のため
急いでいたことや、羽田空港の離着陸が多いことも要因として考えられ
ます。

                         ご安全に!
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