里山だより        2011年6月26日(日)  晴     
                              梅雨の晴れ間、午前中の気温 29℃
                里山だより 紀の国森づくり基金活用事業)

 
ふるさと演習林・第2次拡張事業が、平成23年度の紀の国森づくり基金活用事業42件のひとつに採択されました。

 この事業は、はしもと里山保全アクションチームの久々の大きな事業であり、当会の本来の目的の活動です。

紀の国森づくり基金活用事業は、森林を和歌山県民の財産として守り育て、次の世代に引き継いでいくことを目的として、「森とあそぶ・まもる」、 「森をつくる・まもる」、「森をいかす」をテーマに、平成19年4月に施行された紀の国森づくり税条例」、「紀の国森づくり基金条例」に 基づく事業です。

 
6月4日、26日の両日、「ふるさと演習林第2次拡張事業 の本格的な活動が始まりました。  今回の事業を進めていただいた中岡様、参加していただいた皆様、橋本市での最後のキコリともいえる山林技師の松本さん浦口さん たいへん有難うございました。

今回の活動では、立枯れ木・竹・笹(篠竹)・ツタ類を完全に除伐した上で、これまで手入れしてきた部分をも含めて  より広範で豊かな里山を地域に復活・再生させることを目指しています。  

 この事業が完成すれば、隣接したため池を取り囲む形で、雑木林の大半、混交林、自然植生林という異なる林相を持つ山林となり、  北西と南東に隣接する民有の檜の植林山と合わせれば、当地で見られる殆どの林相を観察することが可能です。
  さらに今回の活動の中では、演習林全体を回遊できる山道も設置・整備していくことをも目指しています

26日の活動で、竹の伐採後に生えてきたシュートを更に伐採しました。 おいしい竹水で一息いれました。

   今回の活動の特色は、従来の活動では手をつけなかった「自然植生林」ゾーンの設置を企画したことです。 
すなわち、我々の祖先が農耕生活の中で育ててきた里山が作られるずっと以前から、この地で形成されてきた照葉樹を主体とする樹林を 部分的に復活させる試みです。  下部のため池の東側を中心に、次のような3つの小ゾーンを考えています。 

   (ア) コジイ・アラカシ林  (BとCの境界付近では最も多く自生しており、すでに10メーター近くに達するものもあります)

  (イ) イチイガシ林     (イチイガシは古代より存在する地元隅田八幡宮の「鎮守の森」を形成する中心樹種であり、
                  樹齢数百年と思われる大木もある。)  
 イチイガシは、昔から地元の人たちに「八幡さんの『イチの木』」として親しまれてきました。しかし周辺が開発され、コンクリート の自動車道に   取り囲まれる中で、往年の面影はみられず、地元の貴重な森を人々に認識してもらい、その森を応援する意味でも、演習林の中に   是非このゾーンを作りたいと考えています。 幸い下部のため池の東部は湿地帯であり、この樹の生育に適した環境です。 

 (ウ)自然遷移観察林   (今回の作業で竹とツタ等を一旦除伐した後はそのままで残して、
                   自然遷移を観察することができるゾーン。)    
   照葉樹林が成立するまでの長い年月や、本来の遷移ではなく竹藪になってしまう可能性など、課題は多いですが、
   今後、観察を楽しみながらその対応を考えていきたいと考えています。

  
今年の冬に約800本の竹を伐採しました。  
更に、6月26日、参加者で新竹を約500本伐採しました
約20年で巨木になる照葉樹林の大王「コジイ」。
演習林1番の大きなコジイは専門家に伐採してもらいました。
事業内容

 @ 新しく取り組んだ地域を中心として

  (ア)10数年間放置されたままの山林内の不要木の除去  

 A.檜の立ち枯れ木の討伐・除去 

 B.域内のすべての竹を約1メーターの高さで切り、除去 (5・6)月  

  C.新しく出たすべてのタケノコを除去(5・6)月 
   (約2メーターの高さで、その穂先約 50pで切り、「穂先タケノコ」として利用。
      残った下部は約3週間後これから「竹水」を採る)
                                   
  D. その他、不要な樹木・ツル、シノダケ等の全面的な除去 

  《これらの作業は、きつい傾斜地が殆どであること、倒壊の虞のある大木が何本も存在すること、
  10数年間も放置されたツタや竹が繁茂していることなど、 従来に比して極めて危険且つ困難が
  予想される。
 会員だけの実力では太刀打ちできない部分も多いため、専門家の指導・援助を受けることによって
 何とか目的を達成したい。またその作業を通して我々会員の山林作業にかかわる実力を向上させ
 たいとの願いが強くあります。》

   (イ)山林内の片付けが終了後、森作りの目的に合った樹木の植樹(’12年春)

   (ウ)山道の設置 

A 演習林全体として

  〜(ア)森作り構想(上で述べた各種林相を持つ里山づくり)に基づき、A および B 地域における
 不要木  (主に、大木化して落葉樹の生長を妨げているソヨゴ、ヤマモモ、サカキ、アラカシ等の
 照葉樹)を除去

 〜(イ)「ふるさと演習林」全体をつなぐ山道の整備 

 〜(ウ) 下草刈り(特にシノダケ)

      以下は、6月26日(日)の作業の様子です。


6月26日、森の中に、まっすぐな新しい道を作りました。 


今後整備をしていきます

山の専門家、松本さんは高野山の麓「筒香」出身です。 現在は橋本市内に住まわれていますが、木材の値打ちがあった時代 ご自宅は間伐材を売却したお金で建てられたそうです。   さすがは、プロの仕事です。大きなコジイの枝を瞬く間に落とされました。


冷たいソーメンと新たまねぎ新ジャガイモと大ご馳走です。


チェーンソーによる伐採の指導を受けました。


当日見つけた演習林の生き物

             モノサシトンボ
池の周りでは、モノサシトンボ、ギンヤンマ、コシアキトンボなど生き物の宝庫です。

タテハチョウ科の「ヒカゲチョウ」が樹液の蜜を吸っています。 
演習林へ道路には、たくさんのヒカゲチョウが地面に集まっていました。
                        
  ヒカゲチョウ


  ナワシロイチゴ
ナワシロイチゴ 田植えの頃に咲くこのイチゴは、花弁が開かない不思議な花です。
ミツバチは、無理やり花びらを開いて蜜を吸っていました。

 たくさんの生き物で出会える「ふるさと演習林」へ、
 是非訪ねてください。