里山だより 山笑う)   
                                            2011年5月2日(月)      晴れ  
 

春山淡冶にして笑うが如く。 杉尾峠から紀見峠への稜線を望む細川の田んぼは、一面のレンゲ畑が続きます。
芋谷の棚田、山内の菜の花畑、細川のレンゲ畑と、たくさんの地元の方が「環境と景観保全」と「我々の未来を守る」ために 生活の中で里山保全に取り組んでいます。   

 サクラが咲く4月24日は、葛原一族の守り神・横手八幡では境原区の人々がたくさん参加して「餅まき」が行われました。 当会の活動の場である芋谷は、登っていくと横手八幡を過ぎて境原区へ続き、芋谷トンネルを過ぎて細川区へ続きます。
山の管理、道の整備、水の管理と、芋谷への道を歩くと、当会の活動の何十倍もの人々が里山を守っているのを発見できます。
我々の活動は微々たる力ですが、道路の清掃などに参加していただき、いっしょに私たちの未来を守りたいものです。
                  
ふるさとや どちらを見ても 山笑う   正岡子規

芋谷の米作り 
  カスミザクラが満開の芋谷の棚田で、田植えが始まりました。今年は寒い日が続き、季節の進みも遅れています。 昨年の春、柱本の大原区長から「お米は八十八の手間をかけて食べられるようになる」と教えていただきました。 芋谷の方々は、たいへんな努力をして里山を守っておられます。他に頼ることなく自分たちだけの力で伝統を守られています。

 4月30日(土) 芋谷の棚田に水が入り、代かきが行われました。
今年は、Oさんの田んぼの一部はレンゲ畑になりました。 久々に美しい芋谷の風景が再現されています。 
以前は、芋谷の棚田も春は一面のレンゲ畑で、アルプスのお花畑が広がっていました。

 この日、Hさんの田んぼは、おばあさん・息子さんと孫・ひ孫の赤ちゃんも参加して「水入れと代かき」が行われました。 芋谷は、明るさに満ちています。 水を田んぼに深々と入れ、耕耘機で代かきをします。すでに稲の苗も田んぼの端に並べられました。
       代かきの後、伝統の道具 「あゆみ」を使って、田んぼの土を均していきます。 水を張り田んぼの土を均一にします。

  5月2日(月) 水入れ2日後、快晴の中、朝7時半におばあさんが、田んぼに到着し、水を抜き始めました。 下の田んぼから、稲を植えるのに丁度良いように水を抜いていきます。抜きすぎると上の田んぼの水を足します。
  この棚田で、約10俵の米が獲れるそうです。 昔は出荷しましたが、今は家族と親戚、知り合いの方々へ配る米です。  若い兄弟が、「水の調整と床のならし」を、教えてもらいながら、更に、伝統の道具「ならし棒」 (エブリのようなものです) 足跡を消し田んぼの床をきれいにします。
     

  

伝統を守る「棚田の米作り」が、この美しい景観を作り出しています。 参考までにご紹介しました。  見てください!草刈りをしたきれいな斜面と畔、日本の伝統が生きています。

 
芋谷の自然  
 今年の春は、昨年に続き気温が低い日が多く、季節の進みも遅く、5月の連休もカスミザクラがきれいに咲いています。 例年今頃現れるサナエトンボの仲間「オグマサナエ」や「ダビドサナエ」ももう少し後のようです。 森下さんの廃屋への道は、大部分がきれいに舗装されましたが、まだまだ貴重な生き物が残っています。  ムラサキ科の中では一番大きな花を付ける「ホタルカズラ」も美しく咲いています。

   周りの藪の中では、美しい声でなく「ウグイス」や「コジュケイ」が盛んにさえずっています。 姿は見えにくいのですが、
   良く見ると、こんなところにとまっています


「ウグイス」声は美しいのですが、姿はこんな地味な鳥です。


「コジュケイ」キジ科、こちらも姿を見せずに、大声で鳴きます。


明るいあぜ道は、チョウの楽園です。 ナミアゲハやヒメウラナミジャノメが、タンポポやカキドウシと春を楽しんでいました。

井奥 恵三