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できごと 1.「好き嫌い」 

 Kちゃんは好き嫌いが激しく、よく「K、これ嫌い!」と食べるのを拒否していました。ある日、園長がKちゃんに「そうなん、これ嫌いなん?」と聞くと、Kちゃんは「うん」と答えました。
 そこで「いつか食べれるようになると良いね」と伝えると、Kちゃんからは「嫌!」という返事が。
以下、Kちゃんと園長のやりとりです。

園長「うん。Kちゃんは嫌なんでしょ?」
Kちゃん「うん」
園長「先生は、Kちゃんがいつか食べれるようになると良いなって思ってるよ」
Kちゃん「嫌!」
園長「うん。だから、今は、Kちゃんは嫌なんでしょ?」
Kちゃん「うん」
園長「うん。嫌なんだね。それはそれで良いんだよ。ただ、先生は、いつかKちゃんが食べれるようになると、Kちゃんのために良いなって思ってるっていう事なんだよ」

 そう伝えると、Kちゃんは「うん...」と言いながら何かを考えている様子でした。

 次の週のおやつは意図せず、またKちゃんの嫌いなおやつでした。 どうするかな?と思いながらKちゃんを見ていると、また「K、これ嫌い」と言います。そして、しばらく間をおいて、こう言いました。

「みんなに食べてるところ見てもらうわ!」

 そう言って、おやつを口に運びました。園長が「凄いね!食べれて良かったね!」と伝えると、「もう1個食べるわ!」と更におやつを食べました。

 以後、Kちゃんは嫌いなものが出ても、自ら少しずつ頑張ってみる事が増えました。


解説

 このKちゃんと園長のやりとりは、対等の関係で行われています。
 もしも園長がKちゃんより上に立っていると、園長は「食べなさい!」と言う事になります。そうすると、Kちゃんにとっては、おやつを"食べる(主体的)"のではなく"食べさせられる(受動的)"になります。
 "嫌いなものでも食べる"という見た目の行動はどちらでも同じですが、心の中ではまったく意味の違うものになるのです。
 この時園長は、上からではなく、「食べれると良いなって思ってるよ」と、対等な立場から自分の思いをKちゃんに伝えたのです。

 それまで頑なに嫌いなものを食べるのを拒否していたKちゃんですが、「いつか食べれるようになると良いなって思ってるよ」という言葉に「うん...」と答えられた時点で、Kちゃんの心の中では、何かが少し変わったのです。それが最初のやり取りから1週間たった次の時に、「みんなに食べてるところ見てもらうわ!」という、主体的な形で出てきたのです。

 他に、月極児との、こんなやり取りもあります。

 野菜が嫌いなRちゃん。給食の野菜は、必ずと言っていいほど手を付けずに残します。そのたびにRちゃんに「食べれるようになると良いね」と伝えていました。そう伝えるたびにRちゃんは「嫌や」と返していました。

 そして、ある日。また野菜を残そうとしたところで「Rちゃんも野菜を食べれるようになると良いね」と伝えたところ、今度は、Rちゃんは大きな声で「うん!」と返事をし、「これ食べるわ!」と野菜を口に運びました。

 しかし、予想以上に、Rちゃんにとっては不味かったのでしょう。すぐにペッと吐き出しました(笑)。(ちなみに、その食材はナスビです)

 結局その日は食べられませんでしたが、大切なのは"食べれたか、食べれなかったか"という結果ではありません。Rちゃんが嫌いなものを食べようと頑張った、その事が素晴らしいのです。そして、Rちゃんの心の中に"食べられると良いな"という気持ちが生まれた事が大切なのです。

 以後、Rちゃんも少しずつ野菜に手を付けるようになりました。さらに、小食ですぐにお腹一杯になって残していたのが、食べられる量が増え、それに伴って日中の活動量も増してきました。

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