くりあがり計算機

 加算や減算の学習を進めてきて、くりあがり、くりさがりになると、とたんにむずかしくなってしまうものです。これは十進法は、位置で大きさを表示していること、つまり 1 「いち」が10個集まると10「じゅう」という新しいものになることの理解がむずかしいからだと思われます。
 従来はタイルなどで指導してきた10のかたまりです。以前、球が筒の中に入っていき、10個になると1本の筒が丸ごと十位に移動するものを作りました。これは動きがダイナミックで、10になると旅立つ感じがとてもつかみやすいものでした。しかし、部品点数が多く、特殊な部品も多くて作るのがむずかしいので、どこでも手に入る部品に置き換え、工作を簡単にするようにしたものが、紹介する「くりあがり計算機」です。簡単になった分繰り上がる時の感激は少し減りましたが、しかし、球が10個になると、1の位から10の位に動いて、位が変わるという感じは十分表現しています。これにより、10になれば一つのかたまりに変身し、位置が変わることを感覚的につかみやすくなったのではないかと思います。1本の筒に入ってくりあがる作品は、私たちの最新の著書「おもちゃがいっぱい」に紹介されています。クリックすれば開きます。

 十進法は、位置で大きさを表しています。つまり十の位は、表記は同じ『1』でも一の位が10個集まっていることを表しています。1が10個集まると、十という新しいものに変わるのです。
  9+3の例で、1の位が9を越え、10になったとたん、左側にかたまりとなって旅立つ様子を、上のビデオでごらんください。
スタートボタンを押すと始まります。
番号 部品名 寸法など 数量 メーカー 入手先 その他
A 台紙 A3サイズ 1枚 象の会HPより
B ラミネートシート A3サイズ 1枚 ホームセンター
C ベニヤ板 35.4cm×25.4cm 5.5mm厚 1枚 ホームセンター
D 養生シート板 14.5cm×21.4cm 1枚 ホームセンター
@ 鋼球9/16 直径14.2875mm 20個 大橋鋼球 http://www.ohashi-ball.co.jp/index.html
A コ型プラスチックモール15mm(十位) 長さ16p 1本 光モール ホームセンター http://www.h-mol.co.jp/
B コ型プラスチックモール15mm 長さ6p 1本 光モール ホームセンター
C コ型プラスチックモール12mm 16cm 2本 光モール ホームセンター
D L型アングル15mm 長さ14.5p 1本 光モール ホームセンター
E 竹柄丸パイプ7mm
長さ16.7cm 1本 光モール ホームセンター
F 枕木 17mm×20mm 長さ25.4cm 1本 ホームセンター
G ヒノキ材 幅3cm 厚み9mm(枠) 長さ22cm 端から35mmの位置、上下中央に8mmの穴 2本 ホームセンター
H ヒノキ材 幅3cm 厚み9mm 長さ6p 1本 ホームセンター
I ヒノキ材 幅3cm 厚み9mm(ご破算レバー) 長さ3p 1本 ホームセンター
J ヒノキ材幅15mm厚み9mm 長さ24cm 1本 ホームセンター
K ヒノキ材幅15mm厚み9mm 長さ12cm 1本 ホームセンター
L ヒノキ材幅15mm厚み9mm 長さ7.3cm 2本 ホームセンター
M 枕木・枠取り付け用木ねじ 長さ16mm位 16本 ホームセンター
N ちょうつがい 幅25mm位 1個 ホームセンター
O ちょうつがい取り付け木ねじ 長さ8mm位 4本 ホームセンター
P 磁石 直径20mm ホームセンター
Q ワッシャー 直径15mm ホームセンター
R 三角棒3mm 長さ35mm 2本 アクリサンデー ホームセンター

Q

↑スタートボタン

小さな部品群
拡大写真は下に
C ベニヤ板
D 養生シート板
プラスチックでできた
ダンボール板

A 台紙
B ラミネートシート

R

完成のイメージ
できあがりは下の写真のようになります。

R

@

N

Q

P

O

M

L

L

K

J

I

H

G

G

F

E

D

C

C

A

B

L型アングルを貼る

↑セロテープを巻く

養生シートの下ごしらえ
14.5cm×21.4cmに切ったDの養生シートを横長におきます。滑りをよくするために最初に一番下の横長部分を巻くようにセロテープを貼ります。
次に左端に合わせて、DのL型アングルを両面テープで貼ります。
L型アングルの右横に上のカットで「あとで使う部分」と表示している数字を下をそろえて貼ります。(完成イメージ写真参照

枠の取り付け
Gのヒノキ材の枠2本を穴を左側にして、両面テープで貼り付けます。そして、すでに穴を開けたベニヤ板の裏面から、木ねじでしっかり止めます。

あとで使う部分

枠のヒノキ材を固定するために、台紙を貼った板の矢印の位置4ヶ所に3oの穴を開けます。

台の穴あけ

台紙の貼り付け

 台紙はここをクリックしてください。統合グラフィックソフト『花子』で作った台紙(ZIP形式で圧縮)がダウンロードできます。花子をお持ちでない方は、ジャストシステムのHPから、閲覧、印刷ができる花子ビューアが無料でダウンロードできます。

http://www.ichitaro.com/try/hanako/viewer.html?m=ict1103

 台紙はA3サイズで作ってありますが、印刷するときにA4で縮小プリントアウトし、カラーコピーをするときにA3サイズに拡大コピーします。
 台紙をラミネートシートに挟み、ラミネーター で、ラミネートします。
台紙の上端と左端を線に沿って切り落とします。(下端と右端は、後で板に沿って切るので、今は切りません)
写真のようにベニヤ板の周囲や、中央に両面テープを貼ります。(くりあがりは、木ねじで横向けに止める部品もあるので、周囲と真ん中に縦1本くらいで十分です。)
上端と左端を合わせて台紙をベニヤ板に貼ります。そして、全体を裏返して写真のようにカッターの刃を曲げるようにして、板に沿わせて余分を切り落とします。このように刃を曲げて切ると、刃が板にぴったり沿うのできれいに切れます。

一番下にある横向けの数字の部分はあとで使います。ていねいに切り取り、捨てないでください。

準備
Fのコ型モールは、買ってきたときは内側に反っていて球の転がりがスムーズではありません。このため、別に15mm幅のヒノキ棒を用意し、コ型モールにはめ、熱湯をかけ反りをなくして、球の通りをよくしてから、寸法に合わせて切ります。

R三角棒↓

R三角棒↓

←  Lヒノキ材 →

Kヒノキ材

←DL型アングル

↓Cコ型モール細↑

←Bコ型モール短

→Aコ型モール長

Qワッシャ−↑

P磁

Iご破算レバー
Gヒノキ材 枠
D養生シート板

E竹柄パイプが少し見えている

Aのコ型モールの貼り付け
くりあがったときに球が10個転がり込むAのコ型モールを取り付けます。
Gの枠木の下の方の下端にそろえて、上下の枠木の左端にぴったりくっつけて両面テープで貼ります。(下の写真参照)
コ型モールは、右のような形をしていますから赤部分に両面テープを貼ります。

ここに両面テープを貼り、仮止めした後、木ねじで止める

Nちょうつがいの取り付け
ちょうつがいをコ型モールとGのヒノキ材の下端から1oくらい開けて上の写真のように取り付けます。

木製部品の取り付けなどは台紙上に位置が印刷されています

少し(1mm)開ける

ワッシャーを貼る位置

あとで説明

下部を取り囲むヒノキ材の取り付け
完成のイメージ写真の下部のヒノキ材をK、J、Lの順に取り付けます。
Kは、Gの枠のヒノキに上部をくっつけ、台の右端に沿うように両面テープで貼り付けます。
Jは、右端をKにくっつけ、台の下端に沿うように両面テープで貼り付けます。
Lの左のものは、Jに下端をくっつけ、台の左端に沿うように両面テープで貼り付けます。
 この位置に貼ると、上のちょうつがいとの間が少し開くので、ちょうつがいは自由に動きます。
Lの右のものは、立てて(球を停めるため、背が高くなるように)、Gの枠のヒノキに上部をくっつけ
 貼り付けます。

式を作るモールの取り付け
完成のイメージ写真の下部にある、式を作る球を置く部分のCのモールを、中央のLのヒノキ材に左端をくっつけて木ねじで止めます。

ワッシャーの貼り付け、枕木の取り付け
Qのワッシャーは、写真の灰色の位置に横に並ぶように両面テープで貼ってください。
Fの枕木は、17mmの高さになる方向を選び、台の上端に沿うように木ねじで止めてください。

Fの枕木は、上のような方向で、木ねじで止めます。

写真には写っていますが、取り付けは最後です。

ワッシャーを貼ったところ

竹柄パイプEの取り付けと、養生シートDの取り付け
Eの竹柄パイプを、枠の木の穴に上下貫通し、均等に入るように通します。そして、竹柄パイプに沿うように両面テープを貼ります。両面テープは、枠の木に当たらないように、上下1cmくらい離して、貼ります。
あらかじめ下ごしらえしておいたDの養生シートをもち、Gの枠の下側のヒノキ材の上面から均等に4oくらいすかせ、かつ上下の枠の左端にそろえるように貼ります。

三角棒の取り付けと調整

 Rのアクリル三角棒の斜辺に両面テープを貼り、図の位置に垂直になるように貼り付けます。右側はGの下の枠の右端から2cm内側に貼ります。左側は、球の中心よりやや左(ほんの少し)に三角の頂点がくるように貼ります。右写真参照

 球を上から転がしてみて、三角棒に当たっても、左側に転げ落ちずにL型アングルに当たって止まっていれば完成です。

セロテープを貼ったり、三角棒を使う理由
 球が10個になったときに左に転がり出ることでくりあがりを演出していますが、9個から10個への球のわずかな重みの変化を敏感に感じ取り、動くようにするためには、できるだけ動く部分の摩擦を減らす必要があります。このため、養生シートにセロテープを貼ったり、三角棒を使ったりするのです。

磁石Pの貼り付けと調整
 Pの磁石にほんの少し両面テープを貼り付けます。これは磁石の位置を調整しやすくするためです。ワッシャーの上に当たる養生シートの面に軽く貼り付けておきます。そして、球をL型アングルにのせていきます。9個までは動かず、10個になればガタンと左に転げ落ちるように磁石の位置を調整します。
 9個以前に動くときは磁石を右に、10個でも動かないときは左に動かします。何回かやれば実現できます。この部分がくりあがり作りでもっとも楽しいところです。うまくいったときの喜びはたとえようがありません。位置が決まれば、両面テープでしっかり貼りなおします。

球転がしガイドの取り付け
Hのヒノキ材の細い面に両面テープを貼り、Bのコ型モールを貼り付けます。そして、球を転がしL型アングルにまっすぐ転がり込むように、位置を決めて両面テープで台に貼ります。写真参照

取扱説明書をクリックすると、ワード形式で開きます。

2006/2/11 一部更新

くりさがりもごらんください。