第5版(2000.11.23)

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*****学校とその周辺【その2・中話編】*****

フフフフ・・・(Flash 動画編)

【その1・小話編】はここ押す


  2000.1.6 鬼の目に涙〜小学1,2ねんせいのおはなし〜

退職後 教員のパートタイマーをしていました(60才)。その最後の年、四肢麻痺障害のいちねんせいのお嬢さんの介助をしました、そのときのおはなし。

突然,鬼になる

 節分の日、突然、障害児学級の担任から「節分の鬼をしてくれ」と言われ、豆に付録でついてきた赤鬼のお面を渡された。

 「おいおい,もっと早く言ってくれたら準備ができたのに」とぼやきつつ,金属バットに赤い布をかぶせ,同僚から赤いジャンパーをかりた。


 準備中の鬼の独白──
●「きいちゃんは完全に鬼を無視するやろうなぁ…しつこくからんでやろう」  
●「いっくんにバットを取られないように気をつけなあかんぞ」  
●「双子の姉妹にも,ちゃんと豆があたるようにしてやろう」  
●「もと子ちゃん(私が担当している女の子)は泣くやろうなぁ。まぁ仕方がない,しっかりと泣かしてやろうっと」。

鬼の登場

 障害児学級のドアをダンダンダンダンとたたき,「わぉ〜! 俺は鬼だ〜」と言いながら,ガガガガガっと入っていく。
   ちゃんと「俺は鬼だ〜」と説明をするところなんぞ、いい教師やなあ。

 鬼の襲撃を無視するだろうと予想していたきいちゃんが,怖そうな顔で後ずさりする。「おおおお〜,成功,成功。彼に鬼を認識させることができたもんね」。

 図にのり今度はカーペットに寝ているもと子ちゃんの上で「ガオガオガオガオ!」。
 とたんに体をけいれんさせ,涙をハラハラと流しながら声を上げてなくもと子ちゃん。

 姉妹は逆に,鬼に向かって豆を投げてくる。その豆を取り上げてむしゃむしゃと食ってやる。俺は「こったら豆こ」の鬼か(西郷竹彦さん作のお話)。

 予想通り,いっくんは金棒を取りあげに来る。鬼は金棒を両手で上に持ちあげて逃げ回る。


担任のセンセ「横山さん,もうやめてよ」
「俺は横山ではない。鬼だ」としつこく攻撃をくりかえす。
息を切らした鬼,ようやく退場


鬼,退却

 おもしろいので,授業中の1年生と2年生の教室も回ることにした。
 一番驚いていたのは担任のセンセ。そりゃそうだよ。なんの予告もなく鬼が入ってくるんだもんね。思わず子どもをかばおうとしたプロ教師もいたぞ。

 子どもたちは,鬼に向かって粘土を投げつけてくる。粘土くらいならいいが,なんや妙なものを投げてくる子どもたちもいる。こちらはお面をかぶっているので視野が狭い。金棒にしがみついてくる子もいて,身の危険を感じる鬼。


 とうとう教室を出て職員室まで逃げたが,入り口で1年生の餓鬼(オッと,失礼)に取り囲まれた。
 あるお嬢さんに向こうずねを蹴られ,思わずうずくまる鬼。
ほんまに痛かった。涙が出そうになった。


「鬼の目に涙」である。


ごめんね,もと子ちゃん

 着替えてもとの優しい横山センセになり,教室に戻ると,もと子ちゃんは横目で私をにらみつけて,また泣き出す。

「みてみ,人間関係が壊れたやないか」と障害児学級の担任に嘆いても,もう遅い。泣きやむのに20分かかった。


 もと子ちゃんはその日,家に帰るなり何度も家の人に「鬼が怖かった」と話したそうな。
職員室では「もと子さん,今夜は寝ていてうなされるんちゃうか」なんていう話も……。


 明くる日,お母さんと登校してきたもと子ちゃんに「おはよう,きのうはおもしろかったねぇ。また豆まきしょうな」と声をかけた。するともと子ちゃん,「いや!」と首を横に振り,元鬼をにらみつけた。


 このホームページは、いかにもデジタル時代らしい作り方でした。メーリングリストに投稿した「鬼の目に涙」が『たのしい授業』編集部に目にとまり、原稿依頼と校正依頼のメールがきた。そのメールをHTML化して、出来上がり。テキスト入力の手間がなくて楽だった。よ〜く見ると「,」と「、」が混在しているのは、そのせいだ。

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99.10.12 「池にペリカンがいる!」〜小学3年生のおはなし〜

国道1号線ぞいの街中にある学校です。500mくらい離れたところに淀川が流れています。
 校庭のはしに小さな池のある小さい築山があります。畳4枚くらいの広さの池には、桜・椿などの花びらが浮かびます。コイ・フナ・カメもすんでいます。

授業中よそ見をしていた太郎君が叫びました。
     「センセエ〜。ペリカンが池の魚くわえてる」

 教室から30メートルくらい向こうの池に、魚をくわえた首と足の長い白い鳥がいます。
窓にかけよった子どもたちは、「ペリカンちゃうぜ」「あれ、ツルやぞ」「白鳥みたい」とわいわい。
「あ〜、逃げて行った」「すっこい(ずるい)」「魚かわいそ〜」「ペリカンは魚食うんやで」。

 子どもたちからは、白鷺=シラサギとの名前は出ませんでした。

 勉強を中断して、「あれは、淀川にいるシラサギで、空を飛んでいて池をみつけて降りてきたのだろう」「姫路城は白鷺城といわれている」などと話しました。

 それにしても、シラサギは賢い。校庭に子どもたちのいない授業中の学校へ降りてくるとは。休み時間に学校に降りてくるとタイヘンですからね、シラサギ君。


国会のサギ
  2000.11.10 朝日
  国会中庭にある噴水池に舞い降りてきたサギが悠々と泳ぐコイを、大口開けてパクリ。
 知人のバード氏に聞くと、「よくあること」だそうだ。

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99.10.12 「センセイのお話」〜小学いちねんせいのお話〜

 退職後、パート教員として一年生のクラスで四肢麻痺の障害の少女の介護などをしていたときのことです。

 朝、掃除前のいちねんせいの教室。
中国人の少女が日本人と朝鮮人相手に手に持ったゴキブリをつきつけて、大騒ぎ。
パートのセンセは、ほうきとちりとりでゴキブリを掃き取り、窓の外に逃がしました。


日直  横山センセのお話はありますか

横山  何万年も前に恐竜が地球にいました。でも、今はもう住んでいません。
    その恐竜のいた時代よりももっと前から今でも住んでるのがゴキブリです。

子ども へえ、ゴキブリは長生きすんねんなあ。
子ども 何万年もやて
横山  --------というやろなということは予想済み
    ゴキブリでもそんなに長生きしません。恐竜の時代にいたゴキブリ
    の子どもの子どもの子どもの子ども・・・が今も住んでいるのです。

    ゴキブリはばい菌をもっていたり、病気にかかっていたりしてあまり手に
    持ったりしない方がいいそうです。

子ども キショー  ヨクテイちゃん(中国人)にぎってたよ。

横山  でも、さっきみたいに「キャー」「気持ち悪る」「こわい」なんかいって
    騒ぎまわるのはゴキブリに対して失礼です。

    ゴキブリは「私はなんで人間から気持ち悪いなんて言われなあかんねん」
    とゆうてました。

子ども 先生、ゴキブリ語わかるん?
横山  あたりまえや、大学で勉強したもん
子ども フフフフ  うそ〜  トンボ語もわかるん?

横山  だから、ゴキブリさんに対して「気持ち悪い」なんかいうのを世の中では
    ゴキブリ差別といいます。みなさん差別してはいけません。

一年生の担任と少女を車椅子で学校へ送ってきたお母さん
    プッ(と、吹き出す)

  ------最後のお笑いは大人向けでした。子どもは笑う大人を見てました。

いちねんせいと大人を同時に笑わすのは難しいので お笑いをふたつ用意しました。



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