第六部 中国の友人たち
2.江南水郷古鎮めぐり
(3)同里(どうり)、ロク直(ろくちょく) (2011年6月)

この度の中国旅行(6月1日~8日)は、前半は北京及び承徳(河北省)、後半は上海及び蘇州近辺というものだった。前半については、このホームページの「第三部中国感動の旅」で紹介しています。ここでは、後半の蘇州近辺の水郷古鎮、同里(どうり)とロク直(ろくちょく、ロクは「用」の上に「ノ」を付けたような字)を紹介いたします。
 1
時に北京空港を発った飛行機は1310分、定刻に上海虹橋空港に着いた。国内便なので検査は簡単。荷物を受け取り高速鉄道の上海虹橋駅へ急ぐ。
  私は毎年、上海へ行っているのだが、この駅ができたことを知らなかった。蘇州駅まで迎えに来てくれるという教え子のOに、従来の上海駅経由で時間計算し、蘇州到着時刻を伝えていた。「先生、午後1時過ぎに虹橋空港について、蘇州へ着くのがどうしてこんなに遅くなるのですか」と聞かれ、説明している過程で高速鉄道の虹橋駅の開業を知った。空港から列車の駅までは歩いて十数分かかったがわかりやすかった。凄く立派な駅ができていた。(写真は上海虹橋駅の待合室) 
 この駅は、高速鉄道専用でなく、在来線も発着しているということだ。中国の列車の駅、バスの駅など、切符を買うのにも慣れてきて、次発2時9分発「高速動車G7146次」の切符を買うことが出来た。中国の高速鉄道の話は、2011年秋の紹興旅行の報告に譲ります。蘇州まで30分、二等41元。

  4年前、蘇州に来たときは、駅前の運河に架かっている橋など、駅周辺の工事が大規模に行われていたが、駅舎自体は古かった。それが、今回、駅舎自体がすごくデカく立派に生まれ変わっていたので、びっくりした。まだ、完成しておらず、構内、あちらこちらで工事が続いていた。
  3年ぶりにOと再会。彼女の家に比較的近い工業園区のホテルに泊まる、251元。蘇州に来た目的は同里、ロク直など水郷古鎮を巡ることだった。

同里(どうり)「水郷古鎮」の地図を見てください)

 翌日、ホテルへOが迎えに来てくれる。朝からあいにくの雨。路線バスもあるということだったが、もうこのホテルへ戻ってこないので、大きな荷物を持っての移動で、雨の中、バスでの移動は煩わしく、タクシーにした。同里は蘇州の東南20キロほどのところにある。40分ほどで到着、100元。
  同里は千年の歴史を有する古鎮。見どころは、世界遺産に登録されている「蘇州古典園林」の一つ、退思園。任蘭生という官僚が光緒13年(1887年)に造営した邸宅で、「退思」の名は、任蘭生が官界で経験した失意と人生の無常への感慨を表したものということだ。  

同里風景区の入口 水郷風景
  古戯台での上演  この日、6月6日は端午の節句       粽(ちまき)の振る舞いがあった 古戯台での上演
路地
左は退思園の庭で撮影の教え子O。中国の観光地へ行くとこのような衣装を着ての撮影が大人気衣装、撮影、写真、合せて50元(約600円)
二人の昼食 珍珠塔庭園
水郷風景 水郷風景
水郷風景(この2枚は、webサイト「中国江南・水郷古鎮の世界」より転載)

ロク直(ろくちょく)


 同里に2時過ぎまでいて、次の水郷古鎮、ロク直へ移動する。これもタクシー、110元。 Oは、ロク直に着いてホテルを決めるところまで付き合ってくれ、明日は出勤ということで、その後、路線バスで蘇州へ帰って行った。この町では、いいホテルが見つからず、一泊120元の安宿となった。
 ロク直の名の由来であるが、この町の運河が漢字の「ロク(ロクは「用」の上に「ノ」を付けたような字)」のようにめぐらされているからとか、神話の一角獣「ロク獣」が現れた地であるからとか言われている。後者の方が面白く、視覚的だからか、今では一角獣が鎮のシンボルとなっていて、鎮の入口に坐っている。
  旅の案内書には、ロク直は、「江南橋梁博物館」といわれるほど、宋代から清代までのさまざまな橋の姿を楽しめる古鎮である、と記されているが、鎮自体、私が行った他の古鎮と比べ、そんなに広くなく、橋が多いという印象もなかった。
  町の中心には1500年の歴史を有する古刹保聖寺がある。また、中華民国初期には、この地で創業した「万盛米行(まんせいべいこう)」が、江南屈指の米商店として国内外に名をはせたという。
 その他では、
ロク直出身の著名人に王韜(おうとう)がおり、その紀念館がある。王韜(18281897)は清末の思想家。広東省の官吏になったが、太平天国の同情者とみなされて職をやめ、知人のイギリス人の招きで1867年、留学。1870年帰国。帰国後は香港の「循環日報」の主筆として「変法維新」の主張を鼓吹した。彼は、中国がヨーロッパ資本主義の科学技術を学ぶことは歴史的必然であると考えた。1879年、日本の名士たちに招かれて日本を訪問、『扶桑遊記』を著した。また、彼と李鴻章との関係も面白い。
 なお、下の写真で転載Aとあるのは、小学館ウイークリーブック「中国悠遊紀行 江南古鎮」よりの転載で、転載Bとあるのは、「一方訂房網」からの転載で、転載Cとあるのは、「中国文化遺産網」からの転載である。


風景区入口の牌楼(手前が水郷)) 水郷風景(転載A)
水郷風景 路地
萬盛米行 萬盛米行(転載A)
保聖寺の庭 水郷風景
橋の踏み石のレリーフ めいめい、好きな衣装を着て記念撮影
王韜紀念館(転載B) 水郷風景(転載C)
 
 翌日、ロク直の二日目は雨も止んでいた。昼までロク直に留まる。昼食後、路線バスで蘇州へ出て、「高鉄」で上海へ戻る。ロク直~蘇州の路線バスは3元と安かったが、1時間半近くかかった上、ほとんど立っていたので疲れた。
 この旅行、最後の夜は、列車の上海駅に近い「莫泰168」に泊まる。上海駅付近のホテルだと、ここから浦東空港へのバスが出ており便利である。莫泰168は、私がよく利用する「漢庭」と同じようなビジネスホテルの連鎖店で、「莫泰」はMotelのこと。