「きゃっ・・・!」
は、ベッドに勢いよく投げ出された。
その勢いで跳ね上がった身体をアフロディーテの身体で押さえ込まれ、マットレスに沈められる。
そして間髪を入れずに、普段の彼らしからぬ荒々しい口付けに襲われる。
散々口内を弄られてようやく息をつけたは、激しく身体を捩った。
「やっ・・・!止めて!」
「ここで止めるぐらいなら、最初からこんな事しないさ。」
だがその言葉とは裏腹に、アフロディーテはの上から退いてベッドから下りた。
逃れるチャンスは今しかないが、先程のキスで力が抜けて思うように動けない。
程なくして、アフロディーテは大判のハンカチを2〜3枚手にして再びベッドに上がってきた。
「何するの・・・?」
「私の顔など見たくはないと、君はそう言ったね。ならば見なくていい。」
「な・・・・」
言うが早いか、アフロディーテは持っていた柔らかい布での目を封じてしまった。
視界が閉ざされ、は激しく抵抗する。
「嫌っっ・・・・!」
「何故?私達はもう何度となく身体を重ねているのに。」
「こんなの嫌よ!これを解いて!!」
「そんなに暴れないで。怖い事など何もないから。」
「いやぁっっ!!」
アフロディーテは何とかを落ち着かせようと、髪を撫でたり優しく口付けたりしたが、には全く効果がない。
とうとう、もがくの手がアフロディーテの頬を掠めた。
アフロディーテは小さく溜息をつくと、の手首を一纏めに捕らえた。
そしてもう一枚の布で緩く結わえ、それをも拘束してしまった。
「やぁっ!解いてアフロ、お願い・・・!」
「悪いがそれは出来ない。今日という今日は赦さないよ。」
「お願い、ちゃんと説明するから・・・!だから・・・!!」
「おや、取り付く島もなかったのは君の方なのに。まあいいさ、ゆっくり聞かせて貰おう。」
そう言うと、アフロディーテはの衣服を半ば引きちぎるように剥ぎ取った。
そして自らも一糸纏わぬ姿になると、再びに覆い被さった。
「あぅっっ・・・・!」
「さあ、言ってごらん?何故急に私を避けた?」
「それは・・・・、んあぁっ!!」
訳を話そうにも、アフロディーテに体中を触れられ、言葉にならない。
それでもは必死になって、途切れる言葉をつなぎ合わせた。
「パーティーの時・・・、んっ・・・!」
「パーティーの時に?」
「あの、『なんとか夫人』とか・・・あんっ!・・・いう人達に・・・・」
「何か言われたのかい?」
「うん・・・・、ひっ、あぁっ!!」
固く尖った胸の先端を甘く噛まれ、の身体がビクンと弾んだ。
目隠しをされている為、次の行動に予測がつかず、いつもより敏感に感じてしまうようだ。
些か倒錯しているとは思うが、ここしばらくのフラストレーションが爆発しているアフロディーテは、喘ぎ乱れるの姿にいつも以上に興奮していた。
「何と言われた?」
「分かんない・・・・、あっ!ん・・・、色々、言われたから・・・・」
「大体のニュアンスは?」
「不釣合いだとか・・・、アフロは・・・、私みたいな、んっ、平凡な女が、珍しいだけだとか・・・・」
「・・・・他には?」
「アフロは・・・、私を、からかって遊んでるだけだ、とか・・・いっっ!!」
あまりにも酷い言われ様に、アフロディーテは思わず手に力を込めてしまった。
少々強すぎる位の力で胸を掴まれたは、痛みに顔を顰めた。
「済まない、大丈夫か・・・?」
「ん、平気・・・・、あ・・・・」
痛みを癒そうとするかのように胸元に優しくキスを降らせながら、アフロディーテは更に問いかけた。
「それで?君はそれを素直に信じたのかい?」
「・・・・、自信が、なくなったの・・・」
「私は毎日君に惜しみなく愛を捧げていた筈なのに、それでも?」
「だって・・・・」
の声が、今にも泣き出しそうに弱々しく途切れていく。
には悪いが、その様子がどうしようもなく愛しい。
謂れのない嫌がらせを受けて傷ついていたのは気の毒だし、相手の女達には殺意さえ沸き起こるが、の心が冷めてしまった訳ではないと分かった事がとにかく嬉しかった。
「ならばその自信を取り戻して貰おう。」
「え・・・?あっ!」
アフロディーテは、既に十分過ぎる程潤ったの花弁に手を伸ばした。
そして蜜を溢れさせる泉の中に指を滑り込ませ、中をかき回す。
「うあっっ!!あんッ!!あ、アフ、ロ・・・!」
「まず、私達は不釣合いなどではない。むしろ逆だ。」
「ハァっ・・・!あ、んんっ!!」
「それから、私は君が物珍しいから手を出した訳ではない。」
「やぁっ!!あっ、う・・・!」
アフロディーテの諭すような話し声に混じって、の秘所から淫らな水音が聞こえる。
の中心に飲み込ませていた指を引き抜き、アフロディーテは身体をずらして秘所に顔を埋めた。
「私は君を心から愛している。平凡な女?私にとっては世界でたった一人の特別な女性だ。」
「んあっっ!!そんな・・・、所で・・・喋らないで・・・!」
熱い吐息が花弁に当たり、の肌がぞくりと粟立つ。
の反応を確認した後、アフロディーテは屹立する核を焦らすように舐め上げた。
「ふあぁっ!!」
「確かに君はごく普通の女性だ。外見の華やかさでは彼女らに勝ってはいない。だが、勝って欲しいとも思わない。」
「んぁ、駄目ェ・・・!」
「傲慢で怠惰で外見を飾り立てる事しか頭にない愚鈍な女達には、君の持つ美しさは一生かかっても出せないだろう。」
「はうっ!んっ・・・、くっ・・・!」
一旦話を切り、震えるの太腿をしっかりと固定して、とめどなく蜜を滴らせる中心から核までを何度も舌でなぞる。
その度には全身を震わせて喘ぐ。
次第にエスカレートしていくその様子に、アフロディーテはの絶頂が近いことを悟った。
今度は愛撫を止め、再びわざと其処に吐息がかかるように話を再開する。
「だが君も君だ。私よりも『なんとか夫人』共の戯言を信じたなんてどうかしている。」
「んっ・・・!ご、ごめん、なさ・・・」
「君も傷ついただろうが、私も酷く傷ついた。私など、君にとってはその程度の男だったのかい。」
「ちがっ・・・!違う・・・!」
「本当に?」
「あっ・・・・!ほ、本当、だから・・・・!」
「だから?」
「あん・・・、も・・・、焦らさない、で・・・・」
「そうだね。でもその前に、何か私に言うべき事があるだろう?」
「ご、ごめんなさい・・・・」
「違うな。」
「ん・・・・っ!愛してる・・・・!」
「フフッ、やっと言ってくれたね。よく出来ました。さあ、ご褒美だよ。」
「あっ!んぅっ、んっ!!あっ、あぁーーーっ!!」
核を音を立てて強く吸い上げられ、はあっという間に絶頂へ達した。
激しい痙攣が治まった後もなお小刻みに震える身体を見下ろして、アフロディーテは満足そうな笑顔を浮かべた。
息が整うのを待つ暇も惜しい。
アフロディーテはまだ回復しないに覆い被さって、一息に己の分身を突き入れた。
「あぁっ・・・・!!」
固く怒張したアフロディーテの侵入に、は白い喉を仰け反らせて反応する。
きつく締め付けてくる内壁に早くも果てそうになるのを堪え、アフロディーテは深い溜息をついた。
「さあ、もう二度と惑わされないように、私の愛を深く刻み付けてあげよう。この身体に。」
「んっあぁ・・・!アフロ・・・・・!あぁぅっ!!」
言うが早いか、アフロディーテは猛然との中を抉り始めた。
目も手も拘束されて身動き出来ないまま、自分が作り出す律動にガクガクと揺さぶられるに、激しく劣情を催す。
「あはぁッ・・・!あ、アフ、ロ・・・!これ、取ってェ・・・!」
「どれ・・・・?」
「目と手の・・・、外して・・・・!」
「済まないが・・・、もう余裕がないんだ・・・・!」
「そんな・・・・!ああっん!!」
には悪いが、この温もりを貪るのに夢中でどうにもならない。
見つめ合えない代わりに、せめてもの気持ちでもどかしい程の愛しさを言葉で表す。
「愛しているよ、・・・!」
「あっっ、う・・・!わ、私も・・・・!はぁっ・・・!」
荒い吐息と卑猥な結合音の合間に、呪文のように繰り返し愛を囁く。
何度も最奥を突き上げ、至る所に口付けを落とし、どうにかなりそうな程の激しい快感に酔いしれる。
「他の、者が・・・、どう言おうと・・・・!」
「はっ!あぁン!!くぅっ・・・!」
「私には・・・・!」
「ひっ!あっ・・、アフロっ・・・!だ、めェ・・・!!」
「君しかいない・・・・!!」
「やあぁっ・・・・・・!!」
の体奥で果てながら、アフロディーテはその身体を隙間もない程きつく抱き締めた。
下腹部が痺れるような快感と、耳に吹き込まれた情熱的な愛の言葉に蕩かされたもまた、彼をこれ以上ない程締め上げながら達した。
混濁した意識のまま抱き合う二人が感じられたのは、互いの愛しい温もりだけであった。
「済まなかったね・・・、こんな事をして。」
何とか落ち着いた後、アフロディーテは申し訳なさそうにの拘束を解いた。
再び開かれた瞳は涙で滲んでいた。
だが、の表情は以前と同じ、優しく穏やかなものであった。
「ううん・・・。いいの。私が悪かったんだから。」
「いや、気付いてやれなかった私も悪い。許してくれるかい?」
「うん。もういいの。ちゃんと分かったから。」
まだ余韻が残っているのか、力ないものではあるが、は精一杯の笑顔を向けた。
「私の事は?もう許してくれた?」
「勿論だとも。」
互いにバツの悪そうな笑顔を浮かべて、二人は軽く触れるだけのキスを交わした。
アフロディーテはの身体を引き寄せて胸の中に押し込めると、冗談めかした口調で明るく話し始めた。
「しかし、私達もまだまだだな。もっと揺ぎ無い関係を作らねば。」
「どうやって?」
「そうだな。もっと攻撃と防御を鍛えよう。」
「って何?」
「意地悪マダム達に負けない弁舌と、奴らを寄せ付けない程のエスコートさ。」
「弁舌!?私そんなの無理よ。」
「大丈夫、今度私が教えてあげるよ。上手い皮肉の言い方をね。」
「プッ、意地悪なのはアフロじゃない。」
アフロディーテは、軽く吹き出したの額に口付けた。
「だが取り敢えずその前に。」
「何?」
「もっと私達が愛し合う必要があるとは思わないかい?」
「・・・・思う。」
はにかんだような笑顔を浮かべるに、アフロディーテも心からの笑顔を向けた。
そしてどちらからともなく深い口付けを交わし、再びシーツの波間に沈んでいった。