初日の怪談が功を奏し、ミロはその後もずっとと同じベッドで眠っていた。
といっても、未だ関係の発展には至っていない。
最初のうち、はあの作り話にすっかり怯え、それどころではなかったからだ。
ところが、眠りに落ちるまでの他愛もない会話がすっかり習慣になったのか、はすっかりほとぼりが冷めた今でもミロをベッドに招き入れていた。
もうそろそろかもしれない。
がつまらない作り話を忘れ、自らの限界も日々近付いている今。
今夜もと語らいながら、ミロはそう思っていた。
「やっぱりと話していると楽しいな。」
「そう?」
「ああ。聖闘士なんかやってると、どうしても殺伐とした事があるけど、といるとその刺々したものがスーッと消えていく気がするんだ。」
それはようやく告げる事の出来た、ミロの本音であった。
今でこそ平穏な暮らしをしているが、そこに至るまでには色々あった。
そして、数は減ってきたとはいえ、今でも勿論。
そうして時折嫌でも殺気立つ心が、によって鎮められる。
だから好きになったのか、好きだからそうなるのか、果たしてどちらであろうか。
「ふふ、有難う。私でも少しは何かの役に立ってるんだね。嬉しい。」
「ああ。少しどころじゃないがな。」
「でも、私もミロといると楽しいよ。明るい気持ちになれる。」
「そうか。」
ミロは隣で照れているに、目を細めて微笑みかけた。
「俺、もう今更を帰せないかもな。」
「え?」
「家は今直してるけど、本音を言えば直したくない、にずっとここに居て欲しい、なんてな。」
「ミロ・・・・・」
「ま、そういう訳にもいかんからな。ちゃんと直してやるから安心しろ。」
『でも』と言い淀んで、ミロはゆっくりとに覆い被さった。
「気持ちはそうなんだ。本当は離したくない。ずっと俺の側に居て欲しい。好きなんだ。」
「・・・・・本当、に・・・・?」
「ああ。もし俺が嫌いじゃないのなら・・・・・、このまま目を閉じてくれ・・・・」
顔と顔が触れ合う程に近付いて、ミロはの反応を見守った。
そしてその数秒後、揺れていたの瞳はゆっくりと閉じられた。
こんなに愛していたなんて。
最初に口付けた時、そう思った。
自分で思っていた以上の恋心に、ミロは、そしては、目も眩むような光の中に投げ出された気分になった。
回数を重ねる毎に深く甘くなるキスを繰り返しながら、衣服を脱ぎ捨てて抱き合えば、二人は既に紛う事無き『恋人』になっていた。
「んっ・・・・・」
ミロはの身体に手を這わせた。
どこもかしこも柔らかい身体をしている。
軽く広げた手の中に収まる胸も、なだらかなカーブを描く腰も、張りのある尻や腿も。
たった一撫でしただけで、信じられない程気持ちが昂ぶる。
もっと欲しくて求めてしまう。
ミロは手を這わせた部位に、今度は唇を滑らせた。
「あ・・・ん・・・・」
手よりも余程繊細な唇や舌の感触を感じ、は溜息のような小さな声を上げた。
規則正しく吹きかかる息さえも快感になっている。
首筋に、胸元に、腹に、ミロの唇を感じる度に快感はより強まり、身体は反応を始めた。
「はっ・・・んっ!」
その反応がいち早く現れた部分を、ミロは見逃さなかった。
つん、と立った胸の頂は、無言のうちにミロを誘惑している。
ミロはその誘惑に乗せられるまま、其処を口に含んだ。
「んッ!」
敏感になった頂を吸われる、僅かな痛みにも似た快感に、は身体を震わせた。
その反応に益々刺激されたミロは、舌の動きを激しくさせた。
「ふ・・・ぁ・・・ッ!」
舌先で小刻みな振動を与えられる度に、疼くような快感がの背筋を駆け抜ける。
その刺激に焦れた身体は、無意識の内に胸元を仰け反らせてミロの愛撫を求めた。
「あん・・・・・、あっ・・・・・」
ミロの唇は、どんどん下へと移動していく。
脇腹を掠め、下腹部を這い、そして戦慄く太腿へと。
両手で割り開かれた内腿にミロの熱い吐息を感じて、は頬を紅潮させた。
「や・・・あ・・・、あんっ!!」
柔らかく薄い皮膚に軽く舌を這わせただけで、は身を捩っている。
すぐ目の前には触れられるのを今か今かと待ち詫びている花弁があるが、楽しみは後にとっておきたい。
ミロは敢えて其処には触れず、びくびくと震えるの脚を抱え込んで、焦らすような愛撫を加え続けた。
付け根の方へ進んでいく度、の身体が熱を帯びたように熱くなっていくのが分かる。
「あんっ、ミロ・・・・、やぁッ・・・・!」
「嫌?良くないか?」
感じていない筈がない事ぐらい、見れば分かる。
まだ触れられていないのにも関わらず、花弁は薄らと綻び、蜜を零し始めているのだ。
だがミロは敢えてそう訊いた。
もっと奔放に求めて欲しいから。
「違・・・・・、んっ!」
「なら良いじゃないか。」
「けど・・・・・」
「けど・・・・・?」
「あぁっん!!」
その先が聞きたくて、ミロはの股関節の辺りに音を立てて吸い付いた。
その途端目の前で花弁が痙攣し、新しい蜜の固まりが溢れる。
「や・・ぁ、ミ・・・ロ・・・・!そこ・・・やっ・・・」
「嫌?こんなに溢れさせてるのに?」
「んっあ・・・・!も・・・・、駄目ぇ・・・・、お願・・・、ミロ・・・・」
わざと脚の付け根から花弁の周辺を舐めると、はじれったそうに腰を揺らした。
しとどに濡れた花弁が、煽情的な光沢でもってミロを誘惑している。
その蜜を湛えた花弁とすすり泣くような甘い声に、ミロの劣情はとうとう限界にまで高められた。
「分かったよ、・・・・・」
「あっあ・・・・!ひあぁッ!!」
ようやく花弁にミロの舌の感触を感じたは、その刹那一際高い声を上げて身体を反らせた。
「う・・・ん・・・・・」
「なんだ、少しばかり口を付けただけなのに、もうイッたのか。」
「・・・・やらしい事・・・・、言わないでよ・・・」
「男は皆こんなもんさ。惚れた女を抱く時に興奮しない男なんて居やしないだろ。」
ミロは目を細めてそう言うと、ベッドに横たわった。
そして、恥ずかしそうに頬を染めてそっぽを向いているの手を引いた。
「上、乗れるか?」
「ん・・・・・」
ミロに促され、は身体を起こして座り込んだ。
ミロの腰からは、先走る欲望に先端を湿らせた楔がそそり立っている。
は一息呑むと、その上に跨り、楔の先端を己の中心に宛がった。
「ん・・・・あ・・・・・」
が眉根を寄せて自分を受け入れていく様を、ミロは黙って見守っていた。
手は腰に添える程度に留め、敢えて何もせずに。
一気に突き入れたい気もするが、ゆっくりと温もりを纏っていく心地良さも捨てがたい。
「ふ・・・・、あんっ・・・・・!はぁッ・・・・・」
ミロの全てを受け入れたは、切なげな溜息をついた。
男性の楔を受け入れた直後の、あの独特の圧迫感に声も出ない。
だがそれは一過性のものに過ぎず、何度か律動を与える事によって快感に変わる。
それを待ち望むように、はゆるゆると動き始めた。
「んっ、あんっ、・・・・・あぁっ!」
「ふぅっ・・・・・!」
淫猥な音を立てながら、はミロの上で跳ねた。
自分で動くとなるとつい臆してしまうのか、その動きは緩慢といえる。
だが時折うっかり深く腰を沈めてしまう事があり、その度には悲痛な声を上げ、ミロは快感の溜息をついた。
「、もっとだ・・・・・」
「あ・・・・、やぁっ・・・!胸、駄目ったら・・・・あんッ!」
腹に掌をついてぎこちなく動くに焦れたミロは、目の前で揺れている白い乳房の先端を摘んだ。
その途端、内壁がぎゅっと収縮して己を締め付けてくる。
胸を掴む手にの手が添えられたが、力の抜けた腕では行為を止めるまでに及ばず、は身を捩って喘いだ。
「あっあっ、あぅッ!んっ、はぁっ・・・・、あぁっ・・・・・!」
「もっと動いてくれ、ほら・・・・・・」
「やっ・・・・、無理っ・・・・!」
「仕方ないな、じゃあ手伝ってやるよ・・・・」
「え・・・?あ・・・、あ・・・・っ!!」
ミロはの胸を揉みしだいていた手を腰に戻すと、しっかりと掴んで己の腰に打ちつけ始めた。
「あぁぁ!!駄目っ、ミロ・・・・!強、すぎ・・・・!」
「悪い・・・・、もう止められん・・・・!」
「ひぃっ・・・あぁっ!!やぁぁっ!」
ミロは下から腰を突き上げ、貪るようにを求めた。
容赦なく突き上げられ揺らされるは、咽び泣くような声を上げている。
その律動に合わせてふわふわと揺れる髪に縁取られたの表情は息を呑む程艶かしくて、ミロは益々夢中になって突き上げた。
理性などとうに吹き飛んでいる。
あるのはただ互いへの想いと、繋げた身体の快感だけ。
睦言のように名を呼び合い、永遠のような一瞬のような、不思議な一時に身を委ねる。
「、・・・・・!」
「はんっ、あんっ!ミ、ロ・・・・!あぁん!」
もうどうにも止まらない。
勿体無いと頭では分かっていても、身体は絶頂の波を求めてやまないのだ。
ミロは何かに追い立てられるように、を揺さぶり続けた。
そして。
「くそっ、・・・・・!」
「あぐっ・・・・あ、あぁぁーーーッ!」
絶頂の寸前で解いた身体の隙間から迸ったミロの欲望の証が、の胸や腹を白く染め抜いていったのは、それから間もなくの事であった。
「やっぱり帰らせたくないな。ずっとここに居ないか?」
「あはは、ま〜だ言ってる。階段下りたらすぐじゃない。」
「それはそうだが・・・・・。じゃあせめて家が直るまでの間は毎日抱かせてくれよ?」
「プッ!直球すぎ、ミロ!それに、嫌なんて言わせないって顔してる気がするんだけど?」
「さすが。正解!」
「ちょ、ちょっとミロ!?どこ触ってるの!?」
「2ラウンド目、良いだろ?」
「やっ・・・・、ミ、ミロ!ミロってばちょっと・・・・!あっ・・・・!」
結局家が直った後も、なんだかんだでほぼ毎日のようにどちらかの家で愛を交わす事になるのだが。
それはあくまで後日談である。