「サン、そんナとこで寝たらだめデス。」
「うぅ〜ん、あと5分・・・・」
「起きて下サイ、サン。」
ヴォルグは床で寝ているを揺すって起こそうとするが、は一向に起きる気配を見せない。
そんなの様子に溜息をついて、起こすのを諦めたヴォルグは毛布を掛けてやった。
どうシテそんなに無防備なんですカ・・・
とはふとしたきっかけで知り合った。
ヴォルグは密かにに好意を寄せていたが、その気持ちを伝えてはいなかった。
正直、いつまで日本に居るか分からないし、何の保障もない。
簡単に手を出しての心を深く傷付けるような事は避けたいから、ヴォルグはの良き友人に徹していた。
しかし当のはそんなヴォルグの気持ちを知ってか知らずか、何ら警戒を抱くことなく部屋へ上がったり、こうして眠くなれば安心しきって眠ってしまう。
激情を隠して常に紳士的に振舞ってはいるが、それもいつまで持つか分からない。
このままではいつか欲望のままにを求めてしまうかもしれない。
ヴォルグは理性と野性の葛藤に苛まれていた。
「ごめんねー!人ん家で爆睡しちゃった。毛布掛けてくれてありがとね。」
「バクスイ?」
「思いっきり寝るって意味。」
「ああ、ハイ、どういたしまシテ。でもこんなトコで寝てはだめデス。」
「ホントごめんね!邪魔だったよね。今度からは気をつける。」
「邪魔とかそういうコトじゃなくテ・・・」
「うわもうこんな時間!私そろそろ帰るね。お邪魔しました!」
にこにこと笑って帰って行くを見送って、ヴォルグは溜息をついた。
「お邪魔しまーす♪今日はいいもの買って来たんだ〜。」
「いいモノ?」
「ほら見て!」
が差し出した袋には、赤くて大きな粒の苺のパックが入っていた。
「おいしそうデスネー。」
「でしょ!?あーんまりおいしそうだったから一緒に食べたくて買って来たの。今減量平気?」
「はい、チョットなら大丈夫デス。」
「良かったー。じゃあ早速食べよ!」
洗った苺をザルのまま二人で食べた。
「おいしー!すごい甘いね!」
「とてもおいしいデス。ありがとう、。」
「どういたしまして。」
は美味しそうに苺を頬張る。瑞々しい苺の果汁が唇を濡らして、ひどく扇情的だ。
ヴォルグはからそっと目を逸らす。
「きゃっ、冷たっ!!」
苺から滴る果汁が胸元に零れたらしい。
「大丈夫デスカ?コレ使って下サイ。」
「ありがと。」
はシャツのボタンを少し外して、ヴォルグの差し出したタオルで水分を拭き取る。
ちらちらと見える白い肌にとうとうヴォルグの理性は負けた。
「どうシテですカ・・・・」
「え?何?」
「ボクが怖くないデスカ・・・」
「何で?怖いわけないでしょ?どうしたの急に変なこと・・・」
「ボクだって男デスよ」
の手を掴んで引き寄せ、唇を重ねる。
唇を割って舌を絡ませ、その柔らかい感触を十分に味わう。
苺の甘酸っぱい味がますますヴォルグの理性を狂わせる。
「んっ!・・・っう、ん・・・・」
開かれた胸元から手を差し込み白い肌を撫でると、の身体がびくんと震えた。
そのまま床に押し倒し、シャツのボタンを更に外していく。
「やっ!ヴォルグ待って!」
「待てまセン。」
「ちょ、んぁっ!」
首筋に口付けながら弾力のある胸を柔らかく揉むと、の声に艶が出た。
その声をもっと聞きたくて、露になった肌に舌を這わせる。
「やぅっ!ん、あ・・・、はぁっ!」
申し訳程度に絡み付いている衣類を剥ぎ取り、ふくよかな膨らみの先端に吸い付いて甘く噛むと、の嬌声が高くなる。
スカートをたくし上げ、下着の上から其処に触れた。
「あんっ!」
其処は既にしっとりと潤って、熱を帯びている。
下着を引き下ろし、直接秘所を弄る。
とろりとした熱い蜜がヴォルグの指を湿らす。
「あぅっ!んん・・・、ふ、っはぁ、あァン!」
自分の肩を掴むの手に力が入る。
膨らんだ突起を撫で上げながら入口に指を添えると、其処は待ち望んでいたかのように自らヴォルグの指を飲み込む。
柔らかい内側を傷つけないように掻き回すと、淫らな水音が部屋に響く。
「あんっ!うぁ・・・、やっ、あああっ!・・・ぁ・・・」
はヴォルグの指を締め付け、身体を震わせて達する。
ヴォルグはの身体から指を抜き去り、自分も服を脱いで全裸になった。
荒い息を吐いてぐったりとするに覆い被さって、軽いキスを贈る。
「いきマスよ・・・」
「あっ・・・あああ!!」
身を割って入るヴォルグの感触に、再び意識を飛ばされそうになる。
ヴォルグは、の温かさと自身を締め付けられる快感に、我を忘れそうになる。
歯を食いしばって先走る欲望を凌ぎ、ゆっくりと腰を動かす。
「はぁっ、あっ、ヴォル・・グ・・・、やっ、あぁっン!」
目尻に涙を滲ませ、自分にしがみ付いて快感に耐えるに、惜しみなくキスの雨を降らせる。
重ねた唇は、まだ苺の味がする。
「あふっ、くっ・・、ん、あハァっ!!」
「くっ!・・・ぅ・・・」
繋がった部分から拡がる熱が、二人の身体を支配する。
に悪いとは思いつつも、もう自分を抑えきれない。
ヴォルグは、男の本能が命じるままにを求める。
「あっアン!ア、はァン!!あうっ!んっ、あっ!」
奥深くまで侵入し、自分を刻み込む。
弱く、強く、の身体を突き上げる。
「ああっ!あっ、ヴォル・・・、やァっ!も・・・、ああぁぁ!!」
最奥を射抜かれて、が絶頂へ駆け上がる。
きつく締め付けてくる内壁が作り出す快感に負け、ヴォルグも果てた。
「サン・・・、大丈夫ですカ?」
「ん、ちょっと腰痛い・・・。」
「ごめんなサイ・・・・・」
申し訳なさそうに目を伏せるヴォルグ。
先程まで激しくを抱いていた時とは別人のようだ。
「いいの、私も悪かったの。ヴォルグの人の良さに甘えてた。」
「サン・・・」
「ごめんね、きっと迷惑だったよね。もうここには来ないようにす・・・」
「違いまス!!そうじゃないデス!!」
の言葉を激しく否定するヴォルグ。
「迷惑違いマス!好きな人と一緒に居て何もナイ、辛いデス!でもボクはいつ日本を去るか分からナイ、君を傷付けるかも知れナイ、そう思ったら・・・・」
「ヴォルグ・・・・」
「ボクは・・・、君が好きデス。」
言った。
とうとう言ってしまった。
しかしこんな事をしてしまった後だ。もうきっと嫌われている。
ヴォルグは非難されるのを覚悟したが、の反応は予想外のものであった。
「ヴォルグ、私もあなたが好き。」
「え?」
「だから心配しないで。傷付かないよ、私。だから私の側に居て。」
「サン・・・・」
ヴォルグは、優しく微笑むを抱きしめて口付けた。
「ボク、もう怖くナイ。絶対に君を離しまセン。」
「約束よ?」
「約束デス。」
苺のような甘い恋が、二人の間で始まった。