負けた。
もう少しで手が届いたのに。掴み取れるはずだったのに。
東日本新人王戦を敗退した後から、間柴は荒れていた。
ボクシングを辞める気はないらしいが、「敗北」は確実に彼を蝕んでいた。
普段以上に無口で刺々しい彼を、はあの手この手で励ましていが、その努力は全て空回りに終わっていた。
「ねえ、今日は了の好きなものばっかり作ったんだよ。早く食べよう。」
は何種類もの料理を甲斐甲斐しくテーブルに並べる。
しかし間柴は見向きもしない。
「了。ちょっとでもいいから食べて。ねえ。」
は間柴の肩を揺さぶった。
しかし間柴は反応しない。
「了、そんなに思いつめないで。またチャンスはいくらでもあるわよ!了ならきっと・・・」
「うるせぇ。」
「私で出来ることがあったら何でもする。だから了、もうそんなに落ち込まないで。また頑張ろうよ!」
「うるせえって言ってんだ!」
「きゃっ!」
間柴はを突き飛ばす。
弾みで床に倒れ込んだに圧し掛かって、薄いブラウスを引き裂いた。
「いやぁ!何するの!?」
「何でもするんだろ?ならしてもらおうじゃねえか!」
そう言って、キャミソールも引き千切る。
「やめて了!やめてよ!!」
涙交じりのの懇願にも耳を貸さず、乱暴に着衣を乱す。
逃れようともがくの顎を掴んで、噛み付くように唇を貪る。
「んぅっ!!ん・・・、く・・・」
口内を乱雑に犯しながら、露になった胸を鷲掴みにする。
の顔が苦痛に歪む。
「ぅ、っん!・・・ぃたっ!・・・」
唇を開放してやる代わりに、白い胸に噛み付く。
滑らかな肌に、赤い華が散る。
「やぅっ!!痛い!」
の胸に強引な愛撫を加えながら、下着ごとジーンズを引き下ろす。
剥き出しになった脚の間に身体を割り込ませ、乱暴に秘所を弄る。
「いやぁっ!了!痛っ・・・!!」
の悲鳴のような声が、間柴の欲望を昂らせる。
まだ乾いたままの其処を性急に擦り上げる。
「やぁ!ん、ふ・・・あぅ!!」
痛みのせいか、なかなか開かない其処に痺れをきらして、間柴はの腰を抱え上げた。
すぐ目の前に晒された其処を舐め回す。
「うぁっ!や、りょ・・・、やめ、アァン!」
は身を捩るが、腰をがっしりと掴まれて逃げられない。
自分の秘所に顔を埋める間柴が見えて、羞恥の余り顔を背ける。
「ん、っあ・・・!あうっ!了、やめ、て・・・、んあぁ!」
間柴はの腰を開放する。
自分もズボンの前を寛げて、そのまま自らをに突き入れた。
「あぁっ!!」
「くっ・・!」
普段に比べて前戯が少なかった為、の中はいつも以上に狭い。
強烈な衝撃に耐え切れず逃げるの腰を引き寄せて、更に奥を貫く。
「あうっ!!りょ、やめ、んあっ!!キツ・・・、やぁっン!!」
苦痛の悲鳴の中に、微かに快感の色が混じり出す。
涙を浮かべて喘ぐを、滅茶苦茶に壊してやりたくなる。
間柴の中の凶暴な野性が、彼の身体を支配する。
の腰を高く上げて、全体重を掛けるように深く突き刺す。
「やぁぁ!!痛っ・・!んあぅ、はっ、あぁん!!」
もう何も考えられない。
ただひたすら一方的に与えられる苦痛と快感に耐えるだけ。
「はぁ、っう、あぁ!!くぅ・・ん、あぁっン!!」
二人の交わる音が、荒い息遣いと共に部屋中に響き渡る。
間柴が律動を早める。
子宮を突き破られそうな衝撃に、涙が溢れて頬を濡らす。
「いっ、ああぁ!!んあっ、やぁぁーー!!!」
「ぅっ!」
間柴は、の最奥を力の限り突き上げて、己の全てを注ぎ込んだ。
はまだ起き上がらない。
我に返った間柴は、手荒な真似をしたことを後悔し始めていた。
どうにもならない苛立ちを、にぶつけてしまった。
八つ当たりのように、乱暴に抱いてしまった。
「・・・気が済んだ?」
が背を向けたまま、話しかけてきた。
「、俺は・・・・」
「いいの。もういい。」
は間柴の言葉を遮る。
ふらふらと起き上がって、間柴の顔を真正面から見つめる。
「これで了の気が治まるんならいい。」
涙の跡が残る顔に、白い肌に散った赤い痕に、間柴の罪悪感が高まる。
許しを乞うように、その身体を抱き締めた。
が背中を優しく撫でてくる。
「・・・・・済まん。」
「もういいんだってば、了。」
背中に感じる小さな手の温もりに、胸が詰まりそうになるから、唇を噛み締めての身体をきつく抱き締める。
「了。私ずっと了の側にいるよ。どんな事でも全部分けて。私も一緒に背負いたいの。」
の心からの言葉が、間柴の心に染み込む。
そして今更ながら気付く。
が、ずっと自分を支えてきたことを。
こんなにも、を愛していることを。
、俺は必ず這い上がってみせる。
だから俺が栄光の座に就いた時は、その時は。
俺の隣で笑っていてくれ。