「は・・・・・、あぁ・・・・・・・」
ホークのキスに応えながら、は熱い吐息を洩らし始めていた。
初めは息が詰まりそうになっていたものだが、この1年で随分キスが上手くなった。
ホークに身体を預けて、舌を絡め合っていると、次第に背筋が甘く痺れてくる。
するとホークは、何故そこまで正確に分かるのかと驚く程のジャストタイミングで、をそっと横たえるのだ。
「ん・・・・・・・・」
服を脱がされ、胸を弄られ、そして、上から次第に下りてくるキス。
耳朶、首筋、鎖骨、胸元。
もう何度となく抱かれて、すっかり覚えてしまった彼の癖だった。
「はっ・・・・・・・」
ホークのかさついた唇が、胸の先端を掠める。
大きな手が、ショーツの中に入り込む。
その熱い視線に、射竦められる。
身も心も彼に絡め取られるこの瞬間が、は好きだった。
「あっ、あん・・・・・・」
まだ煌々と灯ったままのルームライトに恥じらいつつも、は抗う事なくホークに身を任せていた。
彼に抱かれていると、酷く安心する。
ホークのまっすぐな愛は、最早にとって、水や空気のようになくてはならないものだった。
「ねぇ・・・・・、背中痛いよ・・・・・。ベッドに・・・・・」
「ああ・・・・・・」
その力強い腕にふわりと抱き上げられながら、は言い知れぬ程の幸福感を味わっていた。
そう、最早ホークの愛は、にとってなくてはならないものになっている。
ホークは、何もかもを分かち合って苦楽を共にしてくれる、たった一人の人だった。
彼は最早、ボーイフレンドや恋人の域を超えている。
家族、というのも少し違う。
言うなれば、自分の半身も同然の存在だった。
「あぅ・・・・・・・・!」
ベッドに横たえられるや否や、熱い吐息が花弁にかかり、次の瞬間、柔らかな舌が秘裂を割った。
は身を震わせ、ホークの愛撫に翻弄され始めた。
「あっ・・・、はぁぅ・・・・ッ!」
灯の下で大きく脚を開かれる事に恥じらい、ホークが蜜を啜る音に恥じらいながらも、
は彼の性技によってみるみる内に追い立てられていった。
ホークの舌が花芽を突付く度に腰が跳ねて、自分でも恥ずかしくなる位に蕩けた甘い声が、否応なしに唇から零れて落ちた。
「あ・・・んぁっ・・・・・、はぁっ・・・ん・・・・!」
ホークの長い指が、身体の奥深くまで入ってくる。
掻き回される刺激に、太腿がわななく。
は堪らず、ホークの肩に爪を立てた。
「あっ・・・んんっ・・・・・、んぅっ・・・・・!」
ホークと同棲し始めて、は、自分が女である事を初めて自覚したような気になっていた。
夢、それは今でも一番大事なものだ。
しかし今ではそれと同じ位、ホークも大事だった。
ホークと出逢い、そして一緒に暮らし始めるまで、夢以外の何かにこんなにも心を捉われた事はなかった。
は最早、ただダンスの練習をしていればそれだけで幸せだった、ダンスの他には何も知らなかった無邪気な少女ではなくなっていた。
「あぁッ・・・ん・・・・・!ブライ・・・アン・・・・・!」
愛する男に触れられ、求められる悦び。
抱き締めて貫かれ、揺さぶられる快感。
それらが夢と同じ位の幸福を与えてくれる事を知る、『女』になっていた。
「いくぜ、・・・・・・・」
「あっ・・・あ、あぁぁ・・・・・!!」
ホークの逞しいシンボルがゆっくりと花弁を割り、深々と潜り込んでいくのを感じながら、
は愛しい男と一つに溶け合う悦びに身を震わせた。
狭い部屋の、古くて硬いベッド。
ここでもう何度、こうして抱き合って、眠りに就いてきただろうか。
「・・・・・・・ねぇ」
灯りを消して暗くなった部屋の天井を眺めながら、はホークに呼びかけた。
「ん・・・・・・?」
「私、今、凄く幸せよ。」
「・・・・何だよ、突然。」
ホークが小さく笑う声が聞こえた。
「クリスマス位、口に出して今の幸せを喜んでも罰は当たらないでしょう?」
「はは、そうかもな。」
「ずっとこのまま、こんな生活が続けば良いのに。」
はポツリと呟いた。
するとホークは、また小さく笑った。
「それじゃ困るんじゃないのか?ずっとこのままって事は、お前の夢も叶わないままって事になるんだぜ?」
「それはそうだけど・・・・・・・」
単に夢が叶い、栄光を掴めればそれで良いという訳ではない。
ホークに出逢うまでは、そればかりを考えて暮らしていたが、今は違う。
今のにとってホークはもう、夢と同等に大切な、いや、新たな夢とさえ言える存在になっていた。
このままずっと、いつまでも、彼と共に。
そんな夢が、にはあった。
「そういう意味じゃなくって・・・・・・、ずっと一緒に居たいね、って意味。」
はホークの胸に頬を摺り寄せて、そう囁いた。
「・・・・・・当たり前だろ?俺達は仕事するのも一緒、飯食うのも一緒、寝るのも一緒、見る夢も一緒・・・・・だろ?」
「・・・・・・・・うん。」
抱き締めてくれるホークの温もりに、はうっとりと目を閉じた。
「愛してる、・・・・・・・」
「私も・・・・・。愛してるわ、ブライアン・・・・・・・」
にとってホークは最早、自分自身と同じ位にかけがえのない人間だった。
単なる恋愛感情だけではない、何があっても揺るがない、深い深い絆で結ばれたたった1人の人間だった。
ホークはまるで家族、いや、自分の半身。
たとえどんな事があっても、もう決して離れられない。
そんな予感を感じながら、はホークの温もりに包まれて眠りに落ちていった。