「んっ・・・・・ふ・・・・・・・」
は、覚えたてのキスにまだ慣れていないようだった。
角度を変える度に悩ましげな吐息を洩らし、舌を絡めると苦しげに眉を寄せて、それでもぎこちない仕草で応えてくるのがいじらしかった。
「あっ・・・・・・」
邪魔な毛布を跳ね除け、の身体に巻かれていたバスタオルを一息に取り払ってしまうと、
は慌てて胸を両手で覆った。
だが、それをまた元通り左右に開いてやるのは、ホークにとっては造作もない事だった。
「隠すなよ。」
「やっ・・・・・、電気・・・・・・・」
「これ位は灯りがなきゃ出来ねぇよ・・・・・・」
それならばせめて灯りを消してくれというの頼みを敢えて聞き流し、ホークはの露になった胸をまじまじと見つめた。
「そん・・・な・・・・ぁっ・・・・!」
何と言われても、見たいものは見たいのだから仕方がない。
理由などない、本能がそうさせているのだ。見たい、そして触れたい、と。
ホークは己の欲望に忠実に従い、の胸の先端に舌を這わせた。
「はっ・・・ん・・・・・!あっ・・・・・」
掌にすっぽりと収まる膨らみを持ち上げるようにして揉みながら、小さな木苺のような飾りを舌で転がすと、は身を捩って甘い声を上げた。
「凄ぇ敏感・・・・・」
「や・・・だ・・・・・あぁっ・・・・・・!」
舌の動きを次第に強め、音を立てて吸い付くと、の身体がビクンと揺れた。
胸だけでこんなに反応するのなら、この先は。
そう考えただけで、股間が痛い程に張り詰めてくるのが分かる。
ホークは、腰に纏わり付いている邪魔なバスタオルの結び目を素早く解き、の片脚を開かせてその中心に触れた。
「やっ・・・・、駄目っ・・・・・・!んっ・・・・・!」
「もう濡れてる・・・・・・」
思った通り、の花弁の中はもうトロリとした蜜が湛えられていた。
ホークは秘裂を何度か指で擦った後、待ちきれないとばかりにの両脚を大きく開いて、股間に顔を埋めた。
「や・・・・だ・・・・・、あぁっ!」
羞恥の余り身を捩って阻もうとするをやんわりと押さえ付けて、ホークは夢中で秘裂を舌で割り、中から溢れて来る蜜を啜った。
「あ・・・ん・・・・、く・・・・・ッん・・・・・!」
は微かに腰を揺らし、抑えた声で喘ぎ始めた。
これまでのどの女よりも大人しく控えめな嬌態だが、それが却って劣情を煽る。
見え透いた演技より、余程魅力的だった。
「んんっ・・・・!!」
黒い茂みに隠れたピンクの花芽を舐め上げると、中からまた一段と濃厚な蜜が溢れてきた。
「はっ・・・・・!」
直接舌を差し込んで熱い蜜を掻き出した後、人差し指をゆっくりと埋めてみる。
すると、ヒクヒクと蠢く内壁が、ホークの指を根元まで咥え込んできつく締め付けた。
柔らかく、それでいてまだ芯に僅かな硬さを残している、の未成熟な身体。
綻ぶ寸前の蕾を開くかのように注意深い仕草で、ホークは挿入した指を動かし始めた。
「ぅ・・・ん・・・・・、あんっ・・・・・・!」
円を描くように指で掻き回し、ゆっくりと、ゆっくりと、拡げて解す。
もう片方の手の指で花芽を擦りつつ内部を弄っていると、がビクビクと震え始めた。
「ブライアン・・・・・、や・・・・っ・・・・・、ブライ・・・ア・・・!」
初めての感覚に戸惑い、絶頂の波に乗るのを怖がっているを導いてやりたい。
目の眩むような恍惚とした瞬間を味わわせてやりたい。
「もっ・・・・、やあっ・・・・!!」
「わっ・・・・!」
そう思って攻め立てたのだが、強すぎる快感はにはまだ受け止めきれなかったようで、
思い切り身を捩らせたに跳ね飛ばされ、敢え無く失敗に終わった。
「あっ・・・・、ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・・・!」
「何すんだよ、折角もう少しだったのに。」
「はぁっ、はっ・・・・・、だ、だって・・・・・・・・」
涙目のを見て、ホークは苦笑いを浮かべた。
「変な奴だなお前。わざわざイクの我慢するなんてよ。」
「そ・・・・なの・・・・?」
「そうだよ。もう少しで凄ぇ気持ち良くなれたのに。」
「だ、だって・・・・・、あのままだったらおかしくなっちゃいそうだったから・・・・・・」
「・・・・・・まあ、いいや。」
ホークは、の乱れた髪をクシャリと一撫でしてベッドから下りた。
「ブライアン・・・・・・?」
「・・・・・そんな情けない声出すなよ。」
背中を向けている為、顔は見えないが、声のトーンだけで分かる。
は、今にも泣き出しそうな顔をしているに違いない。
拒んだから嫌われたとでも思っているのだろう。とんだ早合点だ。
「・・・・・・心配すんなって。」
「え・・・・・・?」
ホークは自分の財布を探り、コンドームを取り出してに背を向けまま装着した。
「・・・・・・今更止められる訳ないだろ?」
「あ・・・・・・」
振り返れば、想像通りの顔が、見る見る内に赤く染まっていく。
もう限界だ。
「続き、しようぜ。」
派手な色のゴムを被せられ、天を向いて張り詰めている自身を隠そうともせず、ホークは再びベッドに戻った。
再びを組み敷いて、大きく開いた両脚の間に腰を埋めた。
ぱっくりと口を開けた秘裂の中心は、貫かれる事を予感してまた新たな蜜を零し、擦り付けられるホークの先端を熱く濡らした。
「ぁ・・・・・・」
「いくぜ・・・・・・」
「ん・・・・・!」
固く閉じられたの瞼にキスを一つ落としてから、ホークはぐっと腰を進めた。
「あっ・・・・・!」
はちきれそうに膨張した先端が、の内側を目一杯押し広げて潜り込んでいく。
ゆっくりと、しかし確実にその部分を埋め込んでしまうと、後は思ったよりすんなりと飲み込まれていった。
「あぅ・・・・・・!」
「・・・・・全部入った・・・・・・・」
身体を裂かれる痛みと衝撃に耐えているにそう告げると、はゆっくりと目を開けた。
上気した頬の朱と潤んだ瞳の黒が、一瞬ハッとする程印象的で、柄にもない事が頭を過ぎる。
「ブライアン・・・・・・・」
を、綺麗だと思った。
性的な魅力を十分に感じさせる風貌をした女=『イイ女』だと信じていた頃には、感じた事もなかった気持ちだった。
「ハッ・・・・・、これでもう、俺のもんだからな・・・・」
独占したい。
誰にも触れさせたくない。
初めてそんな事を思った。
「キス・・・・して・・・・・」
ホークは、蕩けるような微笑を浮かべているの唇に、思い切り吸い付いた。
「ん・・・・・ぅ・・・・・、ッはぁっ!?」
むしゃぶりつくように舌を絡め取りつつも腰を打ち付けると、の身体がビクンと跳ねる。
ただ抱き合ってキスをするだけでは物足りない。
もっと深く、もっと強くと、の奥深くに入り込んでいる自身が訴えかけている。
「あっ、あっ、あっ・・・・・!ん・・・・!」
「・・・・・・・・」
ホークはの両脚をしっかりと抱え、抑えきれない衝動に任せて律動を始めた。
浅く、深く、浅く、深く。
その動きは、自然と早く激しくなっていき、の嬌声もそれにつれて大きくなっていく。
「あはぁっ!もっ・・・・、ゆっく、りぃ・・・・・!」
「悪い・・・・、これ以上・・・・ムリ・・・・・!」
「あああっ!!」
堪えきれずにズン、と最奥を突き上げると、は悲鳴にも似た声を上げて身体を震わせた。
「・・・・・・・・!」
組み敷かれて貫かれ、切なく甘い声を上げるの媚態は、ホークを酷く興奮させた。
が好きで、大事にしたい。その気持ちに断じて嘘はないが、もう何も考えられなくなる。
今、ホークの頭の中を支配しているのは、ただ獰猛なまでに滾る雄の本能だけだった。
「やあっ!ああっ!!」
「はッ、はッ、ふぅッ・・・・・!」
「あっ・・・ん!んぁっ・・・・・!ハッ・・・・、ぃあッ・・・・・!」
「・・・・・・・、・・・・・・・・!」
「ああぁっ・・・・!!ブ・・・ライ・・・ア・・・・・、あうぅっ!!」
の歪む顔が、強い快感によるものか、それとも苦痛によるものか、それを考えるゆとりも最早ない。
ただ、大好きなに包まれて果てたい。
それだけを考えて、ホークはひたすらに腰を打ち付け、そして。
「も・・・・、くそッ・・・・・・!」
「あぅっ、あああッ・・・・・・・!!!」
ビクビクと震えるの身体を力の限りに抱きしめて、望みを遂げた。
荒い息が整い、身体の火照りが冷めていくにつれて、後味の悪い思いが胸の中に広がっていく。
今になって反省してももう遅いのだが。
「・・・・・・・悪い。お前初めてだったのに、無茶しちまって。」
ベッドの中でに腕枕をしながら、ホークは決まりが悪そうに謝った。
「ううん・・・・・・・」
「痛むか?」
「違和感はあるけど・・・・・・、でも平気。」
「そっか・・・・・・・」
どうやら幻滅されてはいなかったらしい。
それが分かっただけでも安心出来て良かったのだが、は薄らと微笑んで不可解な事を言った。
「良かったよ、とっても。」
「え?」
他に比べる対象がないのに、どうして『良かった』と言い切れるのだろうか。
ついさっきまでバージンだったにそう言われても、リップサービスとしか受け取れなくて密かに傷付くのだが。
しかしは、怪訝そうな顔をしたホークを見て、苦笑いを浮かべた。
「・・・と、思う。だって、頭も身体もブライアンで一杯になって、嫌な事とか不安とか、全部忘れられてたから。」
「そ・・・か・・・・・」
「うん。・・・・・電気、消すね。」
がさっさとスタンドを消してくれて助かった。
でなければ、照れた顔を見られて、恥ずかしい思いをしていた事だろう。
「・・・・・・ブライアン。」
「・・・・・・ん?」
「有難う。私と一緒に居てくれて。」
暗がりの中で、柔らかく澄んだ声が『愛してる』と囁いた。
「・・・・・・・俺もだよ・・・・・・」
腕力とセックスだけを感心するのではなく、ただ側に居る事を感謝し、愛をくれた女は、だけだった。
「・・・・・・愛してる・・・・・・」
初めて使うこの言葉を何気なく口にするのにどれ程緊張したか、はきっと知らなかっただろう。