A9.

コンピュータクロスマッチとは患者さんの血液型や不規則抗体(検査日も含む)情報と血液製剤の血液型や有効期限などのバーコード化された製剤情報をバーコードリーダーで読み取り、コンピュータ内で照合し、適合性を確認して血液製剤を準備出庫するシステムです。
よって試験管法によるクロスマッチを省略できます。
但し、このシステムを利用できる条件として、患者血液型が2回以上検査されいる。不規則抗体が輸血予定日の一定期間内(施設によって3日〜4日〜1週間以内など)に検査されていて陰性(過去においても陰性)であることなど、一定の条件を満たしたものが対象となります。
また、万全を期すため血液製剤の血液型も確認しておく必要があります。

コンピュータクロスマッチの利点として、血液製剤が素早く準備・払い出しできます。
さらに試験管代や輸血検査試薬代(反応増強剤やクームス試薬など)が節約でき、なにより検査手技の手間が省けます。
しかし、欠点としてコンピュータクロスマッチは保険請求できませんし、コンピュータクロスマッチの条件を満たすために頻回に不規則抗体検査を実施しても、(頻回輸血患者さんの場合)週に一回しか不規則抗体検査料は保険請求できません。
また、非常に希なことですが、患者血清中に低頻度抗原に対する抗体が存在していた場合は、輸血副作用が生じる可能性があります。(ただし、低頻度抗原に対する抗体は一般的に臨床的意義が低いとされています。)