Q81.DTT試薬は血清の処理以外にどのようなケースで使用するのでしょうか?

DTT(ジチオスレイトール)試薬は一般的に血清中の抗体が、
IgM抗体かIgG抗体かを鑑別するために使用されます。(2ME処理も同様)
患者血清をDTT処理すればIgM抗体が失活しますのでその区別ができます。
上記のように、DTT処理は血清中のIgM抗体を失活させる処理は有名です。
しかし、実は、血球の処理にも利用できます。
例えば、低温反応性のIgM抗体が自己血球に感作してオモテ試験に影響が出た時、
簡単に言ってしまえば、血球に感作しているIgM抗体を変性させてしまうために利用されます。
使用方法はAABBBテクニカルマニュアル13版(日本語版)の
p704-705(自己凝集の分散)をご参照下さい。

また、同じ血球処理でも血液型抗原性を壊すためにも利用されます。
具体的には、抗K抗体や抗LW抗体が疑われた時に、
DTT処理血球と患者血清との反応が陰性化するかを確認します。
処理対象となる血液型抗原や使用方法はAABBBテクニカルマニュアル13版(日本語版)の
p729(赤血球のDTT処理)をご参照下さい。
当院でも、抗LW抗体疑いの患者血球をDTT処理して抗体を推定したケースがあります。
また、他施設でも抗K抗体疑いでDTTを利用されたケースを聞いております。(参考:スタンダード輸血検査テキスト第2版 p74)

なお、DTTは粉末が販売されておりますので、パッファー(pHに注意)で溶解して作成します。
詳しくは、AABBテクニカルマニュアル13版(日本語版)をご参照ください。

まとめますと、DTTはオモテ試験などで(血球側)に感作しているIgM抗体影響除去と、
不規則抗体検査などで(血清側)のIgM抗体の影響を除去するために使用されます。