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まず、補体についてですが、補体成分で血清中濃度が一番高いのはC3です。
赤血球膜上の補体活性化経路は複雑なのですが、私なりに簡単にご説明させていただきますと、
抗原・抗体反応(赤血球+IgM型補体結合性抗体)が起こると、抗体のFc部分にC1が結合し補体が活性されます(古典的経路)。
また、C3bは赤血球に結合して(第2経路・副経路)、C3bがC3cとC3dへと分解され、C3dが赤血球上に残ります。やがて、C5.6.7.8.9複合体が形成されて膜破壊が起こります。ただし、補体に感作されたすべての血球が破壊されるわけではありません。

このため直接クームス試験(DAT)は、抗IgGと抗C3bだけでなく抗C3cや抗C3dも加えた方が、
より感作された血球の検出率(陽性率)を高くすることができます。

また、直接クームス試験(DAT)の際に使用するクームス血清試薬には、
1.多特異性抗体、2.抗IgG抗体、3.抗C3b抗体、4.抗C3b抗体+C3d抗体などがあります。
個人的な意見ですが、直接クームス試験(DAT)は、多特異性クームス血清(抗IgG、抗C3dを含む、メーカーにより抗C3b、抗C3cなどを含む)があれば検査が可能で、さらに、抗IgGがあれば感作しているものが補体のみか、あるいはIgGと補体の両方かなど、ある程度の鑑別ができます。
さらに、抗補体(抗C3b、抗C3d)を使えば補体の特異性まで鑑別ができます。しかし、通常のルーチン検査では抗補体までの必要生は低いかと思います。