追加情報:白血病(AML M2)の患者さんで輸血歴はありません。ご本人はA型と言っておられます。
ペーパー法でもおかしいと分かるほどフリーセルが多い方でした。

A73.
実施されているとは思いますが、こういったケースでは、まず、再検査を実施して下さい。
被検血球を生食水でよく洗浄して3〜5%血球浮遊液を再調整して検査して下さい。

さて、オモテ試験抗Aとの反応で部分凝集を認めた原因ですが、疾患(白血病)による血液型抗原性の低下、亜型(A3など)、異型輸血後、異型造血幹細胞移植後、キメラ・モザイクなどが考えられます。
今回の場合、最も考えられる原因は、疾患(白血病)による血液型抗原性の低下です。このような反応は、AMLでA型患者さんでの報告が多いようです。
白血病による抗原の減弱は通常一過性ですので、病状が回復すれば部分凝集(mf)もなくなってくるかと思います。
もし、亜型のA3であれば抗Aとの反応が(4+)のような強い凝集にはなりませんし、スライド法でA1型、A2型に比べ凝集開始時間が遅れますので区別できます。
輸血歴もありませんのでO型赤血球の異型輸血も否定されます。

また、特別な試薬がなくてもできる血液型精査には、吸着解離試験や被凝集価測定、血清中の型物質検査などがありますが、亜型と同定するためには、抗A1レクチンや抗Hレクチン、転移酵素測定(ガルザーブ)などが必要となるケースが多く、一般の病院ではなかなか亜型の同定は難しいかと思います。