A62. ブロメリンとは?ブロメリン非特異反応とは?

ブロメリンはパイナップルなどから抽出された蛋白分解酵素です。
ブロメリンは赤血球のまわりにあるシアル糖蛋白を分解し、除去します。その作用により赤血球膜のゼータ電位(赤血球同士が反発し合う力)が低下して感作された赤血球同士が仲良くなり凝集します。
ブロメリン法は、Rh系やKidd系の抗体の反応を増強しますが、逆にMNSsやDuffy、Xgなどの抗原は酵素処理によって破壊されてしまい検出できなくなることがあります。
日本人は抗EなどのRh系の抗体がよく検出されるのでブロメリン法が普及していますが、上記のように一部の抗体は検出できなくなる可能性があることからブロメリン法は補助的な検査方法と考えられています。

また、ブロメリンはときどき非特異反応を起こします。これは、他法では全て陰性でありながら、不規則抗体スクリーニングで全ての試薬血球と自己対照が、または、クロスマッチで全ての主試験と自己対照がブロメリン法のみで同程度の凝集を示す場合などです。(原因の1つに、冷式自己抗体(抗Iなど)が存在していることもあります。)
こういったケースでは、クームス法の結果を優先して適合血を選択されればよいと思います。

参考情報
赤血球の(直径約8μm、ゼータ電位による影響で)間隔は約35nmに保たれています。抗体(1量体)の長さは10nm以下ですので、赤血球に抗体(1量体)が感作しても、そのままの状態では凝集として観察することができません。ちなみに、重合ウシアルブミンは、まず赤血球に抗体を取込む働きをし、次に赤血球のゼータ電位を低下させて抗体の検出感度を高めています。




余談ですが....
酢豚にパイナップルが入っているのは、お肉(蛋白質)を(パイナップルの蛋白分解酵素により分解)消化しやすくするためなのでしょうか?
それなら利にかなってますよね!