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輸血検査の実際 改訂版(P91)にPEGを用いた温式自己抗体吸収法が掲載されています。
それぞれの比率は、自己血球と自己血清をそれぞれ1容に対して、2容のPEGを加え、37℃15分放置後、3400rpm/3〜5分遠心して上清で間接抗グロブリン法を実施するとなっております。
また、某社 学術の先生によれば、自己血球、自己血清、PEGの全てを1容の比率で吸収操作する方法を推奨されています。そうすれば、吸収後の上清4滴は血清2滴+PEG2滴になりますので、そのまま試薬血球を加えて37℃インキュベーションすれば良いとのことでした。
上記の様に、PEGを用いた自己抗体吸収法は、あらかじめ患者血球の処理が必要ありません。
理論的には、赤血球にくっ付いている自己抗体を剥がしてから血清中の残りの自己抗体を十分に吸着させる方が良さそうに思いますが、輸血検査の実際に掲載されているPEGを用いた自己抗体吸収法は事前に血球を処理する行程はありません。
aaBBテクニカルマニュアル(P740)にもPEGを用いる方法は赤血球の前処理を必要としないとなっております。
数例の経験談ですが、PEGを使った吸収法を使えば、1回の吸収操作で温式自己抗体を吸収することができました。PEGは非常に効率良く自己抗体が吸収できます。
なお、3ヶ月以内に輸血歴がある患者さんの場合は、同種抗体を吸収してしまう可能性がありますので原則的に自己抗体の吸収操作は不可です。