A.50

まず確認させて頂きたいのですが、ウラ試験は血漿か血清かどちらで検査されていますでしょうか?(多分、血清かな?)K社製ウラ試験試薬血球ならO血球もあるかと思うのですが、その反応は(0)でよろしいでしょうか?また、B血球との反応は遠心後上清が赤く溶血し、沈層は凝集している部分溶血(PH)なのでしょうか、それとも完全溶血(H)なのでしょうか.....?。

溶血の原因ですが、単純に考えますと
抗原抗体反応(凝集)+補体結合反応による溶血かと思われます。
補体を活性化させないようにして再検査してみてください。
対応策
1.検体が血清なら不活化してみる。
2.血漿(CBC検体などのEDTA採血されたもの)で検査してみる。
2.別メーカーのウラ試験血球で検査してみる。(O社製にはEDTAが含まれています。)
ウラ試験血球試薬にはEDTAが入っているメーカーと入っていないメーカーがあります。
K社製のウラ血球にはEDTAが入っていたと思います。(この件はK社に直接尋ねてみて下さい。)

また、B血球だけに溶血が起こる原因ですが、患者さんが糖尿病の場合、治療に使用されるブタインスリンに含まれるA型物質により抗A抗体は中和され、A血球との反応(凝集や溶血)が抑制されている可能性も考えられます。そのためB血球とのみ溶血反応が認められるのかもしれません。患者さんの疾患を確認してみて下さい。

余談ですが、ブタは9割がA型でその血液や胃粘膜から抽出されたムチンが、研究用などとして市販されているようです。また、カメはB型が多く、カメの赤血球は抗B試薬作成に利用されていることもあったようです。

ちなみに、患者さんが抗EDTA抗体を保有していた場合、EDTA入りのウラ試験血球を使用すると偽陽性反応が起きることがあります。その場合は、EDTAが入っていないウラ試験血球を使用するか、血球試薬を洗浄して生食浮遊にして検査する必要があります。

最後に患者さんの補体価は高くなかったでしょうか?


注釈:上記のK社はI社と合併されI・K社となりました。そのため2007年1月現在、K社製品は存在しません。ちなみにI・K社のウラ試験試薬血球にはEDTAが含まれております。