5.

患者の抗原性の問題か、または、この抗D試薬の特性による原因かと思われます。
試薬が原因としますと、抗D試薬がIgG型抗DとIgM型抗Dがブレンドされている場合、
競合反応が生じている影響かと思われます。
競合反応は、室温判定の際に、IgM型とIgG型の抗DとでD抗原に結合する競合が起こります。
室温ではIgM型抗D優位で反応するため、結果としてIgG型抗Dが競合に負けてD抗原に十分量結合できません。
次に、37℃でインキュベーションしますとIgM型優位の抗原抗体反応は弱くなってしまいます。
最終的には、37℃インキュベーションによりIgG型の抗DがD抗原と結合し、抗グロブリン法で検出されます。
輸血検査の実際 改定第3版(P19)やスタンダード輸血検査テキスト 第2版(P69)に掲載されている
D陰性確認試験には、37℃インキュベーション後の判定は記載されておりませんので、
ここでの判定は省略されても問題ないと思います。
しかし、確かに抗Dブレンド試薬の場合、37℃インキュベーション後に凝集反応が
室温判定より弱くなることを経験します。

参考資料 各メーカー抗D試薬組成一覧


最終更新日:2007.03.23