A.35

追加情報

悪性リンパ腫の患者。4ヶ月前にMAP1単位輸血。
今回は1日2単位のペースで合計8単位輸血。クロスマッチは全て陰性、自己対照は陽性。DT解離試験は陰性。
輸血後、生化学検査で溶血所見を認め、LDHアイソザイムは3.4.5が上昇。


ケース1 「薬剤による溶血性貧血」
セフェム系抗生物質などの薬剤で溶血が起こることがあります。
直接クームス試験も陽性になります。
この患者さんには投与されていなかったでしょうか?
投与されていた薬剤の添付文書の副作用や臨床検査結果に及ぼす影響のところをご確認下さい。

ケース2 「遅発性溶血性副作用(DHTR)」
過去の輸血や妊娠により抗体を産生しているが抗体価が検出感度以下に低下しているため
抗体スクリーニングやクロスマッチが陰性となり輸血を実施。
その輸血(不適合血)により抗体価が上昇し輸血された血液を破壊するもの。
DHTRはKidd抗体で多く、二次応答の場合輸血後4〜12日で発症します。

ケース3 「輸血手技の問題による溶血」
製剤の加温器(アメニックなど)が故障していて過熱による溶血が起こった。
(詳しくは輸血情報 9602-18 をご参照下さい。)
また、細い注射針を使用して輸血していた、加圧
他の薬剤と一緒に輸血していた(詳しくは輸血情報 9609-29 をご参照下さい。)
などの可能性はないでしょうか?


また、ご確認して頂きたいのですが、輸血後の血清は溶血していましたでしょうか?
血尿などは輸血直後から認められたのでしょうか?

個人的な考えですがLDHアイソザイムの結果からも
赤血球製剤の輸血のみが溶血の直接原因となっているようには思えないのですが.....。
何か他の要因と輸血が重なって溶血が起こったのではないでしょうか?