A32.

検査結果詳細

抗体スクリーニングをしたら1カ所だけに(生食法、酵素法、クームス法全てで)凝集がきました。
パネルAをあてたら、1・6・10番に凝集がきました。
消去法を実施してみたら、抗P1の可能性が一番疑われました。

しかし、抗P1はクームスで凝集するんでしょうか?
患者血球にP1抗血清をあてたら陰性でした。
また、今回抗体スクリーニングで使った血球全部にこのP1抗血清をあてたら
凝集のでた血球とだけ反応しました。

以上の結果から、抗P1として同定してもいいのでしょうか?
P抗原は個人差があると言われますがどこういう事なのでしょうか?
クームス法が陰性なら適合血の選択はしないのでしょうか・・・?


コメント

生食法からブロメリン法の系列と別系列で
アルブミン法・クームス法との2系列を実施されているのですね。
どの方法の反応が一番強かったのでしょうか?

通常、抗P1は生食法でよく反応します。
これは、抗P1のほとんどが、IgM性であるためです。
そのため、通常、抗P1を保有していても(どの方法で反応しても)適合血は選択しません。
(適合血の選択については「輸血検査の実際」をご参照下さい。)
万全を期すなら、患者血清をDTT処理して、
IgM性の抗体を失活させて検査して下さい。
それでも反応するならIgG性抗体の可能性があります。
また、抗P1はクームス法で反応することもあります。(経験談です。)

それから、P抗原は個人差があります。
そのため、メーカーによっては抗原表に(+)だけでなく(w+)、(s+)が表記してあります。
また、同じ(+)の表現でも抗原性に差があります。(さらに抗原性は経時的に低下していきます。)

さて、抗P1と同定するためにはP1型物質があれば
患者血清をP1型物質で吸収して凝集反応が消えれば抗P1と同定できます。
この方法が一番簡単です。でも、P1型物質がないのなら
患者血清、試薬血球など全てを37℃に暖めてから検査して凝集がなくなるか確認して下さい。
もちろん生食法、アルブミン法判定はしないでください。
この方法で陰性になってくれれば良いのですが....、
でも、今回はクームスでも反応しそうですね。