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抗D試薬はメーカーによって反応性(凝集)に差が出ます。
これは試薬に含まれている抗D抗体の性状の違いによるものです。
抗D試薬には、ポリクローナル抗D、モノクローナル抗D、さらにブレンドされた抗D試薬などがあります。
平成12年度の日臨技精度管理報告によればそれぞれの使用率は
ポリクロ(16.4%)、モノクロ(32.6%)、ブレンド(50.6%)となっています。
抗A・抗B試薬はモノクロの使用率が9割を越えていることを思えば各施設で使用している抗D試薬は様々です。

ちなみに、ポリクローナルとモノクローナルの違いについてですが、
ポリクローナル抗体は抗D抗体を産生したヒトの血清から調製されたもので、
複数のRh(D)抗原決定基と結合することができます。
一方、モノクローナル抗体は特定の抗原決定基にのみ特異性を示します。
IgMタイプとIgGタイプがあり、IgM型が多ければ室温での反応性(凝集)が強くなります。
室温での反応が強い試薬を好まれるのでしたらIgM型の抗D試薬を使えば良いのですが、
IgM型だけの抗D試薬では抗グロブリン法のD陰性確認試験に使えない点にご注意下さい。

この症例の結果報告についてですが、室温判定でも凝集反応が認められ、
クームス法でも(3+)以上で凝集反応が認められますので
(D抗原の質的な違いがなければ)D陽性にしても良いか思います。
注意点として結果報告書には抗Dの室温反応が非常に弱いことをコメントし、
主治医にもその旨伝えておかれる方が良いかと思います。

参考資料 各メーカー抗D試薬組成一覧