A29.

アルブミン法(+)、クームス法(+)とありますが凝集のグレード(w+、1+、2+、3+、4+)はどのくらいでしたでしょうか?
また、凝集反応は自己対照を含めすべてが同程度の凝集なのでしょうか?まず、そのあたりが大事になるかと思います。

さて、陽性になった原因ですが2通りの考え方ができるかと思います。
1. 非特異反応によるもの
2. 患者血清中に抗体が存在しているため

まず、アルブミン法で起こる非特異反応についてですが、
連銭形成などがある場合はアルブミン法で反応が増強されます。
しかし、今回の場合は生食法で陰性ですので連銭形成による影響は考えにくいと思います。
また、希ですがアルブミン試薬中のカプリル酸ナトリウムに対する抗体による偽陽性反応が起こることもあります。

次に、患者血清中に不規則抗体が存在している場合ですが
すべて同程度の凝集が見られるのであれば、高頻度抗原に対する抗体が存在する可能性も考えられます。
また、凝集に強弱がある場合は複合抗体なども考えられます。
しかし、今回の場合は別の病院で陰性になったとのことですので、どちらかと言えば非特異反応のような気がしますが...?

とりあえず、今回のようなケースでは、アルブミン法を判定せず、クームス法のみで判定してみてはいかがでしょうか?
結構、クームス法が陰性になるかも知れませんよ? また、念のため直接クームス試験も実施しておいて下さい。

輸血の際に大事なことは、患者血清中に臨床的に意義のある同種抗体が存在していないかです!