ゆーさく誕生2・お産

かあちゃんと初めての2ショット
   (かあちゃんは密かに後ろにいる)

 陣痛が来て産まないといけなくなったのに、入院していたA病院NICUが昨夜満床になったため、急遽転院することになったかあちゃん。転院先はとなりの市にあるB病院と決まった。
 かあちゃんは、痛いながらも内心は”えっ?”の繰り返しだった。
 ”昨夜に満床になった、って、私の陣痛も昨日夜からじゃん。しかも、昨夜、PICU入院中の人でお産してた人いなかった思うけど…。その時点でNICUのベットを確保してくれるわけじゃないの?”
 ”B病院て聞いたこともないけどどこよ?どの辺にあんの?”…。
 かあちゃんは痛くて聞くことができない。
 産科の主治医は”B病院は山をひとつ越えたところにあります。旦那さんにも私のほうから連絡をとって、B病院に行くよう連絡します。”と言ってくれた。

 陣痛は3分おきになっていた。
 救急車が到着し、いよいよかあちゃんはB病院に運ばれることになった。
 付き添いに来ていたかあちゃんの親は看護婦さんにB病院の場所を必死に確認している。
 陣痛が痛いのと不安でかあちゃんは涙がでてきた。
 おなかの子供(ゆーさく)に”ごめんね。ごめんね。32週までもたすことができなくて、本当にごめん”と懺悔していた。
 その気持ちが強くなるに連れて、涙はいっそうあふれ出る。

 主治医と看護士さん一人が付き添い、かあちゃんは救急車に乗った。
 ”産まれないように大きく息をすうようにして!”
 ”あと15分くらい、がんばって!”
 主治医が一生懸命励ましてくれ、看護士さんはお尻をおさえてくれる。。
 そして、”あと、少しで到着だから…”といってた矢先、突如陣痛が軽くなった。
 何か出てくるような感触があった…”ひょっとしてでてきた!?”。
 そして、B病院到着。分娩台に乗せられ、B病院の産科の先生が、よし、と私がかけていた毛布を取った。

 ”あっ、でてきてる。これは、もうこのまま出すしかない。”…先生は慌てた。

 ゆーさくは逆子の状態で胸から下が、出ていたそうだ。肩から上はまだおなかの中、という状態だったそうだ。
 そのまま、すっぽりと肩から上を出す。そして、B病院の産科の先生が”小児科の先生は!”と大きな声で叫ぶ。
 その後、”ちゃんと泣いているし元気ですよ”と言って、ゆーさくを掲げて見せてくれた。もちろん、泣き声は聞こえるわけがないのだが。
 かあちゃんは、なにがなんだかわからない状態になっていて、あっけに取られていた。
 ”先週も700gくらいの男の子が生まれたけど、元気で育っているよ。この子も大丈夫だよ”とB病院の先生は言った。
 その言葉を聴き、かあちゃんは我に返り、少しほっとしたように覚えている。
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