ゆーさく誕生3・お産後編
帝王切開の予定なのに自然分娩ででてきたゆーさくはすぐNICU(新生児集中治療室)へ運ばれた。
分娩室で産後処置をしてもらい、そのままかあちゃん一人で休んでいるときに、作業着のとうちゃんが病院に到着する。
その日、家の近くの会社から車で2時間くらいのところで仕事をしていたとうちゃんの話はこうだった。
”知らない携帯番号から俺の携帯に電話があって、出たら先生でさ。
お前は朝大丈夫いうてたのに、いきなり産まれそうで病院を変わる、と聞いてびっくりやで、ホンマに。
それで一緒に仕事に行っていた人に話して仕事を抜けれたのはいいけど、今日の仕事はみんなで車に乗っていったから、
俺、電車でこっちに戻ってこないといけなくてさ。
で、電車に乗ってたら、また、電車の中で電話があって『産まれました』って何じゃそりゃ、って思ったわ。
それで、この病院の場所は大体知ってたし、途中で電車降りてレンタカー借りてきた”
とうちゃんは、何が何だかわかっていない状態で産まれてきた子供の安否まで頭が回っていない様子だった。
そして、その後、地理に疎いかあちゃんの親が迷いに迷った後B病院に到着する。
話を聞いて、”すごいドラマみたいなお産やな”と興奮していた。
さらにしばらくしてかあちゃんの病室が準備できたというので、かあちゃんは病室に移ることになった。
とても小さい子供を自然分娩で産んだため、かあちゃんの体力の消費は少なかったようで、かあちゃんはスタスタ歩いて病室に戻る。
病室にもどり数時間後、夕方に”赤ちゃん対面の準備ができました。”と連絡が入る。夫婦二人でNICUに向かう。
ドキドキした。
NICUで対面したゆーさくを見て、かあちゃんは”とうちゃんに似てる、遺伝子ってすごいなあ”とまず思った。
お産が決まった時点でたくさんの涙を流し終えたせいか、かあちゃんはかなり、冷静になっていた。
とうちゃんは小さく産まれたゆーさくが見るに見れない、と言っていた。
側には主治医の先生がいた。
対面をしばらくした後、主治医の説明が始まるが、よく覚えていない。
覚えているのは”未熟児の脳の血管に1本とても細いところがあり、そこが破裂したら終わりかかなりの重度の障害をのこします。3日間がヤマです。”ということだけだ。
そして、とくに何も起こらず(親はそう理解しているが・・・)3日が過ぎる。ゆーさくは大丈夫だった。 私たち夫婦はやっと心の緊張が解けたような気がした。
あくしゅ