<H・Cモーテルのおばば>

何度目かのL.A。いつものように宿捜し。ところが我々の求める宿がなかなかない。
予算はあくまでも低く、そしてある程度のクォリティ(?)は求める。友人は夏なら、クーラー、冷蔵庫を必要とし、わたしは絶対に害虫の類いに我慢できない、絶対に。ま、その程度のクォリティならある程度なら大丈夫ってかんじですが。
 ホテル探しは友人がガイドブック片手にわたしの運転する車の中からまず外見をチェックし、良さそうだったらエントランスに滑り込み、フロントオフィスで値段の交渉、部屋を見せてもらって決定。と、なるのです。しかしその時はなかなかうまくいかなくて、少々疲れていたのです。(後に続くいいわけ)
まずやっぱりフロントオフィスで待っていたのは中国人男性。ちょうどそう、落語家の桂枝雀師匠に似た男性でにこにこ笑顔で迎えられたのでした。前述の手順で部屋を見せてくれというと、カギをもってその枝雀師匠が一緒についてくるのです。(ここが大きなポイントなのですが、部屋を見せてといって一緒についてくるところはたいてい×)その部屋はとても広くて、シャワーもちゃんと出るし、師匠が我々の真横でにこにこしながら「どう?」 「どう?」と待っているので、焦って「ま、いっか」とOKを出して、もう一度一緒にフロントオフィスにもどってクレジットカードで支払いを済ませてしまったのです。
 その後、部屋に戻って改めて落ち着いて(これが大事)ゆっくり見まわすと、この部屋なんか暗いし、汚いような気がして、少し気が重くなりつつ、テレビをつけるてみると何と映りの悪いこと、その頃私達には部屋で観るテレビが楽しみのひとつで、MTV(ミュージックテレビ)や、HBO(映画チャンネル)を観ながら日本から持参のカップめんで豪華なディナー(?)したりしてたものですから、TVが映らないというのは致命的。しかもその日は土曜日で、大好きなテレビ番組“サタデーナイトライブ”の日ですから特にデス。「あかんよなぁ」とか力なく言いながらふたりしてフロントへ戻り、「TVが・・」と訴えるとまた師匠はにこにこと笑顔で一緒に部屋に来てテレビをたたいたり(!)して彼なりの修理をしてくれたのですが、それでもあんまり映りは良くならなくて不満げな顔て『こんなんじゃねぇ・・ホテル変えるぅ?』 みたいに言うと、とたんにじゃじゃぁーんってかんじでおばば登場。「何や」ってかんじで奥から出て来て師匠と中国語らしき言葉でふたことみことを交わしこっちをむいて「てれび?」となんと日本語。びっくりしたわれわれは、腰砕け状態「いや、あの、テレビの映りが悪いから」なんてはらほろひれはれ状態。で、結局おばばの「ダイジョブ」の一言に負けてそこでの2泊をおどおどと暮らしたのでありました。
 それにしてもあの部屋はベッドヘッドにほこり積もってたし、バスルームは乾いてたしずいぶん長いこと使ってなかった部屋みたいでした。 
その夜SNL(サタデーナイトライブ)がみられたかって?そんなあなた・・・(涙)

<旅の記録1996.夏;一泊$45.00+TAX;同行者:T>

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