<一人旅のイタリア>
3人でやってきたイタリアで旅の途中の小さな一人旅
「私、どうしてもいきたいし、ポルトガルへ行ってくるわ」とひとり旅立つS姐
「法事やし残念やけど帰るわ」と日本へ帰るNちゃん
3人がローマバチカンでお昼ご飯を食べて乾杯をして、そして私はひとりフィレンツェへ。
小さな街フィレンツェを3日歩きたおし、少し慣れた足取りで、ひとりミラノへたどりつき、お宿もなんとか確保してミラノでのひとり暮しも3日が過ぎた。今日は、あの日バチカンでわかれたS姐と、ミラノで落ち合う日だった。

その日は朝から少し曇り空で、体調もすぐれず、7時、8時と目覚ましを止めてうとうとする。9時頃やっと起きだしてひとり部屋から2人部屋へと部屋の移動です。とりあえず荷物をまとめて、フロントのお兄ちゃんに尋ねたら向かいの部屋、と言われ移動開始。結局そのままかたづけて、部屋を出たのは10時頃。本日のS姐との待ち合わせ時間までに“サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会”に行く予定だ。ここにあるのは、あの有名な絵画、誰もが知っている「最後の晩餐」。教会の修道院の食堂にそれはあるらしい。
地下鉄に乗りカドルナ駅で降りる。う〜〜ん、どっちだ?わかりにくい道をガイドブックを頼りにたどり着くとそこには長蛇の列。なんなんだというほどの列だが、「最後の晩餐」である。おとなしく並んで、順番が来て、中へ入ってわかった。中へ入るにはアメリカの遊園地のアトラクションのように、何枚もの自動ドアがあり、(そこでまた小刻みに待たされるのだけれど)やっとその部屋にたどり着く。今は修道院の食堂ではなく広いがらんとした部屋の壁にその絵はあった。そしてその部屋は極端に人が少ない。そうなのだ、中でゆっくりと鑑賞できるように入れる人数を制限しているのだ。どこかの国の美術館のように人の頭で見えないとか、列を作って動きながら絵画を鑑賞するとか言う事はないのだ。まだ私の後に列を作り待っている人には悪いけれど、こんなに待ったんだからと、ゆっくり鑑賞させてもらった。しかも、ここには鑑賞する絵は2枚しかない。そして、しかも、私が訪れたこの時、「最後の晩餐」は修復作業中であった。ま、考えようによっちゃぁ貴重な体験かな。出口を出たところで絵葉書などを買ってそこを後にする。駅まで歩いている途中で向かいから歩いてきた観光客風の男性に呼びとめられる。どこの国の人だかわからないけれど、映画に出てくるさえない科学者風の(?)お世辞にも“すらりとしたかっこいい人”ではない人だった。たとえたらゴーストバスターズのリック・モラニスとか、ロビン・ウィリアムスみたいな感じ(ファンの方には申し訳ない)ま、ともかくそんな人が私を呼びとめ「サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会」ってどっちですか?と尋ねた。自慢じゃないが、今行ってきたところではないか!「この道をまっすぐですよ」なんてにっこり笑って教えてあげたら「ありがとう」なんていって旅行者同士はなごやかに・・・「いや、ちょっと待って」自慢じゃないが私は方向音痴である。もういちど振り返って歩いてゆくその人のゆく方向を眺めれば「ち、ちがう!あっちだ」
なんで、今行ってきたばかりの道を間違えるのか、普通の人には理解しがたいでしょうが私は「方向音痴」なのである。
そこで思わず私は彼に声をかけようと思った。だがしかし、何とかければいいのだ?日本なら「お〜い」とか「すみませ〜ん」とか?日本ででも大きな声で叫ぶなんて恥ずかしいのに、イタリアでなんと叫べるものでしょう。その時私は走り出していた。昨夜、閉店間際のお店で買ったばかりのサボのかかとをならしながら、走りにくい石畳を、走った!
やっと、その人に追いついて、「あの!」と声をかけ、とても驚いた顔でふりかえる彼に「ごめんなさい、こっちじゃなくてこっちです」と正しい道を指差して、ついでに教会が閉まる時間が迫っているからちょっと急いでね、なんて、少し息を切らせながら伝えた。そしたら彼はものすごく感激した表情で「キミはそれをぼくに教えるために走ってきてくれたのかい!!!」といって私の手をとリ「ありがとう!!!」とHUGされた!
こっちも驚いたけれど、むこうもまじで感激してくれたみたいでした。それがメッチャかっこいい人だったら「私ももういちど見に行こうかな、最後の晩餐〜」なんてセリフもすらり、出たかもしれないが・・・。旅のロマンスには発展することなく、なんとなくニヤリ笑顔で日本の乙女は駅へと戻ったのでありました。
そのあと、地下鉄でミラノ駅へ戻る途中に近代美術館、自然史博物館にたちより、「人魚のミイラ」なんかを見て驚いたりなんかしながら約束の2時頃、ふりだした雨にずぶ濡れになりながらミラノ駅にたどりついた。1時間40分遅れたトラムで空港から到着したS姐と無事(?)会えて、ちょっと日に焼けた満足笑顔のS姐のポルトガル話を聞きながら、早速駅で再会と、またこれから始まる2人旅の前途を祝し乾杯した。(ただし雨に濡れて疲れ果てた私は今回は紅茶で)
<旅の記録1997、6;“サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会12,000リラ>

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