アメリカ映画が大好きですなんて思いきり書いといて、いきなりイタリア映画です。
1998年にアカデミー賞「外国語映画賞」を獲得、それと同時に主演・監督のロベルト・ベニーニが、主演男優賞まで獲ってしまいました。受賞時はイタリア人らしく(!?)もう、おおよろこびで椅子の上で飛び跳ねるわ、抱きつくわと大騒ぎのシーンが印象的でした。(翌年プレゼンターで現れた彼は「去年椅子の上に乗ってしかられたので・・」と、ギャグにしていた)
内容的には第2次世界大戦のナチ政権下で強制収容所に入れられた家族の物語なんだけど、お堅い真面目な映画じゃない。もともとこのベニーニって人はイタリアのコメディアンだったと思うけど、すごく面白い。見た目もけっして男前でもないし!?
この映画は前半と後半でがらり、様子が変わる。前半はどっちかと言えばラブコメディ(?)っぽく、ベニーニ扮するグイドが一目惚れしたドーラ(ニコレッタ・ブラスキ←この人は本当のベニーニ夫人)をなんとかお嫁さんに(略奪)するまでを描いたもの、いろんな(作られた)偶然が笑える。そして後半は二人の間に生まれた息子ジョスエが5歳になった時。ユダヤ人のグイドは後を追ったドーラ共々家族3人ナチの収容所に送られる。絶望的な状況に陥りながらもそれを息子に悟られないようにウソを重ねる。そのウソが笑えるけど哀しい。うそをつくグイドの顔は、笑っているけれど哀しい笑い顔。その笑顔が胸をうつ。
そして戦争が終わる間際・・・。
隠れている息子ジョスエが隙間から覗いている前を、彼を安心させるためにおどけて行進するグイドの姿と笑顔が忘れられません。そしてそれに続くシーンに思わず涙・涙です。
重くなりがちなテーマをベニーニらしく上手に描いた作品だと思います。
つらいこと、悲しいことがあったって願えばかならず、夢はかなうよって、そんなメッセージも込められていたような気もします。
○ライフ・イズ・ビューティフル(LA VITAE’BELLA)
1997年・イタリア・117分