首筋に舌を這わせれば、それを嫌がるように彼女は首を振る。
その仕草にあどけなさを感じて、ロイの咽喉奥で笑いが洩れた。
目の前の朱に彩られた口唇は熱い吐息を零している。
口唇からこぼれる魅力的な熱を堪能したくてロイは体温の低い手で彼女の顔を戻し、口付ける。
角度を変えて、軽く閉じられた歯を舌で抉じ開ける。眠っているせいか熱が高く感じるその口腔。それを心地好く感じながら、ロイは彼女の舌を自分のそれで絡め取る。逃げようとする度に口腔を這い回り、追い出そうとするときにもう一度捕まえて痺れるほど絡めてやる。
彼女の息が絶え絶えとなったところでロイは口唇を放し、項へと下を這わせた。皮膚下で血管が破れない程度に吸い上げる。
「ふっ…や」
甘い声が聞こえた。愛しいその声。愛しい体温。

「―――エドワード」
愛しい、この存在。







夢の世界で、見た夢。


[願え。何一つとして許されない目隠しの世界を。 番外編]






薄暗い部屋の中、小さく震える嬌声が響く。
エドワードは服を纏ってはおらず全裸のまま、シャツを肌かせただけのロイに圧し掛かられている。
「んぅ…あっ」
ぴちゃっと音を立てながらロイはエドワードのそこから口を離す。口に含んで舐めて噛んで吸って。何度も繰り返し弄ってやった豊かな胸の突起は立ち上がり朱く色付いている。
「今日飲ませたのはきつい薬だから、なかなか起きないな」
かと言って起きてもらっても困るわけだがと、ロイは零しながら今まで愛撫していたそこに掠めるような口付けを贈り、そのまま下へと口唇を滑らせていく。
そんな微かな感触さえ感じているのかエドワードは熱を帯びた吐息と声を零す。
無意識のうちの色を帯びた声に男は咽喉を鳴らした。
こんな体にしたのは自分のくせに、どうしようもなく彼女の嬌声と嬌態にロイは欲が煽られていく。
白い肌に手を這わせ脇腹や太腿をまさぐれば濡れた感触がした。エドワードの身体はロイが舐めた跡や汗で濡れている。それのせいだ。
ロイは臍に溜まった水を舐め取る。
「ゃあっ……」
途端エドワードは身体を小さく跳ね上げ声を上げた。
過敏な反応にロイはほくそ笑み、臍の周りを舐め上げた。かわいらしい嬌声を上げるエドワードを逃げられないように固定して、臍の中に下を差し込む。
与えられる刺激がたまらないと涙を流すエドワード。逃げようとするも、彼女の身体は薬によって主導権を手放したまま。ロイの手の内から逃げ出すことなど出来ない。
「ぁ、ぁ、…やぁあ」
衣擦れの音がロイの耳に届く。恐らくはエドワードが子どものように嫌々と頭を振っているのだろう。その姿が克明にロイには浮かんだ。
もっと感じさせてやりたいがこれ以上は流石に目が覚める。
ロイは身体を少し起こし、エドワードの顔を視界に納める。
涙の跡が残る頬。目尻は痙攣するようにぴくぴくと小さく動いている。このままではエドワードは間もなく起きるだろう。それは意識だけの話で、身体は薬で眠ったままになるだろうが、それでも彼女の目が覚めればまずいことになる。だがロイとしてもこんな中途半端なところでこの愛しい存在を放り出すわけにはいかない。
ロイは自分が着ていた服を脱ぎ、破った。その布切れで今は閉ざされた金色の瞳を完全に封じた。
どこか違和感を確かに感じてエドワードはどこか困惑した様子。
ロイは構わず女の細い太腿を掴んで足を開く。自分の身体をその中に割り込ませれば、困惑を戸惑いに変え眠りの浅くなったエドワードが足を閉じようとする。するが、動いたとも言えないようなその動作では何の意味もない。
エドワードの足を立てて崩れないようにと固定すれば、何の邪魔もなく目のうちに入ってくる彼女の秘所にロイは息を呑んだ。
エドワードのそこは微かに収縮を繰り返し誘っているようにしか男には見えない。
きっと中は狭くて、熱くて。今はこの手にある姉の変わりにと昔散々抱いてきた女どもとは比べ物にならないほど心地好いに違いない。そう思えば滾る欲にロイの下半身は熱を帯びて痛みをも感じてきた。
ほぼ毎日のように彼女の身体を愛撫しても、自分の危うい欲望をそこに押し付けるような真似だけはしなかった。それは優しさからではなく、まだそのときではなかったから。
その証拠に、許されるならば彼女を思いのまま貫いて揺さぶって善がらせたいといつだって思っている。穏やかな仮面の下、いつだって。
「我ながらよくもつものだ」
これほどの激情であるのに。
『そのとき』訪れたらそれはきっとエドワードにとっては地獄なのかもしれない。壊れてもきっと自分はエドワードを抱き続ける。
「けれど、この我慢ももう少しだ。もうそろそろ、時期だ」
ロイは目の前となった、『そのとき』を思い、嗤う。





「ひゃあっ……ぁ、あ」
クリトレスを長く伸ばした舌で愛撫してやればエドワードは啼いて喜ぶ。もっと泣かしたくてロイは襞のようになっている秘所の肉を食んだ。一々に反応を返すエドワード。余りのかわいらしさに、湧き上る嗜虐心でどうせならば噛み切って許しを請わせるのも面白そうだと危うい考えに支配されそうになる。
エドワード、ロイの口唇が無音にかたどる。声を出すわけにはいかない。まだこんな状態でもエドワードは目覚めてはおらず、いつ目覚めるかわからない状態。声を出して目覚めを促すだけならばまだいい。目隠しがあるのだから、エドワードには光も、きっと体の自由もない。ロイの声さえ聞かなければこれは夢と言うことで終わらせられる。
声を出さなければ。
ロイは出来るだけ声を出さないようにと、間近にある秘所のすべてを口に含む。
「ゃあ、あ、……うあ、あっ」
しとどと口の中に零れてくる蜜を吸ってロイは咽喉奥へ。
エドワードは逃げようと腰を浮かせる。それを逆手に取りロイは細い腰を掴み軽く浮かび上がらせたまま、届きもしない膣内へと舌を割りいれた。
「いや、なにっ…やだあ」
流石にエドワードも目が覚めたらしいがそんなことに構っている余裕などロイにはない。押し返そうとする肉壁を這い、中にこびり付いている蜜を丹念に舐め取る。それに応じてエドワードは擦れた声を上げる。
届く範囲ではもう舐めようがないというほど舐め回した後、ロイは漸くそこから口を離す。
身体を起こせば、ロイが組み敷いた体は震えていた。微かに耳が拾った嗚咽にエドワードが泣いていることがわかる。
ここで、普通の人間ならばかわいそうに思い、手を引くのだろうが。生憎ロイは普通の人間ではなかった。
じっと、ズボンのジッパーを下ろす。そして膨れ上がった自分の欲の塊を外気に晒した。
ロイの顔は笑みが浮かんでいるが、内では強い葛藤が渦巻いている。
エドワードが泣いた姿を見せた所為でロイの理性が壊れかかっているのだ。
挿れたい。挿れるな。ロイの中ではそれが鬩ぎ合っている。
強くエドワードを渇望する欲を押し止めるためにロイはそれに手を添える。いやに熱を孕んだそれは触れられるものを待ち焦がれていたようですぐに愛撫に反応する。
亀頭を擦り、理性が完璧に崩れる前に何とか終わらせてしまおうと、扱く手の動きが荒くなる。
「ッ…くっ」
ロイの息が荒くなる。
確かに、快楽は感じるがどうしても物足りない。仕方がないとロイは空いた手をエドワードへと伸ばす。
汗に濡れた胸を乱暴に掴んで揉み上げ、突起を親指で押しつぶす。
「ぁう、 ん、ん」
エドワードはその刺激に首を振って嫌だと訴える。腕を持ち上げて直接拒絶をしたいのか、エドワードのそれは時々筋が緊張しては弛緩の繰り返し。これだけの刺激を与えても効き目が切れないとはまったく持ってすばらしい薬だ。
弱々しく開閉する赤い口唇。その様はロイの眼に艶かしく映り、手の内の欲望が更に大きくなる。
豊かな胸を荒らす手を今度は秘所へと向かわせる。つっと滑らせれば布越しにエドワードの眉間にほんの少し皺が寄る。本当に敏感に育てたものだとロイは感嘆の溜息を零す。
たどり着いたそこは十分に濡れている。指の二、三本ならば受け入れるだろうと、自分の指をロイは舐めて濡らす。どうせならばエドワードに舐めさせたいがそんなことをしては自分の理性など完璧に木っ端微塵になるので、残念ながら却下だ。
ぐちゅりと随分いやらしい音を立てて入り込んでいく指。
「っぁ、やぁな、に」
エドワードは体内に感じる異物と小さな圧迫感に声をあげ、身体をしならせる。
その反応は予想通りでロイは差して気にも留めない。それよりも、指に感じる体内の熱のほうが余程気に留まる。異物であるロイの指を排除したいのか、奥へと連れ込みたいのか、ぎゅうぎゅうと締め上げてくるそれが余りに気持ちが好い。
ゆっくりと襞をさすり上げれば、エドワードが反応する。これならばと舌なめずりをし、ロイは秘所の近くで膨れ上がった欲望を扱き始めた。同時に膣内に収めた指をばらばらに動かしてエドワードに嬌声を上げさせる。
限界はすぐに来た。ロイは指で膣口を無理矢理割り開き、吐き出される欲望をその中へとぶちまけた。
「やあああっ、……ぅあ、あ」
ビクビクと正体のわからない熱に組み敷いた身体は悶える。ロイは女の象徴とも言える其処に掛かった自分の白濁に胸のうちが満たされていくのを感じた。



ふとロイが顔を上げれば、疲れて体に残る薬に引き釣り込まれたのかエドワードはすでに夢の中だった。
「まあ、あれだけの刺激を与えても半分眠っている状態だったんだ。夢だと思うだろう」
ロイは倦怠感に包まれた身体で、ベッドヘッドに凭れた。
自慰であったはずなのになんとも言えない悦楽を味わえた。エドワードの身体を少し弄りながらしただけだというのに、女とする以上だったのだからなんとも言えない。
けれど、おそらくそれ以上がそう遠くない将来に待っている。
「楽しみだな」
白濁に塗れた手で、金眼を封じていた布を取る。
現れた、エドワードの顔は涙に濡れてどこか苦しげだ。
「『そのとき』がきたら、嫌になるほどそういう顔をさせて、許しを請わせてやろう」
まったく以って楽しみだと、ロイは笑った。







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