区画整理の実態

坂越地区の区画整理
 赤穂市では、坂越地区有年地区で区画整理が進められている。聞いたところ、坂越地区は組合方式で実施
するらしい。該当区域に数軒有るという居住者の方々にとっては、将来に大きな不安を残すことになるだろう。
 組合方式は、全ての経費を自分たちでまかなう。経済が成長するときなら地価が上がるため、なにがしかの土地を
売却すれば儲けもあるかもしれない。それにしても、多くの農地を持つ者が儲かるだけで、居住している者は土地を
切り売りするわけにもいかず、開発負担金を取られるだけだ。まして、昨今のような経済状況であれば、開発に赤字
が出た場合にはさらに追加の負担金が発生する。2004年から問題となっている奈良県の某市のように一戸あたり
数百万円の追加負担が必要になる場合だってあり得る。居住者にとっては、土地を売るしか方法が無くなる場合もあ
るのだ。
 赤穂市の両地区にしても、区画整理によって土地の値がそれほど上がるとは思えない。どこかで利益を得ている輩
がいるに違いないと思うのは普通の感覚だろう。



区画整理とは
 行政が行う区画整理事業は、いろんな理由が挙げられているが、実態とはかなり違う。おいしい話は疑ってかからなければいけない。

行政の主張
   秩序の無い開発を防ぎ、環境や防災を重視したまちづくりをする。

実態
 都市部の区画整理
     震災後の神戸などに見られるように、防災や環境を大切にする上で、確かに必要だ。しかし、そのことによっ
    て立ち退かされる人々など犠牲になる家族に対してどうするかが、最重要課題である。上海などは、中心部か
    ら周辺部へ立ち退く家族は十分な広さの土地が保証され不満を極力少なくする政策を実行しているそうだ。
 農村部の区画整理
     戦後の高度成長期に考えられたもので、農地を宅地に変えることで、地価をつり上げて、財産価値を増やそ
    うとするものだ。地価が必ず上昇するものと考えた事業なので、当然リスクがある。行政としての責任と柔軟な
    対応が必須である。
     区画整理区域に、既に居住している住民に対する手当を十分にすることで、自治体(行政)の評価が決まる。
    残念ながら、このような能力のある行政やリーダーの話は聞いたことがない。

区画整理の手法
行政が行う事業
 しっかりとした計画と、事業費によって行うもので、リスクを救済する手だてもあるはずである。しかし、地権者は行政
を信じすぎて、関心が少なくなりがちである。感性の乏しい行政にかかっては、地権者一人ひとりのことなど考えず、反
対をおそれるあまり、責任と柔軟性が軽視される傾向がある。

組合制で行う事業
 地権者が自主的に行う形式のもので、損失を全員で補うため、リスクも大きい。一人ひとりの意見が反映されるかど
うかが最も重要なポイントである。

減歩
 地権者から一定の割合で土地を出させ、その分で道路などをつくり、保留地を確保する。保留地は、売却され、事業
費に組み込まれる。
 売れもしない保留地をたくさんつくったり、一部の者に有利にはかられるような事業は最悪。

既存住宅
 農村部の区画整理が、農地の宅地化であるなら、既存住宅(既に家を建てて生活している)の住民にとっては、ほとんどメリットはない。居住環境の価値観は、人それぞれで、画一化されるものではない。
 事業の前後で、ちり箱ひとつ動いていない土地にかかる清算金など、納得できる方がおかしい。まして、建物が建っている土地と空き地とが同価値だという行政なんぞ、住民軽視の愚政の固まりだ。更地のほうが価値があるのは世間の常識だ。
 既存住宅の住民よ、だまされるな。