お屠蘇って?
「お屠蘇」の由来は,中国の三国時代の名医「華陀(かだ)」という先生によって作られた薬酒ということになっていて,元旦にこれを飲めば邪気がはらわれ,1年間健康で過ごすことができると言われています。
最近では,元日に家族そろって「お屠蘇」を飲んで,「おせち」と「お雑煮」でお正月を祝う家庭も少なくなったかもしれませんが,日本古来の良き伝統的風習として,
「お屠蘇」でお正月を祝い,1年の健康を祈願する
というちょっとした行事は,お正月の改まった気持ちを引き立てる,良いものではないでしょうか。
基本的には関西以西の西日本に限られた風習といわれ,他の地方では,単に正月に飲む祝い酒(屠蘇散は入っていない日本酒)のことを「御屠蘇」という場合もかなり多いようです。
お屠蘇には10種類ほどの薬草が調合されています。健胃薬としての効能があり,初期の風邪にも効くという。身体を温めたり,胃腸の働きを助けたり,あるいは風邪の予防に効くと言われる生薬を含みます。
古書には「大黄,桂心(シナモン),白朮(オケラ),桔梗,バッカツ(ユリ根の一種),蜀椒,防風,烏頭」 の8種類と書かれていますが,近年では,効果の強い大黄や烏頭を除いた6種類に,甘みを増すための甘草や,みかんの皮などを混ぜることが多いようです。
■白朮 (びゃくじゅつ) |
消化器系に働き食欲不振・腹部膨満感・疲れやすいなどの症状に朝鮮人参などと一緒に用いられます。
また,小便の出が悪くむくみや下痢をしている時にも,他の小便の出る薬とともに使用されます。 |
■桂皮 (けいひ) 桂枝 (けいし) |
桂皮(シナモン)は,身体を温める作用が強く,手足の冷え・寒がる・腰や膝がだるく力が入らない・頻尿・夜間によく小便に行くなどの症状に用います。桂枝は温める作用の他に汗を出す作用があります。 |
■山椒 (さんしょう) |
消化不良などに。 お腹を温める作用があり,冷えによる腹痛・下痢・消化不良などに用いられます。
また,ピリリと辛い山椒の成分は,胃腸の動きをよくするだけでなく,痛みを取る作用や駆虫薬としても使われています 。 |
■丁子 (ちょうじ) |
お腹を温める作用と気を下に下げる作用があり,お腹が冷えて起こるシャックリや吐きけに柿のへたなどと用います。 また,丁字の精油成分には殺菌作用や鎮痛・麻痺作用があり,歯の痛みを和らげる目的にも使われています。 |
■防風 (ぼうふう) |
防風には,汗を出す作用があり風邪症候群によく用いられます。 その他,筋肉のひきつりや筋肉痛にも用いられます。 |
■桔梗 (ききょう) |
サポニンという痰を切り咳を止める作用がある成分が入った生薬で,漢方の風邪薬として非常によく用いられています。その他,膿を出す作用もあります。
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■陳皮 (ちんぴ) |
陳皮はどちらかというと胃腸の気をめぐらす作用があり,腹がはる・吐きけ・下痢・食欲がない・少食などの症状に他のお薬とともに用いられます。
また,胃腸の気が停滞すると体内に痰を生成すると考えられており,痰が多い・咳が出る・胸苦しいなどの症状にも痰を溶かす作用のあるお薬とともに用いられます。 |
他に,胃の働きを良くする「茴香(ういきょう)」や,便通をよくする「大黄(だいおう)」を入れてるものもあります。
お屠蘇の作り方
薬局やスーパーに,ティーパックになった「屠蘇散」をおいています。
- 用意したお酒やみりん300ml程度に,
お屠蘇といえば日本酒のイメージかもしれませんが,みりんを入れると甘みが強くなり飲みやすくなるので,お子様のいらっしゃる場合などみりんで調整して好みの味わいにすればよいでしょう。ただし,お酒もみりんも良質なものを選ぶことが秘訣です。
- 屠蘇散を袋(ティーパック状のもの)ごと浸して,
- 3〜5時間程度放置して薬効成分が溶け出すのを待ち,その後,ティ−バックを取出します。
大晦日の夜に準備すれば,元旦の朝に間に合います。
- ほのかな薬草の香りとかすかな苦味が,新鮮な爽快感を感じさせるお屠蘇のできあがりです。
元旦の朝,お雑煮をいただく前に,年少者より順次,新年の健康と息災を祈願してお召し上がりください。
たいていの宴席では、主人や年長者から盃をすすめていきますが、お屠蘇は逆です。
飲む順番は、若い人の生気を年長者に渡すという意味で年少者から順次、年長者へと盃をすすめるのが決まりとなっています。厄年の人がいる場合は、最後に厄年の人が飲みます。これは、「厄年以外の人達が口にした盃きは災いを追い払うことができる」といわれるためです。ですから、屠蘇器は厄年の厄払いをする道具とする地域もあります。(地域によっては一家の長である主人から年少者へと順に盃をすすめる所もあります。)
(参考:お屠蘇の作り方,お屠蘇の飲み方)
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