アニメで日本語「アニマシオン」

 聞きなれない言葉ですが、「アニメを使って日本語を教える」という手法です。海外で日本のアニメーションはすごく人
気がありますし、かなり多くの人が見ています。特に宮崎駿の作品などは海外でも高い評価を得ていますし、見た人も
多いです。

 私もパリにいた時に「ナルト」というアニメが公開されてクラスの若い学生さんが興奮気味に話していたのを思い出し
ます。また「ポケモン」などもすごく人気があったようです。それほどアニメに関する人気は高く、それを語学教育に活用
しない手はないということで何かいいやり方はないかと思っていました。

 そんな時に国際交流基金で「アニメで日本語」という公開講座をやっていたので、参加してみました。その公開講座で
は静岡大学の矢崎満夫先生が「千と千尋の神隠し」を題材に13のティーチング・ストラテジーを紹介され、参加者と一
緒に実践してくださいました。とても面白いやり方で参加している人も楽しみながら、その手法を学ぶことができました。
矢崎先生の「アニマシオン」に関する論文はこちらで公開されているので興味のある方は読んでみてください。

http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/bitstream/10297/3723/1/090714001.pdf

 それで私も「もののけ姫」を題材にしてアニメを使った授業をやってみました。時間が限られていたので、いくつかの
活動しかできませんでしたが、概ね学生の反応はよかったです。学生のレベルも上級レベルだったので、かなり活発に
やり取りできました。とりあえずこんな活動をやってみました。


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・「これ、だれのことば?」
   使用教具:特になし

 ある登場人物の印象的なセリフを読み上げて、それがだれの言葉かを当てる活動。聞き取りの練習になる。

 1 やめろ!そなたたちの姫は無事だ!アシタカ
 2 私は充分に生きた。モロ
 3 みんなはじめからやり直しだ。ここをいい村にしよう。エボシ
 4 お前達のせいでこの森、終わりだ。ショウジョウ
 5 シシ神は花さかじじいだったんだ。甲六
 6 あいつどっちの味方なんだ。ジコ坊
 7 シシ神様がお前を生かした。だから助ける。サン


・「そのカード、だれのこと?」
  使用教具:登場人物説明カード 

 カードに書かれた、ある登場人物について説明した文を読み、それが誰のことを指しているかを当てる活動。
短い文章を「読む」練習になる。

・「間違いはどこ?」
  使用教具:特になし

 教師は1回目に物語に即した短い文を聞かせる。2回目は同じ文の数箇所をわざと間違えて、それを学習者が
当てる活動。

右手に呪いを受けたアシタカはジコ坊から西へ旅に出るように言われて、モロの背中に乗って出発した。
(ヒイ様、ヤックル)

シシ神の森でオッコト主は水の上を歩いています。そして元気なアシタカの前に立って静かにじっと見ています。
(シシ神、けがをした)

ジコ坊に首を切られたシシ神はタタリ神になって自分の首を探し始めました。
    (エボシ、ディダラボッチ)

トキの夫であるゴンザは米を運んでいる時、ショウジョウに襲われて谷に落ちてけがをしました。そしてアシタカに
助けてもらい、タタラ場まで連れて行ってもらいました。
    (甲六、モロ)


・「どんな順番?」
  使用教具:あらすじカード、場面カード 

「迷子文」の活動後、学習者が一人ずつ自分のカードを声に出して読み、それをみんなで聞きながら、正しい物
語の順番に並んでいく活動。


・「タイトルNo1」
  使用教具: 「クイズ大作戦・タイトルNo1」プリント

   アニメに自分で新しいタイトルをつけ、なぜそのタイトルをつけたか説明する。あとで学習者達はどのタイト
ルがいいと思うか投票をする。


・「登場人物にインタビュー」
   使用教具: 「登場人物にインタビュー」プリント 配布

 登場人物たちが記者会見するという設定にし、登場人物役と記者役に分かれてチーム対抗で質問のやり取り
を行う。
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 時間的に余裕があれば、他の活動もやってみたかったんですが、また次の機会にやってみたいと思います。この手
法は外国人に対する日本語教育だけでなく、小学校や中学校ぐらいで実践しても面白いかと思います。題材は別なも
のを使ってもその手法は十分に使えるものだと思います。

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