ゴミ処理センター見学
社会がリサイクルや環境問題に大きな関心を寄せているように日本語の教科書にもこれらのことを取り上げているも のがけっこうあります。私も何度か授業で取り上げ、簡単なディスカッションを試みたりしてきました。しかし教室で話し 合うだけでは、具体的なことが分からないし、見えてこないような気がしていました。そこで以前、通訳で知り合った市役 所の職員の方に相談してみたところ市のゴミ処理センターの所長さんを紹介してもらい、実際に下見をして学習者を連 れていくことになりました。下見に行くとそこの所員の方が親切に案内してくださり、どのような過程を経て処理されるの か説明して下さいました。
| 天理市では昨年の10月より分別収集を行ってお り、プラスチック類、空き缶類、などリサイクルで きるものを専用の袋に入れて回収しています。 それらのものがどのように処理されているのか 私自身も興味がありました。(昨年、町内会の係 りをやっていたので、、)また話をうかがったとこ ろ、やはりジュースやビールなどの飲料缶しか 出せないのに、魚の缶詰めなどの缶を分からな いように混ぜて出している方もいるようで、処理 する時にまた分けなければならないといったこと もあるそうです。結局、環境問題などは一人一 人の意識を高めていくことが何よりも大切なんじ ゃないかと思います。これを読んでいる方の中 でもし上記のようなことをされていたらやめましょ うね。 | ゴミを捨てるプラットフォームを覗き込む学生達 → |
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見学に際しては以下のような内容のプリントを配付し、1時間ほど注意事項の説明やどんなところを重点的に見ればよ いか、また説明を聞く時の助けになるようにキーワードをいくつか説明しておきました。そして係りの人の説明を聞いた り、質問することをタスクとして与えました。
「ゴミ処理センター見学」
見学の目的 私たちがいつも出しているゴミがどのようになるのか、じっさいに見て、リサイクルやゴミについてもう一度考える。
見学日時、場所 1999年2月9日 天理市ゴミ処理センター (天理市嘉幡町180)
注意すること ・機械がたくさんありますが、ぜったいにさわらないこと。 ・グループで見学しますから、一人でどこかへ行かないこと。 ・わからないことがあったら係りの人やスタッフにきくこと。
見学の時のキーワード 焼却炉(しょうきゃくろ) 空気(くうき) 燃焼(ねんしょう) 灯油(とうゆ) バーナー 磁石(じしゃく) 煙突(えんとつ) 排水(はいすい) コンベア クレーン 排ガス(はいガス) 灰(はい) エアーカーテン
タスクリスニング 1、集められたゴミのにおいが外に出ないようにここではどんな工夫をしていますか。 2、ゴミを燃やすのに何を使っていますか。 3、燃えないで残ってしまったゴミはどうなりますか? 4、センターの人はゴミを出す時にどんなことに注意してほしいと言っていましたか。
| | 空き缶を分別しプレスする機械の説明を聞く | プラスチックのトレイなどを溶かして棒状にする機械。みんな不思議そうに見ています。
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見学を終えて、帰ってからは授業で「環境問題」「ゴミ処理センター見学」「リサイクル」などのタイトルで作文を書いても らいました。以下にいくつかその作文を紹介します。原文のままで掲載しますので、文法的な間違いなどは考慮してお 読みください。なお市のゴミ処理センターの方へもコピーを渡して職員の方にも読んでもらう予定です。
「ゴミ処理センターを見学して」(韓国、女 J.Y 来日11ヶ月) 昨日私が住んでいる天理市のゴミ処理センターを見学しました。今までゴミについて国でも日本でもいろいろな説明を 聞きましたが、あまり気にしないで捨てていました。でも昨日からは何とか変わってちゃんと分けて捨てなければならな いと思っています。始めに普通のゴミを燃やすところを見た時は何も感じなくてなんとなくくさいと思いましたが、リサイク ルができるカンやプラスチックなどが目の前でリサイクルができてびっくりしました。何も感じてなかった私が今まで洗わ なくて捨てた事や燃えるゴミと燃えないゴミを分けないで私一人は大丈夫だと思って捨てたことが恥ずかしくなりました。 そして係りの人が一生懸命説明してくれたとおりこれからは恥ずかしくないようにリサイクルできる物を使ってできるだ けちゃんと洗ってちゃんと分けて捨てることが大切だなあと感じました。
「ゴミ処理センターを見学して」(台湾、女 O.R 来日11ヶ月) 皆さん毎日生活をしているうちにゴミが出てくるでしょう。家の中に汚らないように外へ出すのは当然のことです。でも 出したゴミはあとどうするのかたぶん誰も気にしていません。実はゴミ処理するためにある人は一生懸命働いていま す。まずゴミを集めてゴミ処理センターへ送り、あそこでいろいろな作業をしています。燃えるゴミを燃やし、灰になると 山のようなゴミは減少しました。缶は機械に入って四角体の形になります。このゴミは処理したあと量が減って違う形に なり、また使うことができる物をもう一度利用します。それでゴミを処理します。こんな大変な仕事は80人ぐらいで全天 理市のゴミを処理します。係りの人に質問を聞き、一番困ることは何と言えば、やはりごみを出す時分類をうまくできて いないことです。たくさん迷惑をかけました。だから私達は自分で住んでいるところの環境ためにできるだけゴミの量を 減ってゴミをちゃんと別れて出しましょう。
「ゴミ処理センターを見学して」(韓国、女 P.S 来日11ヶ月) 先生からゴミ処理センターへ見学に行くと聞いた。たぶんそこは全てが自動的にできているだろう、、でもそうではな かった。なぜなら私達がそれを不可能にさせているからだ。ちゃんとゴミを分けて捨てないのでアルミカンと一緒に捨て られたビニル、プラスチックなどを人が全部手で選り分けなければならないからだ。実は私も私なりにゴミ分別を一生 懸命していると思っていたが、きのうの見学でそうでもないということに気付いた。目にすぐ見える大きなゴミはよくして いたが、小さいゴミはいつもこんな小さなゴミぐらいは大丈夫だろうと思ってカンやプラスチックなどと一緒に捨ててしま ったのだ。でもリサイクルのために作業をする場合、ゴミの大きさはそのゴミがリサイクルできないゴミだったら全全関 係ないということが分かった。本当に役に立つ見学でした。
「環境問題について」(インド、女 R.P 来日11ヶ月 ) 「緑を守り、公害のない住みよい生活環境を作りましょう。」という看板が現代の世界のどの町でもしばしば見かけら れます。しかし、本当に市民達は環境問題に心がけているのでしょうか。昨日、天理市のゴミ処理センターを見学して、 そのことが少しでも分かるようになりました。科学のおかげでこの20世紀の終わりに日常生活は、一方便利であれば便 利になりましたが、公害も大きければ大きいほど増加しています。公害の中でも色々あり、日常生活から起った山ほど ゴミも一つの大きな問題であります。昨日、見学したゴミ処理センターの一番困っているところはゴミをしっかり分別しな いことだと分かりました。それのせいで色な困難なことも起こります。時々、爆発して機械が故障してしまいます。それで 普通より維持費用が上がります。結局市民達は税金でしてその増す金を支払います。こん後、分別をするときもっと注 意しましょう。ゴミ処理センターの最もお願のはゴミの量を減少することでした。カンの代わりビンを使用したり、買い物 袋を持参したりしたら少しでも解決できると思います。カンはリサイクルすることができますが、その袋は永久に土に変 えれないのです。町とか都会だけでなく山や海辺にもゴミがあふれ、海には白いスーパーの袋が漂っていることも見か けます。三年ほど前京都に泊まったとき近所のあるスーパーでは買い物袋を持っていったら五円のスタンプをくれたり サービス券をもらうことを見て素晴らしいアイディアだと感じました。金券サービスも嬉しいですが、それよりも環境のこ とをもっと大切に考え、袋持参をもっと普及したらいいではないでしょうか。しかしあいにく今でもそんな人はめったに見 かけないのです。環境保護ために政府が努力しています。市民達もそれぞれリサイクルのことをもっと真剣に考えなけ ればなりません。スーパーの袋の一まいのことから地球の将来のことまで心配になっているから一人、一人が環境を 守るため出来るだけ政府と協力しましょう。
感想、反省
見学に行く前にキーワードを与えておいたのはよかったようです。しかし総勢50人がぞろぞろと見学するのは失敗で した。センターの案内をしてくれた方も2人いたので、はじめから2つのグループに分けて効率良く見学すればよかったと 思いました。以後、気をつけよう。私も町内会の係をやっていたので分別収集されたゴミがどのようになるのか興味が あったので楽しく見学できました。飲料缶だけをなぜ回収しているのか実際に見学をして説明をきかないとわからない と思いました。飲料缶を出す場合、まず水ですこし濯いでからアルミとスチールだけを出すのですが、これをしないと集 めてある場所にビールやジュースのにおいで虫が集まってしまいます。衛生上もよくないし、リサイクルしてまた使う物 ですからね。また食べ物の缶詰などが混ざっていることもあるんですが、これも人間の手で選り分けなければなりませ ん。結局、かなり自動化された部分もありますが、まだまだ人間の手を使った部分があり、一人一人が少しの努力を惜 しまないことが大切な気がしました。案内してくださった係の方が最後に「できるだけゴミを出さないようにすることが一 番大切だ」と話してくれましたが、まったく当たり前のことでその通りなんだと思いました。教室で話し合うことも大切です が、外へ出て説明を聞きながら分からないことを質問したりしてコミュニケーションを成り立たせようとすることが後期に 入った学生には必要な活動だと再認識しました。教師以外の日本人の話もどんどん聞かせることは学習者にとっても 有益なことです。来年に向けてまた一つ活動が増えてよかったです。天理市のゴミ処理センターの皆さんありがとうござ いました。!
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