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 葡萄酒日記

その8 「ブルゴーニュ」

前回の「ボルドー」に匹敵する、銘醸葡萄酒を産する「ブルゴーニュ」は、 パリから約300km南東のディジョンの近くに位置します。 南北約50kmの丘陵地帯(コート・ドール「黄金の丘」といわれている)に、 素晴らしい葡萄畑が広がっています。 葡萄畑は法律で格付けされていて、 グラン・クリュ(特級畑)、プルミエ・クリュ(一級畑)、その他に分類されています。 昔は一つの葡萄畑が一人の所有であったものが、遺産相続などで、 今では何人もの所有者がいる畑が大半です。 「ロマネ・コンティ」のような単独で所有されている畑は、「モノポール」といいます。 白葡萄酒を産するトップの畑「モンラッシェ」は広さがたったの8haですが、 所有者は15人もいます。
この「モンラッシェ」の中でも一番はDRC(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ社)が 所有する畑から醸造される葡萄酒が最高。 わずか年産3000本程度。 「ロマネ・コンティ」より生産量が少ない。 かの有名なデュマが言った言葉に、 「モンラッシェを飲むときは、脱帽してひざまずいて飲むべし」と言った逸話があります。 私はこの畑を1997年に訪れましたが、 素晴らしい葡萄酒ができるのは、 このような土地と環境なのだなと一人納得しました。 なだらかな斜面。日当たり。すんだ空気。 おいしい葡萄酒には「土地と環境」(テロワール)が必須なのだと実感しました。 この素晴らしい「モンラッシェ」の葡萄酒は黄金色していて、 蜂蜜やヘーゼルナッツの香りがします。 そして飲んだ後、いつまでも香りの余韻が残っています。 私がいつも思っていることですが、おいしい葡萄酒とは、 よいお寺の鐘の響きのように、余韻がとても長いのです。

さてブルゴーニュで忘れられないのは、 ボーヌという村に病院があります。 「ホスピス・ド・ボーヌ」という名前の病院です。 この病院の名の付いた葡萄酒があります。 「エチケット(ラベル)」も独特で、碧色と金色のロゴで飾られています。 醸造家が寄進して、それを競売にかけて、この病院が運営されています。 病院の建物も独特で、病院とは思えない雰囲気のある建物です。 この世の中に、葡萄酒によってなりたっている病院があるのは、なんと素晴らしいことでしょう。

前回の「ボルドー」でも書きましたが、 「ボルドー」の葡萄酒は女性的、 「ブルゴーニュ」の葡萄酒は男性的と一般に形容されます。 どこがこの二つの地区の葡萄酒が違うのかといいますと、 「ボルドー」の葡萄酒は数種の葡萄を「ブレンド」して造ります。 ところが「ブルゴーニュ」の葡萄酒は「単一品種の葡萄」から造ります。 この「ブレンド」の「微妙」なところと「シンプル」なところが、 そのように形容されているのでしょうか?


オスピス・ド・ボーヌ
オスピス・ド・ボーヌ


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