その33 「サンテミリオン」
フランスのボルドー市から東に30kmほどのところに、巡礼の街「サンテミリオン」があります。
中世を彷彿とさせる石畳のロマンティックな街並み。この地区で素晴らしい葡萄酒が造られます。
1955年にこの地区の優良シャトーに格付けされ、1996年に見直しが行われました。
13のシャトーに「プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ」、
55のシャトーに「グラン・クリュ・クラッセ」の称号が与えられています。
そして、13のシャトーのなかで特に優れている
「シャトー・オーゾンヌ」と「シャトー・シュヴァル・ブラン」の
2つのシャトーには「A」という称号が付与されました。
「サンテミリオン」の葡萄酒が面白いのは、格付けされていない「シャトー・ラ・モンドット」や
「シャトー・ド・ヴァランドロー」のように、知名度、味、価格とも格付けのものに勝るものがあるところです。
相撲に例えると、幕下が横綱を倒すようなものです。
この「シャトー・ド・ヴァランドロー」は畑の広さがたったの3.2ha。
年産1000ケースすなわち1万2千本程度なので、手に入れるのが非常に困難。その分価格も鰻登りに上昇。
サザビーズのオークションで、1991年もののボルドーの葡萄酒ナンバーワンの価格をつけたとか。
さて、私が個人的に気に入っている「サンテミリオン」の葡萄酒は「シャトー・フィジャック」です。
プルミエ・グラン・クリュ・クラッセに格付けされた13のシャトーの一つです。
「シャトー・シュヴァル・ブラン」の隣の畑で40ha程の広さがあります。
この葡萄酒のエチケット(ラベル)が大変お洒落。
ベージュの地に赤の白抜き文字で、「CHATEAU-FIGEAC」と書かれています。
このルビー色の液体が入ったグラスに鼻を近づけたとき、
いつまでも鼻腔に濃い色のフルーツの香り、例えば「フランボワーズ」を咬んだときの香りを感じます。
印象的なのは1986年のものを、口に含んだ時は、目から鱗が出ていました。
喉越しがビロードのような滑らかさだったことは、今も脳裏に焼き付いています。
適度なタンニンの渋みが効いた、素晴らしい、バランスのよい葡萄酒でした。
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