その31 「シャトー・ピション・ロングヴィル」
大変美しい建物で有名な、「シャトー・ピション・ロングヴィル」が
フランスのボルドー地方、メドック地区のポイヤック村にあります。
1996年にこのシャトーを訪問しましたが、
その何年か前に新しくシャトーが建造されました。
まず葡萄酒の説明があると思っていましたが、このシャトーの建築の由来から始まり、
建築コンペの話やデザインの話を聞いた後、やっと葡萄酒の話が聞けました。
1885年の格付けで第2級に選ばれています。
葡萄品種「カベルネ・ソーヴィニヨン」の比率が80%と高く、
「ボディー」がしっかりしています。
この「シャトー・ピション・ロングヴィル」の魅力はなんと言っても、
ビロードのような滑らかさです。
熟成した葡萄酒の色は濃いレンガ色。
また、香りの余韻がお寺の名鐘のように、いつまでも響いています。
1980年代後半にオーナーが変わり、
第2級の名にふさわしい素晴らしい葡萄酒を造り続けています。
シャトーにまず入って驚いたのは、まるで「NASA」の宇宙ステーションのような超近代設備でした。
「007」の映画に出てきそうな光景に度肝を抜かれました。
ステンレスタンクにコンピュータ、まるで未来都市にいるようでした。
エチケットは地味な葡萄酒色のデザインですが、中の葡萄酒はとてもエレガントです。
私は何度かこの葡萄酒を飲みましたが、一番印象に残っているのは、
1990年のヴィンテージのものです。
これは、筆舌に尽くせない素晴らしい余韻と馥郁とした香りで、
今も脳裏に鮮明に焼き付いています。
あるレストランでこの葡萄酒をいただきましたが、
そのときの料理が、同じ村でとれた羊の料理でした。
「ポイヤック」と村の名の付いた乳のみ羊の料理です。
やはりいつも思うことですが、「地の料理と地の葡萄酒の組み合わせ」
これは「BINGO!」です。

シャトー・ピション・ロングヴィル