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 葡萄酒日記

その30 「ルイ・ロデレール」

1867年アラスカをアメリカ合衆国に、720万ドルで売却した ロシア皇帝「アレクサンドル2世」は「シャンパーニュ」が大好きでした。 彼は自分のお気に入りのこの「ルイ・ロデレール」を 他の「シャンパーニュ」と間違わないようにクリスタルグラスの壜に詰めさせました。 以降これは世界の貴族にもてはやされ、華やかな晩餐会には必ず登場してきました。 透明の壜に金のエチケット(ラベル)はとても華やかで、エレガントです。

ふつうシャンパーニュの壜は緑色などの着色した壜に詰められています。 これは、ビールも茶色の壜に入っていますが、一般にお酒は光がとても苦手なのです。 光線により化学変化をおこして、せっかくの美味しいお酒が台無しになります。 そのためにわざわざ壜に着色を施しています。 ところがこの「ルイ・ロデレール」は透明の壜に入っています。 したがって、とても注意して保管しなくてはこの貴重な「シャンパーニュ」が台無しになります。

ルイ・ロデレール社は1776年、大聖堂で有名なランス市に創業。 ランス市にはこの名のついた病院もあります。 年間260万本生産している大手メーカーです。 なんといってもこの会社の一番のものは、年号の入った「クリスタル・ブリュット」。 自社の特級畑100%のいい年の葡萄のみを用いて造られています。 原料の葡萄はピノ・ノワール種とシャルドネ種がほぼ半々です。 個人的にはヴィンテージが入ってない、SA(Sans Annee、年号が表記されてない)の 「ブリュット・プルミエ」がとても気に入っています。 最低4ヴィンテージ(収穫年)の葡萄酒を用いて、4年もの壜熟成期間をとり出荷しています。 その割には、価格も手ごろで、味わい、香りとも、とてもしっかりしていて、余韻のとても長い葡萄酒です。 泡も可憐で、いつまでもグラスから上品に立ち上っています。 そして何よりも「酔い」が素晴らしいです。

ニューヨークのあるレストランで、ウオール街が超活況のとき、 私のテーブルをよそに、この「クリスタル・ブリュット」を ボーイさんが重々しく運んでいくシーンにお目にかかりました。 以前は「シャンパーニュ」といえば「ドンペリ」でしたが、 映画でもこの「クリスタル」が人気者です。 ただただ、羨望の眼差しで喉から手がでるだけでした。

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