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 葡萄酒日記

その3 「エチケット」

 エチケットは英語では、マナーを意味します。 だけど、葡萄酒仲間の間では、葡萄酒の瓶に貼られている、ラベルを思います。 エチケットは葡萄酒を愛するものにとって、これほど面白いものはありません。 なぜかというと、ボトルの中の葡萄酒を エチケットからイメージする楽しみがあるからです。 これが、なかなかはまると興味が湧いてきます。

 さて、エチケットは葡萄酒生産国によって異なります。 葡萄酒の法律で(ちなみにわが日本には葡萄酒についての法律はありません) 一番厳しい国は葡萄酒生産量ナンバーワンのイタリアです。 とても厳密に決められています。したがって面白みもその分少ないです。 二番目がフランス。この国のエチケットもまた面白みが少ない。 どのエチケットも個性がなく、単調です。 その例外がボルドー、メドック地区の格付けナンバーワンの シャトー・ムートン・ロッチルドであります。 1855年のパリ万博の際に、かのナポレオン3世が ボルドー・メドック地区に何百とあるシャトーに格付けをしました。 美味しい葡萄酒を造るシャトーを61選びました。 そのシャトーにグランクリュ・クラッセ(特級)という称号を与えました。 61のシャトーをまた第一から第五まで分類しました。 このムートンは第二に分類されました。 実力は第一なのですが、オーナーがユダヤ系ということで、第二に甘んじました。 この格付けは118年間ずっと変わらずきましたが、 1973年に例外が起きました。 なんとこのシャトー・ムートン・ロッチルドが第二から第一に格上げされたのです。 100年来の悲願がかなったのです。
 このシャトーの名前「ムートン」は羊を意味します。 エチケットは毎年世界で有名な画家の絵が選ばれます。 たとえばピカソが1973年、 日本の画家、堂本尚郎も1979年に選ばれています。 そして、意外なことに、ラベルの絵を描いてもらった謝礼がなんとワイン2ケース、 たった24本のワインが送られます。 日本の年末の紅白歌合戦に選ばれるのと、どこか通じるところがあると思います。
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