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 葡萄酒日記

その27 「シャブリ」

 『「シャブリ」で始まり「シャブリ」で終わる。』
これは、私の独断かもしれませんが、一番入りやすく親しみやすい白葡萄酒で、 「シャブリ」のいい言葉の響きで、飲んでみて「これは旨い」と、どんどんはまっていきます。 そして、いつの頃か「シャブリ」に飽きて、いろいろな葡萄酒を探索していきます。 だけど、葡萄酒の故郷「シャブリ」にまた戻ってきます。奥がとても深い葡萄酒です。

「シャブリ」地区は、パリから南東に約100kmのところに位置しています。 シャブリ村のセーヌ川の上流のスラン川をはさんで、北側の斜面に7つの特級畑があります。 ここの僅か100haほどの畑から素晴らしい白葡萄酒が生まれます。
「シャブリ」には4種が分類されています。 この7つの特級畑の「シャブリ」、そして1級畑の「シャブリ」。 そしてふつうの「シャブリ」。 それからその下の「プチ・シャブリ」があります。 「エチケット」(ラベル)に必ず特級畑のものには 「Appellation Chablis Grand Cru Controlee」と書かれています。 AppellationとControleeの間の文字が畑の種類を意味します。 通常この間のところが小さいほどよい葡萄酒となります。 「AOC(原産地統制呼称法)」葡萄酒は1935年制定され、 フランス政府の機関によって生産や販売等を厳しく管理しています。 この法律は優れた産地の葡萄酒を保護、管理することを目的につくられました。 やはりなんでも「ルール」は大切ですね。 野球もサッカーもゴルフも「ルール」があってこそ面白いものです。

「シャブリ」地区はブルゴーニュ地方の一部ですが、 北の方に位置していて、もう少し北にはシャンパーニュ地方があります。 ここでは、「シャルドネ」という白葡萄のみが栽培されています。 「キンメリジャン」という粘土質と泥灰質が交互に地層をなし、 今から何億年も前はここは海だった証拠である貝殻の化石が この地層に混じっている独特の土質です。 この土質と「シャルドネ」という葡萄品種から、 切れ味のいいすっきりとした辛口の白葡萄酒ができます。

私は「シャブリ」を飲むとき、一般に「生牡蠣」とよく合うといわれていますが、 お刺身に合わせます。そして醤油を付けるのではなく、塩を付けてお刺身をいただきます。 特に「トラ河豚」には最高によく合うと思います。
この「シャブリ」はミネラルを感じます。 そして何億年前の海を思い、この「シャブリ」をいただくと感慨深いものがあります。
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