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 葡萄酒日記

その22 「ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン」

壜のエチケット(ラベル)が一目でわかるイエロー。 それはシャンパーニュ「ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン」です。 「君の瞳に乾杯!」で有名な1942年作映画「カサブランカ」で、 イングリッド・バーグマンがハンフリー・ボガードに言う台詞 『ヴーヴ・クリコなら、私、まだいるわよ・・・』 映画の世界にしばしば登場するシャンパーニュである。

ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン社は創業1772年で、 パリから北東に150km程の ゴシック建築の大聖堂で有名な街「ランス」に本拠地をおいている。 平均年間出荷量は900万本でシャンパーニュ第4位。 貯蔵量はなんと3億2000万本。 地下蔵は長さが25kmもあり、第二次世界大戦では野戦病院に使われたとか。

「ヴーヴ」はフランス語で未亡人。 「マダム・クリコ」がこのシャンパーニュを世に送った人である。 1805年28歳の若さで未亡人となったクリコ・ポンサルダンは夫の熱い遺志を継いで、 シャンパーニュ造りに情熱を注いだ。 当時フランスは革命の真っ最中であったが、 とても厳しい時代にこのような素晴らしいシャンパーニュを造りだしている。 彼女の言葉に『品質はただひとつ、最高級だけを』と彼女の哲学が窺える。 今ではあたりまえになっているシャンパーニュ造りにはかかせない、 壜を回して澱を口元に集める「ルミュアージュ」(動壜)をも開発している。

私がこのシャンパーニュの虜になったのは、 「香」「味」「舌触り」とも、ふくよかなことです。 これは、シャンパーニュは赤葡萄の「ピノ・ノワール」と「ピノ・ムニエ」 そして白葡萄の「シャルドネ」の3種のみ用いて造ると決められています。 この3種をブレンドするところがシャンパーニュの面白いところで、 醸造元によりこの比率が異なります。 このシャンパーニュは赤葡萄の比率が比較的高いことによるものと考えます。 そして、なによりよい葡萄のみを用いて、丹念に造っているからと思います。 最高峰の「La Grande Dame」は自社畑の最高の葡萄を選んで、熟成期間も長くとっています。 創業200周年を記念して1972年に「マダム・クリコ」に捧げるべく初出荷されました。 1990年ヴィンテージのものを2000年の元旦にポーンと開けました。 それは今も印象に残るエレガントな気泡の葡萄酒でした。
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