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 葡萄酒日記

その18 「色」

 わたしがここで述べます「色」は、 般若心経の「色即是空。空即是色。」、 井原西鶴の「〜色もの」と違い、葡萄酒の「色」です。 葡萄酒をグラスにそそいで、「色」を観察します。 「ヴィンテージ」(葡萄収穫年)、「葡萄品種」、「熟成度」、 「葡萄生産地」により葡萄酒の「色」が微妙に異なります。 また、逆にこの違いにより、それらがある程度判断できます。 この点が葡萄酒愛好家にとって楽しみです。 グラスの中の葡萄酒は、表面張力で液面がグラスの縁から少し盛り上がります。 この縁の「色」が重要です。グラスを少し傾けて、この盛り上がった液面の「色」を観察します。

葡萄酒の「色」はおおざっぱに分けると三種あります。 「赤」、「白」、「ロゼ」の三種。 これは、葡萄の品種と造り方から決まります。 もちろん「赤」の葡萄酒は赤葡萄酒用の品種「ピノ・ノワール」や 「カベルネ・ソーヴィニヨン」など皮が赤黒っぽい色をした葡萄を用います。 そして、葡萄の実を圧搾して、皮と果肉、種とともに発酵させます。 すると赤葡萄酒ができます。 白葡萄酒は、「シャルドネ」や 「ソーヴィニヨン・ブラン」という皮の色が白っぽい色をした葡萄品種を用います。 圧搾して、皮や種を取り除いて、葡萄のジュースを発酵させて造ります。 「ロゼ」はいろいろな造り方があります。 その一例として、赤葡萄酒の造り方をして、発酵途中で皮や種の大部分を取り除いて造る方法があります。

赤葡萄酒は熟成の度合いにより「色」が異なります。 先ほどのグラスを傾けて、葡萄酒が盛りあがったところの「色」を観察します。 若い葡萄酒は「紫色」をしています。 熟成してくると「赤茶色」になってきます。 もっと熟成すると「マホガニー色」になります。 そして、熟成が過ぎると「琥珀色」となります。 これでおおよその「ヴィンテージ」が判別できます。

白葡萄酒は赤葡萄酒と違い、「色」の違いというものがあまりありません。 若い白葡萄酒は「淡黄緑色」。 「シャブリ」は少し緑の「色」が見えます。 「麦わら色」は若い「ムルソー」や「モンラッシェ」、 アルザスの「リースリング」に見られます。 「黄金色」は甘口デザート葡萄酒の「ソーテルヌ」に見られます。 私が葡萄酒の虜になったのは、 この「黄金色」したソーテルヌの最高峰「シャトー・ディケム」が造る 辛口の葡萄酒「Y」(イグレック)という1985年の葡萄酒です。 これを口に含んだ瞬間、目から鱗が落ちました。
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