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 葡萄酒日記

その17 「味」

よい葡萄酒かどうか判定するのに、まず「色」を見ます。 透明か濁っているか。もちろん濁っている葡萄酒は良くないです。 とくに赤葡萄酒は「澱」(おり)がよくでます。 飲む前は少なくとも1週間は静かに寝かせておき、 1日前には静かに立たせておき、食卓へ運ぶときは、 繊細なガラス細工を扱うように、ソーと扱います。 そうすることで「澱」が撹拌されるのが防げます。

次は「香り」がよいかよくないか。
グラスに鼻をあて、嗅いで変な臭いなら、葡萄酒はいたんでいます。 レストランでしたら、ソムリエにおかしいと告げて、 ソムリエが同意すれば、葡萄酒を交換してくれます。

最後に葡萄酒を口に含んで、舌の上にころがし、「味」を判定します。 いやな「味」がすれば良くない葡萄酒で、ソムリエに告げます。

病的な葡萄酒の原因として多いのが保管状態。 太陽のあたるところに置かれていた。 高温の環境に置かれていた。 長い間、瓶がたてて保管してあったとか。葡萄酒は光が嫌いです。 光により化学変化を起こすからです。 瓶が緑色や茶色なのは、遮光するためです。 高温状態では葡萄酒が「ブション」(コルク栓)と瓶の隙間から吹き出ます。 キャップシールを手で回して回るのは大丈夫です。 吹き出たものはひっついて回りません。 「エチケット」(ラベル)が汚れていないかどうか。 吹き出たものは、汚れていることが多いです。 私は葡萄酒を購入するとき、この点に注意しています。

次に病的葡萄酒の原因として「ブション」があります。 長い間葡萄酒の瓶が立てて保管されていると「ブション」が乾燥します。 乾燥すると隙間ができます。 そこから空気が進入し葡萄酒が酸化します。 本来は葡萄酒の瓶の中は無酸素状態なのです。 抜栓するとき「ポーン」と音がするのは良い証拠。 それから、「ブション」に悪い菌がついていたことも考えられます。 ソムリエが抜栓しておもむろに客に「ブション」が渡されるのは、 健全な「ブション」かどうかみてくださいという意味が込められています。 あまり「ブション」をくんくん嗅ぐのは見た目によくないです。

さて、味覚器である、「味蕾」(みらい)といわれる「味」の受容体は、 ほとんどが舌にありますが、一部軟口蓋、口蓋垂、そして咽喉頭にも分布しています。 この「味蕾」は字のごとく蕾(つぼみ)の形をしていて 約2000個あるといわれています。 「味」の基本味は、「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦味」の4種ですが、 この他「辛味」や「旨味」といった「味」もあります。 舌先部は「甘味」、舌縁部は「酸味」、舌奥部は「苦味」によく反応するといわれています。

私は葡萄酒の「味」で一番大切に思っているのは「酸味」です。 どうしてかといいますと、この「酸味」がないと葡萄酒の輪郭がはっきりしません。 あまりありすぎて酢のようでは困りますが。
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