院長の談話室 葡萄酒日記 写真ギャラリー 読む葡萄酒
 葡萄酒日記

その14 「シャトー・ペトリュス」

パリのモンパルナス駅からTGVに乗って4時間ほどの、 サン・ジャン駅を降りると、ボルドー市にたどりつきます。 駅から東へ車で約30分程のところに、ポムロルという地区があります。 この地区の北東の少し高台になったところが、 「シャトー・ペトリュス」の畑です。 広さがたった11.5haの素晴らしい畑から、 平均年間生産量が約5万本ほどの葡萄酒が造られます。 ポムロル地区は鉄分が豊かで、粘土質の土壌。 おもに「メルロ」という葡萄品種から葡萄酒が造られます。

私の独断ですが、フランスの葡萄酒で東の横綱は「ロマネ・コンティ」、 西の横綱は「シャトー・ペトリュス」といつも思っています。 今までに何度か、この「シャトー・ペトリュス」をいただく機会に恵まれましたが、 一番印象に残っているのは、友人宅でごちそうになった、 ヴィンテージが1980年のものです。 それはそれは、ビロードの舌触りで、 「トリュフ」の香りがいつまでも鼻腔に残り、 この世の葡萄酒といえない、鳥肌がたつものでした。 今でもそのときの感動が残っています。 1980年というとあまりよくない季候の年でしたが、 さすが「シャトー・ペトリュス」です。 オフビン(葡萄酒愛好家の間では、あまり気候が良くなかった年をこういいます。 正式にはオフ・ヴィンテージ)でも素晴らしいものを造ります。 醸造家にとって、オフビンの年ほど腕の見せどころはありません。 グレート・ヴィンテージのときは、努力をしなくても、素晴らしい葡萄酒が造れます。

この「シャトー・ペトリュス」の逸話で面白い話があります。 1991年葡萄の花芽が出るときに、遅霜に会いました。 花芽が出るとき遅霜に合うと、その年の葡萄の収穫はだめになります。 シャトーのオーナーにとっては死活問題です。 そのとき行った行動は、なんとヘリコプターをチャーターして、 霜をプロペラの風で吹き飛ばしたそうです。

シャトーの守り神はやはり「聖ペトリュス」です。 下の写真の像がシャトーに祀られていました。 天国に入る鍵を持つ、船に乗った「聖ペトリュス」の像です。 「シャトー・ペトリュス」を飲んで、桃源郷へ行けたら、 どれほど幸せなことでしょう・・・・・

聖ペトリュス像
聖ペトリュス像



←「葡萄酒日記」目次「院長の談話室」HOME→

Copyright © 山本医院 All rights reserved.