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 葡萄酒日記

その11 「ロワール」

「ロワール」はフランスでも美しい城が多くあり、 観光地としてもとても有名なところです。 また、フランスの川の中で一番長く、1000kmもあります。 「ロワール」の葡萄酒の産地は、大きく4つの地区に分けられます。 まず、ロワールの河口部、ナント市を囲む地区。 ここは、軽くてさっぱりした白の葡萄酒が造られます。
おもな葡萄酒として「ミュスカデ」という葡萄品種から造られる、 少し舌を噛みそうな長い名前ですが、 「ミュスカデ・ド・セーヴル・エ・メーヌ・シュル・リー」という葡萄酒が有名です。 「シュル・リー」とは「澱の上」という意味で、 発酵後澱びきをしないで、澱とともにしばらく葡萄酒を一緒にねかせて、 葡萄酒にコクをもたせる独特の製法です。
次にロゼの葡萄酒で有名なアンジュー地区があります。 カベルネという葡萄品種から造られる「カベルネ・ダンジュー」。 そして、グロロ種から造られる「ロゼ・ダンジュー」があります。 このロゼの葡萄酒は価格もリーズナブルで、少し甘口。軽やかで女性に人気があります。
次は美しい城がひしめく、トゥーレーヌ地区。 「アゼー・ル・リドー」や「シュノンソー」などの城を囲む葡萄畑から造られる葡萄酒にはロマンを感じます。 この地区のカベルネ・フラン種から造られる赤葡萄酒「シノン」は、 「ロワール」の最上の葡萄酒のひとつといえます。 この葡萄酒からアカシアの花の香が楽しめます。 また、医師でもあり作家でもある「フランソワ・ラブレー」が生まれたのがこのシノンの街。 彼の代表作「パンタグリュエル物語」の主人公「ガルガンチュア」は大酒豪で、 産声で「葡萄酒が飲みたーい!」といったとか・・・
最後に「ロワール」の上流域には、 ソーヴィニヨン・ブラン種から造られる辛口の白葡萄酒「サンセール」と「プイイ・フュメ」が有名です。 「プイイ・フュメ」は独特の香りで、「燻した香り」がします。 葡萄の品種は違いますがブルゴーニュの 「シャブリ」(シャルドネ種から造られる)とどこか似たところがあります。 地層が石灰岩質でさっぱりした酸味の味わいが楽しめます。 和食によく「マリアージュ」し、 とくにお寿司には「シャンパーニュ」と同様に相性がよいと私は思います。 わさびをつけた美味しい刺身と「プイイ・フュメ」の葡萄酒が口の中で出会う、 至福の瞬間です。
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