h27/12/18:更新電源トランスの再生2(完成)
実験用に、100vの辺りで可変できる直流電源を作ろうと思いましたが、予定をしていた小型の電源トランスの巻き線が、1次側・2次側と分かれていませんでした。1次のみの巻き線で、途中のタップに、6.3v, 12.6v, 100v, 115v, 140vの表示があります。 このまま利用すると、AC100v直結になってしまうことが判明したため、巻きなおして1次側・2次側が独立したトランスを作ろうと始めたのが今回です。
<廉価トランスのパーツ> <外したボビンと巻き線です+百均ノギス>
- EI型コアは65mm×55mm、厚みは25mmでした。
- 巻かれていたエナメル線を解きながら、巻き数を記録します。
- 最外側からほどき始めて、
- 54回目タップ・・ 6.3vの表示
- 104回目タップ・・ 12.6vの表示・・・ここまでは、中太線 0.5mm直径
- 673回目タップ・・100vの表示・・・・以後は、細線 0.3mm直径
- 788回目タップ・・115vの表示
- 970回目・・・・・140vの表示
- でした。(線の径は、線径の判明しているものと比べた手の感触で推定)
- 0.32mm径のUEW線(300g)をオヤイデ電気に注文
- 2mm厚のベーク板をマルツに注文、
- 2mm厚のペーク板でボビンを作製。 フランジは1mm厚にしました。あまり力がかからないのと、厚くすると巻き幅が少なくなってしまうためです。(前回もボビンは1mm厚では変形してしまうので、2枚重ねにしましたが、フランジは1mm厚でいけました。)
- ボビンの内寸25×22×32mm(奥行)
- ボビンの接着は、前回と同じエポキシ系2液混合型(ボンド・クイック5)
<2mm厚のペーク板のボビン> <フランジは1mm厚> <ハトメも付けて組合わせた>
<フランジの加工> <黒四角の穴あけ。下穴> <電動の糸ノコです。> <切り取り完了>
- 巻き付け作業は、慎重かつ単純作業の繰り返しで、まるで「行」です。
- キチッと線を並べて巻き付け、回数をカウントして行きます。
- 端まで巻いたら、ワニスで固定して、乾いたらポリエステルテープを巻く。
<UEW線とボビン> <乾燥中>
- 1次巻数は次の計算式から
- N1=√2×E1 / (2π×f×Ae×Bm)
- N1:1次巻数 E1:1次電圧(V)=100v f:周波数(Hz)=60Hz
- Ae:鉄芯断面積(㎡) 25mm×22mm=0.00055㎡
- Bm:最大磁束密度(T) 【基準値:1.4T】低く見積もって 1.1
- N1=1.414×100 / (6.28×60×0.00055×1.1)≒620回の辺り
- ハトメのある側の終端の巻数が610回だったので、1次巻数=610
- (東京精電㈱:小型変圧器の設計法 参照)
- 2次巻数は「1次610回」より、巻線比の値
- 0 - 360 - 580 - 710(途中のタップおよび最終の巻数)になった
- 60v - 0 - 36v - 60vの予定(36vは巻き線がハトメ側に来たときタップにした)
<E型コアに収まるように> <スキマぎりぎりです> <プレートを差込んで> <プレスしてワニスを塗る>
- <組立>
- プレートの錆が気になったので、サンダーで掃除した
- 巻き線部分が膨らんで、E型プレートにはまらなくなったので、プライヤで押さえたら少し厚みが減少。
- E型プレートとI型プレートを交互に差込んで行く
- 終盤には、クランプでプレスしながら差込む・・
- クランプをかけたままで、プレートもワニスで固定
<一応、完成>
<やっと完成>
◎ワニスでプレートを固定したことが有効だったようです。心配したウナリ音は出ませんでした。
◎結局2次側の電圧は、0-59v-94v-116v(59v-0-35v-57v)になりました。
◎センタータップで両波整流(60v×2)も可能なようにと目論んでいましたが、57v と 59v になりました。(差が2vなら許容範囲かな・・・)
◎0.32mm径のUEW線は交流で0.2A流せるようなので、ブリッジ整流すれば最大 DC150v 100mA程度は充分な余裕を持って供給できそうです。
◎新たに購入したのは、2mm厚のベーク板と0.32mmのUEW線のみです。UEW線は300g巻きのうち約40%を使用しました。新たにトランスを購入するのと大差ないのですが、未使用のUEW線も残ったし、2回目でノウハウの蓄積が収穫でした。