h27/6/23:更新電源トランスの再生(巻き直し)
真空管テスターを作っている時に不具合が判明した電源トランス ATOM A-120 を分解してみました。web上に「巻き直し」の記事もありますので、参考にさせてもらいながら、再生してみようと思います。
<コアを1枚ずつ外します> <ボビンと巻き線です> <巻き線無しのコアとボビン(材料:厚紙)>
- 約50年前のものです。通電するとFuseが切れますから、内部のどこかで短絡があると思われます。
- EIコアを1枚ずつ外し、巻き線とボビンを取り出しました。
- プレートを外し、エナメル線を巻きの回数を数えながら解きました。
- 2次側 6.3v 部分は、最も外側の位置で太目の線(1mm程度?) 3回線とも22ターンでした。(5vのタップは18ターン)
- 2次側高電圧の 300v-0-300v は細線(0.3mm?)で2,040ターンでした。
- 1次側 0-90v-100v-110v は、ボビンの中心に近い部分に巻いてあり、中細線(0.6mmのスズメッキ線と同じ程度)で、295-326-360ターンでした。
- きっと焼け焦げ等があるはず・・・と思いながら線を外して行きましたが、全体的に焦げ茶色になっていて、明確な不具合の原因は突き止められませんでした。
- 古い線は全て除去して新たに巻き直しますので、不具合の原因は不明ですが、あえてこだわらないことにします。
<不具合の原因は不明です> <ベーク板でボビンを作りました。> <巻き取り。小瓶は固定絶縁用ワニス>
- オリジナルのボビンは厚紙で、ここに手巻きで導線を並べて重ねる自信はありませんので、ベーク板を加工して、フランジ付きのボビンを作りました。(接着剤は、エポキシ系の2液混合型がしっかりしていました。)
- ボビンにエナメル線を手で巻いて行きます。根気が要るのと、巻き数を正確に数えるのが大変です。
- 5回巻いては回数をメモし、重なりや隙間がないように巻きを揃えることを繰り返します。「何回巻いたっけ?」となると、サー大変! 太線はまだしも細線は気が遠くなる・・・。
- 1層巻き終わると細い刷毛でワニスを塗って、乾燥・固定したらポリエステル・テープを巻きます。
<やっと完成>
- 2次側の高電圧は細いポリウレタン銅線(エナメル線)を2000回も巻くのが大変なので、倍電圧整流をすることとし、120v(110vタップ)にしました。0.5mm線を390回(358回)巻きます。
- 6.3vは2組に減らして、C電圧用に小容量の40vを入れました。0.2mm線を20M全て巻いて120ターン、結果37vになりました。
- 6.3v用の1.0mm線は太くて硬いので、指が痛くなります。5vのタップは、線の引き出しが難しいので止めました。(5vのヒーター電圧は、整流管しか思い当たりませんので、不要と判断しました。)
- 絶縁紙の代わりにポリエステルテープを使いました。巻いた層の厚みは心配したほど増えませんでしたので、EIコアの中央にうまく納まりました。
- 巻き終わって、EとIのコアをボビンに入れるのですが、湾曲があったり錆があったりしてE型のコアが1枚差し込めずに余りましたが、良しとしました。
- ベーク版にハトメラグを取り付けて配線用のプレートにしました。ここへポリウレタン銅線を半田付けするのも一苦労、「被覆が熱で溶けて・・・」と書いてありますが、こてさきの温度を高くしないとうまく行きませんでした。
[原材料と価格]
- ポリウレタン銅線(UEW):エナメル線です。(オヤイデ電気商会)
- 0.65mm(300g) \1,404
- 0.5mm(300g) \1,404
- 0.2mm(20m) \ 324
- 1.0m(10m) \ 432
- ポリエステルテープ:層間の絶縁用(22mm幅) \367 (〃)
(下の層が見えてしまい、巻くときに現在巻いている層と区別しにくい。色付きがあれば、なお良い)- 絶縁ワニス(20ml) 2個 \648 (〃)
- ベーク板:ボビンとフランジ用、端子板
- ハトメラグ:端子板用
[反省と感想]
- 通電すると静かな場所では、若干ウナリが聞こえますが、アンプに使用するつもりはないので、目をつぶります。
(本来使うつもりだった『真空管テスターもどき』に戻すつもりです。)- 巻き終ったときに、ホッとして写真を撮るのを忘れてしまいました。
- 0.65mmと0.5mmの線は半分余りました。絶縁ワニスも丸々1瓶が残っています。テープもまだ有りますから、コアがあれば、もう一度トライすることは可能です。
- 「だめもと」で始めましたが、案外やれば出来るもんだ・・・と納得しています。様々なWeb情報のお陰です。
- 約\5,000掛かり新品を買うのと同じ程度の出費になりましたが、ある程度自由に電圧等が決められるので、取り組む価値はあると思われます。