h30/03/10:更新デジタル表示の交流電圧計
2線式のデジタルパネルメーター
- Webページに製作を掲載した<アナログの交流電圧計>があります。作った時には、小信号(交流)の電圧やノイズが測れたら・・・と考えて、最大スケールは2.5vになりました。
- 真空管アンプのドライブ段の計測をしてみて、少し不便を感じました。もう少し高い交流電圧を測る物が必要です。
- 安価に手に入れた2式線のデジタルパネルメータがありますから、これを使えば、斜めからでも見やすくなります。
- このパネルメーターは、DC電圧を表示するもので、低い方は0.1v程度なら実用になります。上限は30vですから、交流の30vの実効値を直流30vに変換すれば、7segLEDで表示できます。
- テスターのように、レンジ切り替えのスイッチはありませんが、簡単に作れて、簡便につかえます。
- 「理想ダイオード回路」を使って、DMM(=テスター)用のアダプターを作成したサイトを見つけました。表示部を7segのメーターに変更して、手持ちの部品で試作したところ、これならなんとか実用的な物ができそう・・です。
- ただ、オペアンプのための正負電源が煩わしく感じましたので、何とか単電源で出来る方法がないかと、ネット内を探すうちに、「単電源オペアンプでの絶対値回路」というものを見つけました。
回路図と説明
![]()
- 「単電源オペアンプでの絶対値回路」は、正負2電源は不要、整流用のダイオードも不要で、2回路の(レール・トゥー・レールの)オペアンプと抵抗数本で出来るようです。
- ものは試し・・・と、ブレッドボードで組み立ててみました。
- 電源は単電源ということもあり、ACコードを引きずらずに済む9v電池(006P)で試してみます。測定器としての精度は求めず、簡単に作れて簡便に使えることが目標です。各抵抗値は、パソコンオシロ(DDS120)を見ながらのカット&トライで決めました。(オペアンプの能力が違うためか、そのまま真似をしても整流波形がアンバランスでした。)
- 示した回路図は、手持ちの単電源用デュアルオペアンプを使用し、表示値を調整(ピーク値→実効値)するための半固定抵抗と過大入力の保護のためのダイオードを加えました。出力はそのまま、パネルメーターにつなぎました。したがって、計測できるのは、0.1v辺りから30vまでです。(実際は電源電圧9vの半分付近までです。また、このオペアンプは、電源電圧を最大15vまでしか上げられません。)
- パネルメーターは2線式を3線式(駆動電源は別にした)に改造し、FET(2SK30A)で定電流ダイオードの代わりをさせて、全消費電流を約半分(9mA)に抑えました。
- (この2SK30AはGRランクとして購入しましたが、規格外の物だったようで、Idssが8mAを超えるものがありましたけれど、今回上手く使えました。)
- オペアンプは、バッファを加えたり増幅したりすることを考えて、汎用4回路のLM324Nも試してみましたが、高域特性が劣り、使用できるのは5kHzぐらいまでになりましたので、LMC662CNに戻しました。
[主なパーツと説明]
- デジタルパネルメーターは、超安価な中国製の2線式を使用しました。何種類かありますが、今回は枠(額縁)の付いたものを使いました。元は直流の2.5v~30vまで表示できるもののようです。電源コードと電圧測定用のコードを分離して、0vから表示できるようにしました。(型番等はなし)
- 上記の7segメーターは7~8mA程度流せば、点灯しますので、今回は規格外の2SK30AGRで定電流ダイオードの代わりをさせています。
- その他のパーツは、特記するようなものはありません。
- 006Pは容量が少ないので、消費電流の節約を意識しました。電源スイッチをONすると7segLEDが光りますから、パイロットLEDも省略します。
- 部品配置はkugadenのAB基板(30×44mm)を使って、小さくまとめました。このユニバーサル基板は、ハンダでランド間を繋げるポイントがあって、若干の考察が必要で面倒ですが、その分ジャンパー線が少なくて済みます。
![]()
![]()
[一応 完成]
- ケースは、140×90×33mmのプラスチック(底板は1mm厚のアルミ)製に組み込みました。取り付け面がプラスチック(塩ビ?)なので、加工は楽です。
- 入力は、RCAピンジャックと細いテスター端子にしました。
- 100Hz,1KHz,10KHzの0dB以下では、自作の交流電圧計とほとんど同じ値(片方はアナログのため読み取り値)を示しますが、計測電圧×2が電源電圧(9v)に近くなると怪しくなるようです。
- もともと高精度を期待した訳ではないので、手軽さを評価することにして、妥協します。
[反 省]
- 使い始めて一番の反省点は、絶対的に入力インピーダンスが低いことです。
- テストしていた環境では、出力インピーダンスが低いこともあって、表示される値の誤差は気になりませんでしたが、真空管アンプのドライブ段などでは、大きくずれてしまいます。
- このままでは、使い物になりませんので、オペアンプの1回路のみで整流して、もう1回路をバッファにするとか、もうひとつオペアンプを追加して、前段に電圧フォロワを入れるとか・・の工夫が必要です。
- もうひとつオペアンプを追加するなら、1回路を遊ばせるのはもったいないので、1/10と10倍の増幅(減衰)段をもうける・・・等、考えることは多々ありそうです。
- ケース・端子・7seg表示器等はそのままで、回路を変更して作り直しです。
作りなおした回路図[作り直し]
- 始める時のコンセプトどおりに「簡単に」作るため、2回路入りオペアンプのみで作ることにしました。
- 入力インピーダンスの確保のために、オペアンプ1つを使ってバッファにし、もう1段(オペアンプ)のみで、全波整流を行いました。
- 電源電圧が9vですから、約3vの表示辺りで頭打ちになる分は、最初に1/10の減衰回路を入れて、3Pのトグルスイッチで対処しました。その時は、表示値を10倍に読み換えます。
1kHzの正弦波と整流波形- この回路での整流波形の画像です。DDS120というPCを使った簡易オシロなので、あまり鮮明ではありませんが、目視できますから重宝しています。
- 整流波形は、山の間隔が不ぞろいですが、求められるものは、振幅の直線性ですから目をつぶります。
- 入力抵抗は通常は1.1MΩ、1/10倍の時には約550kΩですから、ドライブ電圧測定時にも、使えました。
- パーツは少し増えましたが、なんとかAB基板に載せることができました。
[再改造]
- 実用的には、<有用>の範囲に入ってはいますが、計測値が低くなると値はドンドン怪しくなります。
- 使用しているうちに、もう少し50mV以下の電圧値も正確に・・・という欲求が出てきました。
- そのためには、再改造が必要・・・と判断しました。