「向山洞」千合そば 福井県千合町14−7
0776−97−2237

  向山洞建物

 

  涼風そば


 カーナビを福井県千合町にセットして、10時前に京都を出発、北陸自動車道を鯖江で降りてナビの指示通りに県道6号線を西へ向いて走る。
 山間に入り、もうすぐ越前海岸が見えるかなと思う頃、向山洞の看板が見え左折して細い道を登っていく。

 向山洞の建物を見つけ、車を止めると、登りの道ですれ違った軽ワゴン車が続いて止まった。
軽ワゴン車から降りてきたのが、向山洞の店主、松澤利成さんで、京都ナンバーだからお客さんかと思い、引き返してきたと言う。

 出発前に予約電話を入れたが番号を間違っていたらしく繋がらず、そのまま来てしまったのだった。
予約を入れて欲しいというのは、込んでるからではなく、待たせたくないという店主の心遣いだと知った。

 「30分ぐらい掛かるがいいかね?」と言う言葉に「そのつもりで出来ました」と、ゆっくり待つことにする。
 日曜だというのに、雨のためか他に客もなく、たった2人の客のために、粉を引きソバを打ってくれた。

 今は、涼風そばが人気だという事なので、それを注文する。
細麺・堅味600円と書いてある。
 外に出たり、中に貼ってある短冊(感想その他を自由に書けるよう用意してある)がズラッと並んでいるので、読んでいると飽きない。

 ざる蕎麦に辛み大根おろしが付いており、薬味の皿を退けると、ツユになにやら黒いものが入っている。
岩ノリだった!
 お土産の岩ノリはつくだ煮になっているが、これは海から取れたそのままで、しゃきとして風味があり、そばに絡んで清涼感が口に広がる。

 辛み大根を入れすぎないよう注意して、ツユに加えると、ワサビになれている身には、大根の辛みが実に清々しい。
 本当の田舎そばという感じで、素朴で飾り気が無く、そばそのもののうまさが引き出され、翁の気遣いが温もりとして感じられる。

 奥さんが亡くなり今は一人でやっていること、この店は元はタバコ工場だったこと、向山洞は6年ぐらい前から始めたこと等を翁から聞く。
 ざる蕎麦を食べ、くつろいでいると、翁が時間があるなら「かき焼き」を作ってくれると言う。

 しばらく待つとソバを伸ばし、焼いて短冊に切ったものが出てきた。
辛み大根おろしに醤油を垂らし、付けて食べると、温かく香ばしいソバの香りがして、まるで焼きモチのような感じだ。
 いつもは、もっと薄くしてパリッとした感じになるという事だが、なかなかに美味しい。
一味を掛けると酒の肴になると言う。

 勘定をすると、二人で1200円だけで良い、かき焼きはサービスだと言う。
帰りに車をバックさせる時も、雨の中を傘も差さずに誘導してくれた。
 人情がうれしく、温かい気持ちで向山洞を後にした。(山)

  かき焼き(蕎麦焼きもち)

  店主(左)と

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